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#229 男友だち

2024年2月15日(木)後編

駅改札口に到着すると、もうアツオがそこに待っていた。

トレーナーの上にモコモコしたジャケットをきているせいか、なんだかやけに上半身だけクマ🧸さんみたいに太って見える。
いや…かなり太ったな!

そういえば12月、日帰り温泉のレストランで見えたTシャツからはだけたアツオのお腹は、かなりぽっこり膨らんでいた。
初めて会った頃より…間違いなく肥えた!
どうやら、股関節を痛めてからジョギングをやめてしまい、さらにもともと炭水化物が大好きな大食漢なので余計に太ってしまったらしい。

一時期は、糖質制限ダイエットで炭水化物を抜いた食生活をしていたらしく50キロ前半位まで体重が落ちたらしいが、さすがに周りから痩せすぎだと心配されてやめたらしい。
身長は170センチ位に見えるから…まぁ〜60キロ位でちょうど良いのだと思うけど、お腹はかなりやばいところまできている。

マーにしろ、フォトグラファーにしろ、アツオにしろ…この傾向のある人は、よく言えばストイックということになるのだろうが、本当に限度を知らないというか、0か100というか、加減しないというか。
「ほどほど」とか「適度」という言葉を知らないのだろうか?と思ってしまう。
アツオが、初めて会った時からずっと「股関節を痛めてしまった」と言って足を引きずって歩いていた原因も、足を広げる運動器具のやり過ぎによるものだ。筋を痛めるまでやり続けたのだから、やはり加減がわからないのだろう。

そんなわけで、肥満体とか、ちょっとだらしない体をした人には、あまり性的魅力を感じないひなたぼっこなので、アツオと会ってもあまりドキドキ感とかそういったのはなく、普通に友達として接することができた。まぁ逆に良かったのか?
ていうか、彼と会うのもこれで6回目(友達だからデートという言葉も違うかもしれないけど)。
もちろん、相手から何かボディータッチのようなものもないし、私からも特にないので、純粋に友達関係が築けそうだ。

駅に着いた早々、アツオもなぜかUR賃貸の物件が気になっているらしく、UR物件を見に行こうと誘われた。といっても内見ではなく、敷地内を見て回るだけ。

これまでのブログに書いた通り、西武線を離れて東武東上線の埼玉エリアのUR賃貸を次の引っ越し先(マーとの同居先)に考えていたのだが、ネットの口コミを調べていくと、狙っていた物件はかなり評価が低い。

さらには、和光市駅より先にある東武東上線の埼玉エリアの駅は、振替輸送がきかない不便な場所らしい。東上線しか周りにないからだ。しかも、人身事故などで電車が止まることが多いらしい。
通勤する場所のないひなたぼっこは良いのだが、週5日湾岸エリアまで出勤するマーにとっては、かなりリスクが高い。

それともう一つ。
所沢方面にやっぱり戻そうかなと考えた理由は、もし同居してマーとうまくいかなかったり、また一人暮らしに戻った場合、周りに知り合いが誰もいないエリアってちょっとやだなと思った。
まだ薄い関係ではあるが、所沢に住めばアツオがいる。
信頼関係の厚い長年の友達というところまでいってないけど、全然知らない人ばかりの場所より、地域をわかっている人が1人でもいる所の方が心強い。
そんなことを今週考えて、今週末のデートでマーと会ったときに、もう一度選択肢の中に所沢を加えて、日曜日にでも一緒に駅周辺や空き物件を再度見に行こうかと考えていた矢先のことだった。

結局、マーと行くより先にアツオと駅周辺を見たり、マーと一緒に入ろうかと思っていた人気ラーメン店にアツオと一緒に入ることになった。

昼間から酒を飲むアツオに付き合って、久しぶりにビールを1口飲んだ。
苦くてめちゃおいしかったのだが、すぐ酔って危険だったのでやめた。

もともとアルコールが好きではないマーは、アルコールを飲まない女性と付き合うのは私がはじめてらしく喜んでいたが、私は別に相手が飲むのは嫌いではない。
本当は居酒屋とかで一緒に飲みたい方なのだが、体質上の理由でそれができないのは残念だ。
そういえば、アキヒコもフォトグラファーも休みの日は、昼間から水を飲むごとくアルコールを飲んでいたな〜。

つけ麺の量は、普通盛りが1.5〜2人前で300グラム。中盛りが400グラム。大盛りはさらに上。

私が頼んだのは小盛りの150グラム。
炭水化物大好き男のアツオは、普通盛りだったか中盛りだったか忘れたが、かなりの量を頼んでいたと思う。

この後、アツオが鍋料理を振る舞ってくれることを考えて少なめにした。
ていうか、300グラムなんて食べられる気しなかったし…。

狭い店内でカウンターに8人ぐらいが並んで座るタイプだったが、みんな1人で黙々と食べている中、私とアツオは関係なく色々と世間話をしていた。
おそらく店内で聞き耳を立てている人もいるだろうが、そんなことを気にせずにのびのびと会話ができるって、なんか久しぶりでうれしいかも!

周囲の目や耳を気にするマーだったら、カウンターでのおしゃべりは絶対厳禁なんだろうなとふと考える。
何しろ、空いてる電車の中で並んで座っている際に、私が喋り始めると、わりと低めで通る声ということもあるが、すぐに「声が大きい!周りの人から聞き耳に立てられてる」と彼のダメ出しが入ってしまうから。
ほんとに、かわいそうなくらいに神経質な男だ。そういう特性なんだろうけど、そんな相手に合わせなくちゃいけない私もちょっと大変😥

アツオが彼のことをたまに聞いてくるのでマーのことを愚痴ったり、所沢の最近の状況や今月いっぱいで取り壊しが決まっているパルコの事とか、そんな話をした。
前回会ったときに言っていたダブルワークの物流系のアルバイトは腰を痛めてやめたとのこと。
そして4月からは、図書館での勤務から異動になり、都心の公共施設で館長の仕事に変わるらしい。そういう公共施設の管理をする企業で働いているから、図書館ばっかりではないということか。4月からは、図書館司書改め、館長アツオと呼ぼうかな?

ラーメン店を出て、閉館間近のパルコを見に行こうと誘われる。
ここも前回、UR物件の内見をしたときにマーと2人で来たなぁー。それよりもさらに前、私が手術をした時、この駅からタクシーに乗って辺鄙な場所の病院に通院してたので、1人でもよく来ていた場所だ。ついでに言うと、最近パルコの中の映画館にも来たな。

老朽化もあるが、所沢駅西口にこの秋にオープンする大型商業施設に客をとられることもあり、パルコも撤退することになったのだろう。
パルコの跡地に何ができるかは…いまだに不明だが、ひなたぼっこがもしこの場所に越してきた時、マーのテンションが上がるようにオーケーストアができてくれると嬉しいのだけど。
どうやらこの辺は駅前の西友一強らしい。

パルコの食品売り場でアツオと食材の買い物。
最近は「きのう何食べた?」のシロさんのごとく、いちいち値札を見て品定めするマーとのケチくさい買い物に慣れてしまったせいか、「牡蠣鍋にしよう」と言って、生食用の600円近い牡蠣や、その隣に売っていた白子など、割と反射的に商品をとっていくアツオに新鮮さと多少の驚きを感じてしまった。
もちろん私も最近まではそっち派だったのだけど…。

豆腐とかだし昆布とかポン酢とか、いろいろ買って結局3000円近い支払い。「お金は(払う)?」と聞くと、どっちでもいいよと言われたので、招かれているわけだしご馳走になることにした。
また今度、ひなたぼっこのほうに来たときにご馳走してあげればいいかなと思って。

いちいち比較するのもなんだけど、マーと一緒に何か食べ物を買う時、彼が払ってくれるのは最高でも500円位かな笑。3000円近い金額を払うアツオが、なんだかすごく太っ腹に思えてしまった。
考えてみたら、六星占術だとプライドの高い孤高の星「土星人」のアツオなので、人をもてなすのにケチな男と思われたくないという見栄もあるのだろう。
ていうか、マーがせこいっていうだけの事なんだけど。
最近のひなたぼっこは、マーに影響されて、若干感覚が麻痺してきたらしい笑。

鍋の食材とアツオ用のチューハイをたくさん買って、彼の部屋へと向かう。アパートというよりは、築40年越え位の古いマンションといった感じで、室内は古いながらもいい感じの雰囲気だった。

服装とか髪型とかはっきり言ってあまり気にしてないようだし、相変わらずほっぺたからは1センチ位の剃り残しのヒゲが数本生えている自分の身だしなみに関してはそれほど神経を使っていないアツオだが、インテリアとかそういったものにはこだわりがあるようだ。
アツオのセンスの良さは意外でもあり、若干驚きがあった。

43平米位の、もともと和室だった部屋を洋室にリフォームした2DKの室内。
調度品とか家具とか小物とか統一感があって、すごくおしゃれ。
ひなたぼっこはこういうインテリアのセンスがイマイチというか、あまりこだわりがないので、色も材質も全部バラバラで統一感がない。

最上階なので、部屋からの眺望も良い。
あまりに部屋が素敵だったので、写真を撮らせてもらった(内緒で)。

私も円形テーブルを買いたいなと思っていたのだが、
マーに必要ないと却下された(でも、やっぱり買っちゃお😁)
玄関を入った右側にはご自慢の水槽と、正面には自分で取り付けた棚が。
この奥には、寝室と水回りがある。
6畳のリビングには円形のこたつと50インチのテレビ。
本物の観葉植物があちこちに置いてあるが、きちんと育てている。
ここでいつもテレビを見ながら酒を飲んでるんだなぁ〜。
テレビの横に置いてあった小説とかも、割と小難しい外国の本だった。
そういえばアツオって、なんだかんだ6大学出身なんだもんね。
とてもそういう風には見えないけど…

そしてアツオの家族であり、癒しの友?
愛猫の一之輔(漢字は私が勝手に自分の好きな落語家の名前を当てはめた)くんがお出迎え。

今年9歳になるマンチカン。
自分だけでなく、飼い猫もめっちゃ太らせている。お腹タルタル😓
毛づくろいしているいちくんがかわいかったので撮ってみた。
前足のポーズがかわいかったので撮ってみた。

アキヒコは娘と一緒に住んでいたし(おそらく今でも成人している娘と住んでいると思うが)、その前のミツオとか栃木の黒歴史の男とか元夫とかはみんな実家暮らしだったし。
一人暮らしの男性(おじさんだけど)の部屋に行くのって、ほんとにひさしぶり。

マーのマンションにも一度だけ行ったけど…渋谷という場所も行きたくないのだが、それ以前にミニマリストの殺風景なあの部屋の居心地の悪さ…。部屋って、住んでる人の人柄を表すのかな?
割と広めのLDKに、大きなテレビと2人掛けのソファーとその脇に小さなサイドテーブルがちょこんとあるだけで、家具はほとんどない。
ラグマットもないし、ソファーに座るしか選択肢がない。
そしてマーの部屋では、スリッパは強制的に履かされる。
なんか、、、なんか落ち着かないんだよなぁー。
今度、もう一度彼のマンションに行って、写真撮ってみようかな。

それに比べて今日行ったアツオの部屋は、かなりこだわりが強くて凝ってはいるけれど、生活感もあり、人間が住む部屋って感じがした。
アツオが以前「俺はインドア派だから休みの日はほとんど出かけない。部屋にいた方が癒される」とか言っていた意味がよくわかる。
確かにこの部屋だったら最上階で眺望もいいし、猫もいるし、緑もあるし、アクアリウムもあるし、こたつもあるし、なんだか落ち着くわー。

しかも、これだけの水槽やら植物やら手入れするのも大変だし、毎日自炊もしているようだから、本来はマメな人なのかもしれないなぁ。

1番最初に付き合ったアキラは、香川県から奨学生の新聞配達員として上京。いちど受験に失敗して新聞配達を辞めた後、アルバイトをしながら大学受験勉強をしていたのだけれど、二浪目も全部駄目だった。
結局、フリーの設計関係の仕事について生計を立てていたが、最初に住んでいたのが風呂なし共同トイレの4畳半一間のアパート。
少し稼ぎが出るようになって転居したのが、風呂なし和室6畳の1DKのアパートの1階。
わたし的には狭くても、生活感があったり座卓があったり、そういう部屋の方が落ち着いたりするんだよねー。
多少ものが散らかってたって別に構わないし、ゴロンと寝転がれるスペースがある部屋がやっぱりいいなぁ。
次の家、和室…あってもいいかも。

そんなわけで、アツオの部屋では、洋楽のレコードをかけてくれたり、お茶を飲みながらNetflixを流したり、約2時間ぐらい滞在して帰ってきた。

そう、一緒に買い物した鍋の材料は登場することなく。
昼に食べたラーメンのボリュームが多すぎたようで、全くその後お腹が空かなくて、作る気が起きなかったようだ。
私も暗くなるまで所沢にいるのも嫌だったので、17時には退出した。

そんなこんなで、気持ち的にはもう所沢に住む気満々笑。
いち君も私になついたことだし、また遊びに来ようかなと考えている。
もちろん…マーには内緒で😁。


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