あるデザイン学校での総評

去年の終わり頃、お茶の水美術専門学校から、学生展での特別審査員をしてほしいとお話があって、お邪魔してイベントに参加させて頂きました。内容は企業と学生が取り組んだいろんなプロジェクト(いわゆる産学共同)の作品を学生が展示とプレゼンをして、それに来場者や審査員が審査して賞を決めるといったものです。仕事柄、色々なイベントや企業で審査員をやらせて頂く機会があるのですが、学生展にお声がけ頂くことってそんなになくて、なので新鮮な気持ちでプレゼンを聞いてました。それなりの年齢になると若者と接する機会が少なくなります。いつの時代も最も感度が高くポテンシャルがあるのが若者なので、できるだけ若い方たちと意見交換するタイミングは設けたいなと普段から思っているのもあり、私自身も学生さんたちの今の空気感を学ばせて頂きながらいろんなお話をさせていただきました。

最近、私がその時に学生に対して話した「総評」を来年度の学校案内に掲載させてほしいと学校側からご連絡を頂き、あぁ、いいですいいです、もちろん。っていうかそもそも僕何話したんだっけ、と思って先方が送ってくれた原稿を確認させて頂いたら、我ながら結構いいこと言ってたので、ここに転載しておこうと思います。こういう風に学生さんたちに先輩風吹かせて偉そうなこと言ってるときって、実は多分に自戒を込めてたりもするので、後から文字起こしされたの見るといまだに「ああ、僕ももっと頑張ろう」と思ったりします。「自分はもっとできたはず」「徹底」はプロになってある程度すると意識してないと自分の中から消えていってしまうものだというのを思い出せたいい機会でした。以下頂いた掲載予定抜粋本文と原文(文字起こしソフトかな?もち先方の許可済)。

本文)
受賞した方、おめでとうございます。受賞できなかった人、残念でした。
多分95パーセントぐらいの学生が、私はもっと出来たと絶対に考えていると思います。
思っていなかったら問題です。これからクリエイティブは総合格闘技になってくると思います。
例えばグラフィックデザインをするのに、ビジュアルを描いてるだけではダメです。
文章を使ったり、ストーリーや文脈、自分が本当に好きだと思うものをきちんとプレゼンテーションしたり、徹底して総合力で戦わなければいけません。
いろんなものを見て、いろんなことをスキルとして身に付けて、誰よりも速く走る勢いでクリエイティブを続けてほしい思います。
今日は自分の駄目なところをたくさん指摘されたと思います。それを真剣に受け止めて成長すれば、多分、みなさん好きな仕事で人生を始められる、
すごく素敵な人生が待っているのではないかと思います。みなさんお疲れ様でした。

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原文)
皆さん、お疲れさまです。受賞した方、おめでとうございます。受賞できなかった人、残念でした。
きょう、皆さんの作品見せていただいて、いくつか感じたことがあるんで、それについて、ちょっとお話しさせていただきます。
皆さん、何かを作るっていうときに、どういう心構えでやっているのかなっていうのが、一番、私は最初に聞いてみたいなと思ったことなんですけど。
皆さん、どういうふうに考えてやってったんですか。なんか、これ、みたいなのあります? それじゃあ、受賞したAさん、教えてください。

Aさん− ”私はかわいいをベースにしていて、自分だったら、こういうのがかわいいと思ってもらえるかな、みたいな。
友達が、こういうの好きそうだからという。友達が、こういうの、かわいいって言ってたから、そういうふうにしようかなとか、
周りが見たらどう思うのかな、みたいなことを思いながら、考えました。”

多分、何かを作ったり、表現するときって、結構、人に見られて、
自分の人格も見られるんですよね。多分、きょう、皆さん、展示やってたと思うんですけど。 大丈夫ですよ、座って。今。 
実際に仕事として、デザインとかやると、だから、自分たちが手がけた商品が世の中に出ます。
その商品に対して、リアクションをもらうチャンスって実はないんですよ。今、お話しされてたように、私はこう思ったみたいなことを伝えることって、
実はできないんですよね。きょう、皆さん、伝えるチャンスが、五つプレゼンテーションできたっていうのは、
実はクリエーティブの仕事としては、かなりイージーモードですね。自分たちの意図を、作った、表現したものじゃなくて伝えられる。
ここがすごく、実はイージーモードで、簡単な状態だと思ったほうが絶対いいですね。例えば、皆さん、ミュージシャンのPVとか見て、
これ作った人がどういう意図で作ったかなんて、わざわざ気持ちをくんだりしないじゃないですか。かっこいいとか、かっこよくないとか。
だから、それくらい、物が単体、あるいはサービスが(****タイケイ@01:26:02)になってるのは、単体で、すごくシビアに評価されてしまうのが、
デザインとかクリエーティブとか何かを作る仕事ですね。 今回、皆さん、多分、実際に作品作られて思うと思うのが、
多分、こん中の95パーセントぐらいの人が、私、僕、もっとできたって、絶対思ってると思うんですね。もっとできた。
逆に、思ってなかったら問題だと思うので。皆さんは、まだまだ伸びしろがあるので、そこはかなりシビアに考えて勝負していかないと、
クリエーティブのデザインっていう仕事って、すごくみんなやりたがるので、ものすごく戦場です。さっきもお話ししましたけど、
ただやりたいとか、なりたいって人、すごい多いんですよ。だから、このクリエーティブとかっていう仕事は、どんなに若い人が人材不足になったとしても、
最後までこうやって戦場のところですね、楽しいから。だから、そこで皆さんが本当に仕事をしたいっていうふうに思うんであれば、
多分、今の500倍ぐらい気合を入れて挑まないと、結構、多分、楽しい人生にならないかなあとは思うので、そこのシビアさっていうのを、
今より一段、来年はもう一段、再来年はもう一段って上がっていく。そういった心構えで、
勉強していっていただけるといいんじゃないのかなとは思います。 
あと、やっぱ、これは多分、時代もあると思うんですけど、これからデザインとかっていうのは、
僕がプロなった頃と違って総合格闘技になってくるので、さっきの星空書店(受賞した学生作品)とかは、もう典型例ですけど。
例えばグラフィックって、ビジュアルのデザインっていうだけじゃ、もう戦えないんですよね。
文章使ったり、
ストーリーや文脈や、自分の本当に好きなものっていうのをちゃんとプレゼンテーションしたりとか、そういうのを徹底して総合力で戦わなきゃいけないので、
いろんなものを見て、いろんなことをスキルとして身に付けて、誰よりも速く走る勢いで、
それぐらいやっていっていただけるといいかなと思います。あと、これ結構シビアなこと言うと、きょう、カンペ見ていた人、駄目ですね。
カンペは駄目です。カンペは覚えていればいいだけの話なので、カンペを読み出した時点で他のコンペティター、競合に、全員に負けると思ってください。 
あと、きょうの大先輩たちが、ああしたらいいんじゃないかなっていう話を聞いてるときに、半笑いでいた人。
これも駄目だと思います。真剣な顔して、やっぱり自分の作ったものの駄目なところを、めちゃくちゃ指摘されてるわけですよね。
それを笑ってられないぐらい真剣に受け止めて、成長していっていただけると、多分、皆さん、好きな仕事で人生を始められる、
すごいすてきな人生が待っているんじゃないかなと思います。皆さん、お疲れさまでした。

#デザイン #クリエイティブ #デザイン学生


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