久我真樹

英国家事使用人研究者。屋敷の暮らしを支えた家事使用人の日々の仕事内容や生活、転職事情、屋敷の備品、キッチン、実在の使用人の手記などが好き。『英国メイドの世界』(講談社)、『日本のメイドカルチャー史』と『日本の執事イメージ史』(いずれも星海社)を出版。
固定されたノート

「執事といえばセバスチャン」はいつ成立したのか? 執事ブーム以前のセバスチャン考察

「執事といえばセバスチャン」

執事に関心がある方は、「執事といえばセバスチャン」という通説をご存知かと思います。ググって見れば、その回答を求める方たちの言葉や回答があふれています。その通説は、アニメ『アルプスの少女ハイジ』の男性使用人(実質的に執事)が「セバスチャン」の名称であり、そこに由来して、日本のクリエイターたちが「セバスチャンという名前の執事を描く」現象になったと言われています。

しか

もっとみる

英国執事研究者による映画『うちの執事が言うことには』感想 ロケ地と「屋敷のベル」考察

原作のファンだったので、映画の『うちの執事が言うことには』を見てきました。以下、ネタバレを含みます。

原作の魅力について

まず、原作については、これまでに書いたことがありますが、「日本の執事の到達点」的作品です。「日本の現代社会」を舞台に、社交界を含めたもてなし、ワインの業務、銀食器磨きなどの「英国執事」の仕事をメインで描ける世界を成立させ、さらに日本の「家令」に連なる系譜の執事や執事養成学校

もっとみる

35年前(1984年)の「メイド萌え」 めるへんめーかー氏のメイド服・エプロンへのこだわり

はじめに〜1980年代の「メイド萌え」

英国メイド研究家である私が、日本のメイドブームを考察した『日本のメイドカルチャー史』では、1970年代までに少女漫画や、児童文学・世界名作劇場のアニメでお金持ち描写・屋敷を描く際に「メイド」が主に背景として登場しており、『バジル氏の優雅な生活』など、いくつかの作品で表舞台に出る作品が増加していったと考察しました。

この後に続く「メイドブーム」としては、第

もっとみる

平成の終わりに振り返る「私のメイド・執事研究とネットと同人誌」 その5 ネット環境の変化(同人誌製作とネット活用) 前編

その4までで、これまでのメイドや執事研究でどのような資料を使ってきたのかを書いてきました。アプローチする資料の方向性は時代が変わっても大きく変わりませんが、ネット環境の変化によって資料へのアクセスのしやすさが劇的に変わったことが、平成の間にあったことだと思います。

同じ観点で「同人誌」という媒体そのものは大きく変わっていませんが、ネットによってその周辺環境は大きく変わったと思います。ここでも、「

もっとみる

平成の終わりに振り返る「私のメイド・執事研究とネットと同人誌」 その4 資料収集と資料の方向性(後編)

ようやく「資料収集と資料の方向性」後編です。

第5期:ネットの利便性の第二期と、当時の政府刊行書など

これまでに列挙してきたもので一定の情報が集まったように見えるものの、まだ触れていない手段と資料の方向性があります。手段としては、ネットの技術発展に伴う「デジタル公開資料の増加」、資料の方向性としては「家事使用人の雇用が社会問題化した際に発行された当時の資料」です。

ここで「家事使用人の雇用が

もっとみる

平成の終わりに振り返る「私のメイド・執事研究とネットと同人誌」 その3 資料収集と資料の方向性(中編)

平成を自分が行ってきたメイド・執事研究の観点で振り返る本テキスト、中編になります。今回は「現地へ行く」(旅行レベル)です。

後編で書く予定が長くなって終わらず、中編になります。明確な設計図を作らずに、思いつくままに書いているので、長くなる傾向になりました。

今回は主に現地での話です。

第4期:現地へ行く(旅行レベル)

英国のカントリーハウスは、まだ数多く残っています。運営の形態は様々ですが

もっとみる