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【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その5:川崎市議浅野文直のデマ徹底解説

導入

 皆さんこんにちは。犯罪学者の新橋九段です。
 統一地方選が始まりました。多くの選挙は9日あるいは23日が投開票日です。
 様々な候補者の中にはぜひ当選してほしい人もいますが、中には絶対に当選させてはいけない人物もいます。
 今回はそんな人物の筆頭自民党の川崎市議、浅野文直を紹介し、川崎市の有権者の皆様に落選を呼びかけます。
 4月9日の投票日には、ぜひ浅野文直以外の候補者への投票をよろしくお願いします。

 彼は現在世間を騒がせている、いわゆる「Colabo問題」において、女性支援団体へのデマと誹謗中傷を繰り返しています。
 具体的な内容はこのあと解説しますが、要するに、税金で碌をはみながらやることが民間団体のバッシングばかりという、どうしようもない議員なのです。
 市議会の議席には限りがあり、貴重です。こんな議員より役に立つ候補者は、それこそ同じ自民党にだってもっとたくさんいるでしょう。
 今回の解説を通じて、浅野の問題点に気付き、絶対に投票してはならないことをご理解いただければと思います。

そもそも「Colabo問題」とは何か

 話の前提として、まず、彼が「Colabo問題」と呼んでいるものを簡単に振り返ります。
 詳細は以前投稿した動画で説明していますので、そちらもご確認ください。[1][2][3]
 いわゆる「Colabo問題」とは、東京都から事業を委託されている女性支援団体Colaboの会計に不正があるとされている問題です。
 仁藤夢乃氏が代表を務める一般社団法人Colaboは、東京都から困難を抱える女性を支援する事業を委託され、そのための費用を受け取っています。
 この費用の処理に問題があり、税金で私腹を肥やしていると主張したのが、暇空茜を名乗る人物です。
 浅野が投稿する動画のサムネに登場するイラストの人物ですね。
 彼は自分が好む、いわゆるオタク的な表現がかつて仁藤氏に批判されたことをきっかけに彼女を恨むようになり、今回の騒動を引き起こしました。
 しかし、この「疑惑」は根拠のない言いがかりに過ぎませんでした。暇空が請求した監査でも会計に不正がなかったことが確認されています。
 しかし、暇空と彼を信じる人々は不正の存在を諦めず、デマと誹謗中傷でColaboを攻撃し続けています。
 その結果、Colaboの活動場所に妨害者が押し寄せ、それを口実に東京都が活動を中止するよう要請する事態にすらなっています。
 妨害者の風貌と言葉遣いを見ていただければ、彼らが真面目に公金の使途を追求する気がなく、ただ嫌がらせを楽しんでいるだけだとわかるかと思います。
 問題を真面目に考えている人は、アニメキャラクターのコスプレで街をうろついたり、「公金チューチュー」などという奇怪で幼稚な言葉は使いません。
 なお、Colaboの弁護団はデマと誹謗中傷を繰り返す暇空茜に対し、損害賠償や記事の削除などを求め提訴したことを会見で明らかにしています。[4]
 また、妨害者に対しては接近禁止命令も出ています。浅野はこうした怪しげな人物と同調し、加担する言動を繰り返しているわけです。

公金二重取りデマ

 ここからは、浅野が流布したデマのうち代表的なものである、公金二重取りデマを解説します。
 本来であれば浅野の主張全てを検証すべきところですが、投票日まで時間がなく、全て扱う余裕がありません。そこで、ひとつだけ取り上げます。
 公金二重取りデマは月刊『正論』での彼の寄稿記事のタイトルからわかる通り、彼の主張の中心的な論点となっています。[4][5]
 雑誌に書くほど自信満々のはずの主張がいい加減なデマなら、それ以外の主張のクオリティも察してしかるべきだということが出来るはずです。

 なお、ここでの解説の内容はColaboの立場を完全に代弁するものではなく、すでに明らかとなっている資料から合理的に推測できる範囲にとどまり、今後行われ得るColabo自身の説明と食い違う可能性があることを予めご了承ください。
 このような状況でなお、部外者である私がデマの検証と解説を試みるのは、Colaboの部外者でも常識的な判断能力でもってことにあたれば、少なくとも浅野が主張するようないい加減な結論にはたどり着かないことを示すためです。
 これはColaboがデマを否定する説明をした後で、浅野やほかのデマゴーグが「説明がなかったからわからなかった」と言い訳するのを防ぐためでもあります。
 私はこの動画の解説をもって、今後Colaboが新たな説明をしようがしまいが、現在流布しているデマを信じるのはあり得ないのだと主張したいのです。
 ご理解いただければ幸いです。

 さて、公金二重取り主張ですが、『正論』3月号によれば以下のような内容です。
 元々、川崎市は一時保護した子供を市で保護できない場合、民間に保護を委託し費用を支払っていました。
 市のリソースには限りがありますが、限界だからといって一旦保護した子供を放置するなどということはできないためですね。
 この一時保護委託をColaboも請け負っており、川崎市からColaboへ一定額の費用が支払われています。
 浅野はこの委託について、Colaboが東京都の委託費用で業務を賄いながら川崎市からも費用を受け取っていると主張しました。
 つまりこういうことです。例えばAさんという子供が川崎市で一時保護され、Colaboが委託されました。そして保護費用としてお金が支払われました。
 しかし、Colaboは都からもらっているお金でAさんの保護費用を賄い、使わなかった川崎市からの費用は懐に入れている。というのが浅野の主張です。
 この証拠として、浅野はColaboの報告書と都へ出された委託事業の報告書で報告されている保護人数が67人で一致していることを挙げます。
 Colaboは団体全体の活動の報告書のほか、都には委託事業の状況を報告する書類を提出しています。
 Colaboの報告書にある『緊急時の保護・宿泊支援』で報告されている数字と、都の委託事業で報告されている数字が同じなら、確かに、Colaboは保護のための費用を全員分、都の費用で賄っているにもかかわらず、川崎市からも委託費用を貰っていることになります。

 これが「公金二重取り」と言われるゆえんです。しかし、結論から言えば、この「疑惑」は浅野の壮大な思い違いに過ぎませんでした。

 そもそも、Colaboが報告している『緊急時の保護・宿泊支援』は、行政が言うところの「一時保護委託」だけを報告しているわけではありません。[6]
 詳しい内訳は不明ですが、ここで報告されている74名の中には、「一時保護委託」の人もいればそうではない利用者も混在していると思われます。
 浅野が誤解したのは、報告書の中に「一時シェルター」という言葉があるためでしょう。
 しかしこれは、あくまでColabo内部の名称であって、行政の「一時保護」と一致するものではありません。
 Colaboも説明しているように、一時シェルターにいることと一時保護されていることは別の話です。
 一時シェルターにいても一時保護ではないこともあれば、宿泊施設などで一時保護されていることもあります。

 また、そもそも、都の委託事業に対する報告書で報告されている67名は、一時保護委託を指しているわけでもありませんでした。
 これはあくまで「短期保護」という別の概念を指しており、報告書にもはっきりとそう書いてあります。
 用語が似ているから同じだと勝手に思い込んでしまったのでしょう。

 そして、浅野はColaboの報告書が67名と書いているとしていますが、実は、この数字は浅野自身が計算して出したものに過ぎません。
 実際には報告書にはこのように書いてあり、浅野は上の2つを足して67名という数字を作ったに過ぎませんでした。都合よく残りの7名を無視しています。[7]
 むしろ、よく同じ数字になる組み合わせを見つけられたなと感心してしまいます。
 数字をこねくり回すにせよ、一時保護の人数を算出するのに、はっきりと「一時保護利用」と書いている7名を省くのはかなり疑問のある操作です。
 個々を使うと都合のいい数字にならないから無視したのではないかと思われても仕方ないでしょう。
 なお、この数字の計算ですが、監査の結果をきちんと読んでいればすぐにミスだとわかります。
 というのも、監査の結果では、委託費用で支払った宿泊費が232泊分であるとされているにもかかわらず、報告書を計算して作った数字では284泊となってしまい、一致しないからです。[8]
 都の委託費用で保護にかかるお金をすべて賄ったなら、人数とともに宿泊数も一致しなければおかしいはずです。
 都合のいい数字ばかりにとらわれて、小手先の計算で根拠を捻りだそうとするからこうなるのです。

まとめ

 少し話がややこしかったので、公金二重取りデマの作られ方を簡単にまとめます。
 まず、浅野は異なるものについて書かれた2つの報告書を、そこで使われている言葉を無視して同じものだとすげかえました。
 そして、一致していない数字を一致させるために、恣意的な引き算をして数字を整えました。
 これだけのことをすれば、自分に都合のいい根拠はいくらでも作り出せます。ほとんど捏造と言っても過言ではないでしょう。
 意図的に行ったとすればとんでもないことですし、意図的でないならあまりにも資料を読み解く能力を欠いていると言わざるを得ません。
 どちらにせよ、議員の職にふさわしくない人物であることは間違いありません。

 いかがだったでしょうか。浅野文直の問題がわかっていただけたかと思います。
 彼は自分で作り出した「疑惑」に固執し、監査が不正を否定したあともしがみついて団体への攻撃を繰り返しています。
 市議会の貴重な議席、貴重な時間をこのような行為に費やしても、市民の暮らしはよくなりません。
 事実、東京都ではデマ攻撃と妨害のためにColaboの活動が難しくなり、女性の権利を守るための行動がとりにくくなってしまいました。
 このような攻撃を扇動する議員へ議席を与えるわけにはいきません。有権者の皆さんの力でぜひ、浅野文直を落選に追い込んでください。

参考資料・脚注

[1]【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その1:Colabo攻撃の経緯と動機
[2]【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その2:「不当」の正体と暇アノンの混同
[3]【台本】害悪オタク列伝 暇アノン問題編その3:全否定された「不正」疑惑完全解説
[4]浅野文直 (2023). 公金二重取り疑惑を追及する 月刊正論2023年3月号 
[5]記事の内容については『【記事評】公金二重取り疑惑を追及する(月刊正論2023年3月号)-九段新報』も参考のこと
[6]【弁護団声明】「公金の二重受給」という事実誤認について
[7]一般社団法人Colabo 2021年活動報告書(当該箇所は8p)
[8]【弁護団声明】東京都に対する住民監査請求結果について

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