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「パリピ孔明」第3話を見て【人生の主題歌】に想いを馳せた。

※このnoteには「パリピ孔明」
 第3話のネタバレが含まれます。

現在、毎週水曜日22:00~
フジテレビ系で放送されている
秋クールの新ドラマ「パリピ孔明」

あらすじ:
「魏」「呉」「蜀」の3つの国が
覇権争いをしていた三国時代に
「蜀」に仕え、魔法のような作戦を
考えては、敵を倒し、戦で数多くの
功績を残した天才軍師、諸葛孔明。
彼は西暦234年、戦いのさなか病で
倒れ、息を引き取ってしまう。
しかし、病死したはずの孔明は、
なぜか現代の日本へと転生し、
ハロウィンでにぎわう夜の渋谷に
降り立つ。ゾンビや吸血鬼、
オオカミ男など仮装している人を
見た孔明は、見慣れぬ光景に戸惑い
その場所が“死後の世界”だと勘違い。
孔明は、状況が分からないまま、
渋谷の若者たちに絡まれて、
ダンスミュージックが鳴り響く、
クラブにたどり着く。現代の物に
触れ、鏡に映る若き日の自分の姿を
見て転生したことを理解した孔明は
クラブで出会った歌姫の歌声に心を
打たれ、彼女の軍師として全力で
歌手になる夢をサポートすると
決意。三国時代、戦いのない平和な
世界を望む主君の元、戦乱の世を
生き抜いていた天才軍師が、時を
超え、現代の日本で一人の少女の
夢をかなえるため、音楽によって
作られる泰平の世を目指すため、
最高の頭脳をもって日本音楽界に
新たな風を吹き込んでいく。

ホームページより

実際にアーティストとして活躍する
キャストも数多く名を連ねていたり
何より向井理の好演も相まって原作
ファンからも注目が集まっている。

第3話では、巨大フェスへの参加を
選んだEIKOが、基準となる10万
いいねを獲得するため、
ラップバトル3連覇のラッパー
KABE太人を仲間に引き入れようと
画策する孔明の姿が描かれた。

この宮世琉弥演じるKABE太人が
EIKOの音楽に出会うシーンが
本当に好きで、残しておこうと
視聴後すぐにnoteを開いた。

ここからはそのシーンについて
自分なりにまとめていく。


【追われる側の葛藤】

前提として、KABE太人はラップ
バトルで3連覇を果たす実力者で
ありながらプレッシャーに弱く、
MCバトルで倒れて以来、
表舞台からは身を引いてスーパーで
アルバイトをしていた。しかし、
勤務中もラップを口ずさむ姿から、
まだラップに未練があると伝わる。

そんなKABEを見て、頭に浮かんだ
ラッパーがいた。

CreepyNutsのRー指定だ。
前人未踏であるフリースタイル
ダンジョン本選3連覇、大阪予選
5連覇という華々しい記録を持つ
R-指定だが、当時は全員が敵に
見えたと後に語っていた。

実際、「刹那」という楽曲に
こんな歌詞がある。

外されたハシゴ 返された手のひら
落ち着き払って気楽に行こう
なんてホンマは今すぐにも気が狂いそう
気休めにもならん「頑張ってください」や
「応援してます」もみんな嫌味に聞こえる

CreepyNuts/刹那

第3話冒頭「KABEじゃね?」と
声を掛けられた時の反応を見て
この歌詞を思い出したのだ。

KABE太人は元々、自分のことを
陰キャだと認識している。

突然日の目を浴びた分見放される
日がくるのが怖い。手の平返して
笑われるんじゃないかと怖い。
全員が本当は負けたら面白いと
思ってるんじゃないかと怖い。
応援すらも重荷に感じる。
MCバトルで連覇していくうちに
嬉しさと、負けることへの不安も
ついて回っただろうと思った。

連覇している人ならではの葛藤が
繊細に描かれていて引き込まれた。

【人生の主題歌】

さて、本題に入って…

第3話終盤、孔明の作戦でMCバトル
会場に着いてしまったKABE太人は
そこでEIKOの歌を初めて耳にする。
このシーンで私は心が震えた。

KABEが学生時代に聞いていた
音楽をEIKOが歌い始める。
その声が耳に入ってきた瞬間、
自分の頭と心の引き出しにしまった
記憶が一気に飛び出してくる。

《自分と同じ陰キャだと思っていた
 クラスメイトが放課後、陽キャに
 絡まれていると思ったら、
 楽しそうに笑っていたこと》

《絡まれた訳ではなくサイファーを
 していたと知ったこと》

《初めてそこに自分も参加した日、
 クソカス人生だと思っていた
 毎日が少しましに思えたこと》

EIKOの歌で記憶がどんどん蘇って
KABE太人は思わず涙を流す。

このシーンを見て、自分の心が
ぐわ~っと沸き立つのを感じた。
「自分の中にもそういう曲がある」
と思ったからだ。クソカス人生だと
思っていた日々を色付けてくれる
いわば「人生の主題歌」が。

入学式に向かう道中、緊張しながら
車に揺られて聞いたあの曲とか

失恋した日の放課後、友達と行った
カラオケで涙を堪えながら
歌ったあの曲とか

卒業式の日、この通学路をもう通る
ことはないんだと切なくなりながら
イヤホンで聴いたあの曲とか

就活の時、最終面接に落ちて帰りの
バスで泣きながら聴いたあの曲とか

消えてしまいたくなるほど辛いとき
優しく救い上げてくれたあの曲とか

メロディーを聴くだけで、その日の
天気とか、匂いとか、景色とかが
一気に蘇ってくるような、一瞬で
そのときに引き戻されるような、
懐かしさに嬉しくなると同時に、
戻れない寂しさに何だかふいに
泣きたくなるような、そんな感覚に
包まれて、胸がぎゅっとなった。

テレビ越しに聞こえてきたのが
実際に私の人生を彩った曲だった
訳ではないのに、KABE太人が
自分の「人生の主題歌」を聞いて
心が震えた瞬間を目にした私まで
同じ感情を体感できた。

これって凄いことだと思う。
私がドラマを好きな理由はこれだ
と改めて感じたシーンだった。

パリピ孔明は現在見逃し配信アプリ
「TVer」で第3話まで期限なく
楽しむことが出来る。

「パリピ孔明」第3話を見て、
あなたも自分の「人生の主題歌」を
思い出してみては?

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