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「お前のせい」の呪縛から救い出してくれたのはドラマだった。

この気持ちにピッタリ合う言葉が、
「恋」以外に見当たらない。

何か胸キュン少女漫画みたいな
冒頭になってしまったけれど、
別に恋バナが始まるわけではない。

このnoteは、ゴチなら羽鳥さんが

「ピタリ賞は!なんと!なんと!
…出ませんでした~!ですがまだ
ニアピン賞は可能性あります」

と言ってくれそうなくらいには、
恋に近い私の想いを綴ったnoteだ。


【私の相棒・ドラマノート】

何を隠そう私はドラマオタクだ。
ただ、ドラマをよく見るってだけで
ドラマオタクアピールされても…と
思う方もいるかもしれないので、
ここで私の相棒を紹介したい。

去年の10月。ちょうど一年前。
私は満を持してドラマ垢なるものを
開設した。元々は、雑多垢で
ドラマ関連のツイートをしていたが
次第に物足りなくなってきて、
ドラマ垢を作ることにした。

日々、こんなツイートをしている。

躊躇うことなくドラマのことを
呟けるのがたまらなかった。

しかし、そのうち、
「この感想を後々見返したいな」と
言う思いが沸々湧き上がってきた。
でもTwitter(今Xとか知らない)で
過去のツイートをたどるのはちょっと
面倒くさい。そこで考案したのが

《ドラマノート》


silent
石子と羽男~そんなことで訴えます?~
ペンディングトレインー8時23分、明日君と
ブラッシュアップライフ
みなと商事コインランドリー

これを見れば、制作関係者、
キャスト、自分の総括、見どころ、
あらすじ、各話タイトルのすべてが
一度で確認できる。

以前はTwitterとインスタ両方に
載せていたが、今はインスタのみに
載せている。このnoteを書きながら
Twitter掲載やめなきゃ良かったと
少し後悔し始めた。

2022年からつけはじめて、今では
13冊目になった。

勝手な持論だが、オタクはノートや
メモを取りがちだと思う。

バンドオタクならセトリやMCを
覚えている限り残しておきたいと
書き出す人は多いだろうし、
舞台オタクならその日の日替わり
アドリブシーンやカーテンコールの
挨拶を忘れたくないと思うはずだ。
実際、私の周りにも自分の趣味に
関するノートやメモを持っている
オタクは少なくない。

私もその一人で、見たドラマへの
感情をいつまでも大切に大切に
しまっておきたいのである。

このノートを付け始めたことで、
自分がその年に何作品を見たかも
簡単に分かるようになった。
ちなみに昨年は250作品を視聴した。

最近はドラマを見るペースに対して
ノートを書くペースが追い付かず
外出時にもノートを持っている。
ドラマノートは言わば私にとっての
相棒・亀山くんなのである。自分で
書いてるのにキモいかもしれないが
このノートは私の宝物だ。

【私の一日はドラマで決まる】

そんな私の日々はドラマ基準で回る。

まずは朝、起床してから布団の上で
10分前後の現実逃避タイム。
現実は逃してくれないと気が付いて
起き上がり、服を着替えてご飯を
食べながら朝ドラを見る。

ご飯を終えたら、メイクをしながら
サブスクアプリを開き、通勤中に
見るドラマを選び、ダウンロード。
移動中はそのドラマを見て過ごす。

会社に着き、午前の業務を終えたら
休憩の時間。少人数の職場のため、
同期もいなければ、勤務時間も皆
それぞれ違うため、ランチは一人。
休憩室でタブレットを開き、自分の
暮らす地域では放送されていない
ドラマの最新話に配信で追いつく。

午後の業務を終えたら、帰りに見る
ドラマをダウンロードして退勤。
帰路もそのドラマを見て過ごす。
行き帰りは旧作を見ることが多い。

家に着いたらそこからが本番だ。
夜のドラマが何時から始まるかで、
行動がまるっきり変わってくる。
21時からGP帯ドラマが始まる月曜、
火曜、木曜はまず急いでお風呂だ。
なるべく早く上がって、21時までに
ドライヤーも終わらせることが
任務となる。20時にドラマが始まる
金曜は携帯を持ち込んで、見ながら
お風呂に入る。水曜は22時から
放送が始まるため、お腹が空いて
いる日は先にご飯を食べたりする。
それからは曜日ごとに、脳内で
「このドラマの次は○○が〇時から」
と時間割がなぞられていく。

これを繰り返し、リアルタイムで
視聴する番組を全て完走したら、
もう何度見たか分からない、展開を
完全に覚えているドラマを再生し、
聞きながら眠りにつく。

このサイクルを5日繰り返す。

元々インドア派ということもあるが
土日のお休みは基本的に外には
出たくない。平日の休憩時間で
追いきれなかったドラマを見たり、
旧作でまだ見られていなかったもの
お気に入りのものをのんびり見て
まったりと過ごしたい。

そんなこんなで私の日々は回る。
ドラマに出てくる主人公のような
オシャレな生活ではないけれど、
ドラマがあるから日々を頑張れる。

【異常なドラマ愛】

どれだけドラマが好きかは何となく
伝わったかもしれないが、ここ最近
ドラマに向ける特大感情に自分で
引いてしまうことがある。

ドラマのことについて話すとき、
私はまるで恋愛中の学生のような
感情を抱えてしまう。

考えただけで胸がぎゅっと詰まる
感覚に襲われたり、ドラマの映像を
動画に撮って投稿しバズっている
アカウントを見ると苛立つ。
「無断転載で公式の再生数減らして
宣伝隊長のつもりか!あなたじゃ
ドラマを幸せにはできない!!」
と謎の当て馬感情が芽生える。

特に自分でも引いてしまうのは、
ドラマを見ている最中に、自分が
泣いていることに気付いたとき。

それが感動するシーンとかなら何の
違和感もないのだけど、私の場合、
そうではない場合がある。
ドラマを見ている最中に、突然、
「このドラマに出会えてよかったな」
という想いに駆られて涙が溢れて
止まらなくなることがあるのだ。

ドラマは実態のない物だし、私の
感情をダイレクトにドラマに伝える
ことはできないし、でも気持ちが
溢れて止まらないみたいな、そんな
もどかしさで心がいっぱいになる。

ふと自分はいつからここまで激重な
感情を抱くようになったのかを
考えることがある。小学生の頃、
年の離れた姉は、21時のドラマを
見られるのに、自分だけ見られない
と怒りながら布団に向かった記憶が
あるから、多分幼い頃からドラマは
好きだったのだと思う。それが、
ここまでの熱量になったきっかけは
おそらく、高校時代にあると思う。

【灰色の学生時代】

高校生の時、姉がうつ病になった。
うつ病と聞くと、大抵は自分を
責めてしまったり、希死観念が
強くなったりという内に向けた
症状をイメージする人が
多いんじゃないかと思う。

実際、姉がうつ病になるまでの私も
そういう認識でいた。でも、鬱には
複数の種類があって、自責思考の
強いものもあれば、他責思考が強い
ものもあるようだ。私の姉は、
次第に他責の症状が強くなった。

家庭内で一番年齢が若かった私は
姉にとって特に感情をぶつけやすい
存在だったのだと思う。
姉はとにかく私の一挙手一投足が
気に入らないようだった。

授業で怪我をした話を母とすれば、
私が具合悪いことへの当てつけか
と怒られ、かといって楽しかった
話をすれば、嫌みと受け取られる。
姉の気に障らないよう、母の寝室で
学校の話をしていたら、
「母は寝ようとしているのに、
 話し掛けるから寝れてない」
と文句を伝えにやってくる。
私は、楽しい話も嫌な出来事も、
近況報告すらも許されないのかと
この頃から色んなことを諦めた。

かといって高校生には、家を出る
財力などあるはずもなく、ただ
耐えるだけの日々が続いた。

推薦・受験・就職組が混ざった
クラスにいた私は、AO・就職組が
騒ぐ教室にも居心地の悪さを感じ、
家に帰れば「お前のせいで」と
言われる日々を送り、心が徐々に
すり減っていた。休み時間に溢れる
涙が堪えきれず保健室に駆け込んだ
こともある。保健室の先生からは、
「まだ大人になりきっていない
 クラスメイトたちには、あなたの
 悩みは理解されがたいと思う。
 よく耐えてるね。優しいんだね」
と言葉をかけられ、さらに泣いた。

大学生になると状況はさらに悪化。
姉は、制御が利かなくなっていた。
バイトから帰ってきて、課題の
プリントを印刷しようとしたら、
「うるさい」と怒鳴られ、部屋の
壁に物を投げつける音がする。
時折、隣の部屋からカッターの音が
聞こえてくる。あるテスト前日には
私のほんの些細な行動に怒り狂い、
「私が死んだらお前のせいだ」と
叫びながらカッターを振り回した。

部屋にいなさいと言われ、部屋に
非難してからも、叫び声は止まず
「もうやめて」と泣きながら叫び、
勉強なんか頭に入る訳もなく、
翌日のテストは散々だった。

それ以来、家に帰ればカッターを
振り回して叫んでいるかも、と
思うと足が遠のいて、まだ授業が
残っている友人の教室に一緒に
移動して少しでも大学にいる時間を
伸ばした。それ以降はこれでもかと
言うほどアルバイトをした。何個も
バイトを掛け持ちして、とにかく
働いた。友達と飲みに行けば、
「遊び歩けていいよね」と言われ、
遅く帰れば必要以上に怒られる。
高校時代は大学生になれば自由だと
思っていたのに、そうでもなくて、
ただアルバイトで時間を消費した。

大学時代の友人とはほぼ疎遠だ。
意を決して家のことを相談したとき
「何でそんなことになるの」と
笑い飛ばされて以来、私は当時の
友人の前で上手く笑えなくなった。
「まだ大人になりきっていない
 クラスメイト達には、あなたの
 悩みは理解されがたいと思う」
という保健室の先生の言葉は、
高校を飛び出ても通用した。

人生の夏休みともいわれる楽しい
盛りの大学生活。暗い顔をした
友人がいれば煩わしくなるのも
当然だと今なら分かる。でも当時の
私は、そんなことも考えられずに、
友人たちの前で察してくれという
オーラで佇み、しっかりハブられ、
居場所を失った。

本当に嫌なら大学生だし、家出れば
いいだろと思う人もいるだろうが、
私が家を出れば今度は矛先が親に
向く。今は分散されているからまだ
耐えられているけど、この苦しさを
1人で背負うとしたらと考えたら、
凄く怖かった。その事実はもちろん
その責任を負うことも怖かった。

【別世界でなら笑える】

大学でも、家でも、居場所を失い、
私はイヤホンをつけるようになった。
最初は音楽を聴いていた。だけど、
次第に流れてきた応援ソングに対し
「頑張ったらどうにかなるのかよ」
と思うようになって、そっと心に
寄り添うような曲を聞いても、
「分かったようなこと言うなよ」
と思うくらい心が荒んでいった。

だから今度はラジオを聞いた。
だけど、楽しそうな会話を聞くのが
しんどくなってきて、自分と人を
比べるようになったから離れた。

娯楽を娯楽として楽しめなくなった
自分に絶望したときに、何となく
開いたアプリが「TVer」だった。

現在放送されている作品はもちろん
過去作も定期的に配信されるTVerで
気になる作品を開いては見るような
日々が何となく続いたある日。

コメディだと思っていた作品で突然
挟まれた感動回。夢を諦めようと
涙を流す登場人物を見ながら、私は
無意識にボロボロ涙を流していた。

曲を聞いても、ラジオを聞いても
動かなくなってしまった私の心が
急に動くのが分かった。

あ、私、ずっと誰かにこの感情を
受け入れて欲しかったんだと、
そう思った。

どうせこんな感じだ自分の人生は
と諦めたように過ごしていたけど、
本当は誰かに助けを求めたかった。
辛かったと赤裸々に話したかった。
いつの間にか自分の中に留める
ようになっていた感情の蓋が一気に
開いたような気がした。

ドラマの中にいる涙を流した
登場人物がまるで、誰かに弱さを
見せるのは悪いことじゃない。
そう言ってくれたような、私が
弱さを見せることも許してくれた
ようなそんな気がしたのだ。

その時の感覚が忘れられないまま、
それからはむさぼるように毎日
ドラマを見た。ドラマは私を別の
世界へと連れて行ってくれる。
灰色だった学生時代だけど、
ドラマを見ている時は、別世界に
いる気持ちになれたし、嫌なこと
全部忘れて自然に笑えた。

ドラマの中には自分が沢山いる。
辛い事が重なって、誰も信じないと
決め込んでいたり、トラウマから
抜け出せずにいたり、何かしらの
悩みを抱えていたり、必ずしも
全員がキラキラ眩しい主人公では
ない。弱くても、情けなくても、
主人公になれるのがドラマだ。
それを認めてくれるのがドラマだ。

苛立ったら、スカッとするドラマ。
泣きたいときは、感動するドラマ。
恋愛したときは、胸キュンドラマ。
頑張りたいときは、青春ドラマ。
笑いたいときは、コメディドラマ。

そのときの感情に合わせて、
肯定して貰ったり、背中を押して
貰えたりする。そしてなによりも、
「あなたは頑張ってきたよ」
って認めて貰えるような気がする。

私が誰かに掛けて欲しかった言葉は
大体ドラマの中に全部ある。

ドラマがあったから、今がある。
今だに過去の傷が痛むことはざらに
あるけど、救いあげてくれる言葉や
ドラマがある今の私は、当時よりも
少し、強くなれている気がする。
あの時、暗闇から救い出してくれた
ドラマという存在は私のヒーローだ。

【「好き」じゃ語り尽くせない】

だけど、ドラマにはこの気持ちが
届くことがない。こんなに好きで
ずっと一緒にいたいと願っても
最終回は必ず来てしまう。

最終回が来てしまえば私とドラマは
赤の他人だ。私はドラマ内に生きる
人々の、その後の生活をそれ以上
知ることが出来ない。それなら、
最初から知りたくなかった…っ!と
泣くヒロインの気持ちが分かる。

突然私の毎日に3か月入り込んで、
喜怒哀楽、色んな感情を与えてきて
会える日が毎週の楽しみになって、
その余韻で1週間を頑張れて。
それなのに、3か月経ったら
あっという間に姿を消してしまう。

もっと知りたいことがあったのに。
もっと見たい景色があったのに。

ああ、やっぱり、
この気持ちに合う言葉が、
「恋」以外に見当たらない。

気まぐれに現れて、去って行く。
そんなドラマくんとの3か月限定の
恋を、私はこれからもずっと
繰り返していくんだと思う。

あの頃の自分が報われるように。
あの頃の傷を背負った今の自分が、
少しでも救われるように。

何かと生きづらい今の世の中、
苦しみを抱える人たちが、自分を
救い出してくれるものと
出会えますように。

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