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【保存版】「徹底的にこだわった、クリエイティブの裏側を全てオープンにしたい」OpenWork

昨年、第三者割当増資で約22.5億円の資金調達をしたオープンワーク社(旧Vorkers)が、5月28日から、マスプロモーションを実施しています。僕はその戦略担当ディレクター(マーケ責任者)をしているのですが、今回の目玉企画「社員クチコミ図書館」が早速WBSで取り上げられた。

『社員クチコミ図書館』の様子

WBSで取り上げられた様子


今回は、この過程で学んだ「ナレッジ」をせっかくなので全部オープンにしたいと思う。この記事は

・スタートアップのマーケ責任者でこれからマスプロモを検討している人
・PR施策に携わり、世論をどう巻き込むか考えている人
・本を売りたいと思っている人

などに、少しでも参考になればいいと思う。(ちなみに、私は北野唯我と申します!)

1日目の数字を、全部オープン。初日から2,400名が本を手に取ってくれた

こういう施策はやってみたものの、全然盛り上がらないことも多いが、1日目だけで2,400名の人が実際に手に取ってくれた。とくにピーク時は、1時間に最大で382人が読んでおり、これは1分で6.4人が訪れたという計算になる。つまり、10秒に一人が本を読んだ、ということ。話題性としては十分だったのではないだろうか。(ちなみに、二日目は3,200名に伸びた)

『社員クチコミ図書館』がWBSで取り上げられる(初日)


ただ、それよりも、大きいのは、やはり初日からWBSに取り上げてもらったことだろう。WBSはいわずもがな、ビジネスパーソンが見ているニュースなので、まさに「届けたいターゲット」層通りだった。特に、今回のプロモーションは社名変更も兼ねている。なんとしてでも、「これまでヴォーカーズを知ってくれている人」にも、テレビで届ける必要があった。

そしてこれは正直にいって、ちゃんと狙ったものだ。明確に、ビジネスパーソンが見たくなるようなメディアを狙って、SNSでも拡散されるようにこの施策を企画した。しかも単なる炎上ではなく、「きちんと上品な形で」拡散されることを目指した。

では、どうやったのか?

クリエイティブに100倍こだわったのは「弱者の戦略」だったから

いわずもがなだが、スタートアップは大企業と比べて、資金は決して潤沢ではない。オープンワークは昨年、約22.5億円の資金調達をしたものの、それでも大企業ほどのお金はない。これは本当にそうで、創業期のスタートアップで役員をしてきた身として、「一円一円を積み上げて稼いだお金」というのは、大企業で働いていたときの百万円いや、千万円ぐらいのイメージがある。それぐらい、お金は大事だ。

その中で少しでも、多くの人に関心を持ってもらうためには、知恵で勝負するしかない。つまり、「クリエイティブ」にこだわるしかないと考えた。なので結局それは「弱者の戦略」なのだったのだ。もし、広告宣伝費が100億円あったら、100分の1の知恵しか使っていなかったと思う。

では、具体的にどういう部分で「クリエイティブにこだわった」のか。
スタートアップにとって、重要なお金。今回の経験が少しでも、誰かの役に立って欲しいと思って、5つだけシェアしたい。
(本当はこれの10倍ぐらいこだわりがある)

こだわり⑴:手に取った時に嬉しくなる「光沢のブルーライン」

手に取ってもらえばわかるが、この書籍にはUV厚盛印刷と呼ばれる「手に取ったときに、ピカッとひかるライン」が入っている。普通、広告に使うための本だと、こんな「キラッと光るライン」なんてものは不要になる。

それでも、あえてUV印刷を入れたのは「なぜ、そこに行く必要があるのか」「手に取る必要があるのか」を強化するためだった。デジタルで無料でコンテンツを読める時代に、人が本を読むのは「手に取った時の嬉しさ」や「参加できる余白」にある。レコードを集めるように、本を集める。

これは転職の思考法や、天才を殺す凡人をベストセラーにした経験がいきている。つまり、わざわざ手に取る必要性があること、手にしたときに嬉しいものがない限り、ユーザーの期待値は超えられないと考えたからだ。

2)密かに、ベストセラー作家が書き下ろした「はじめに」

2つ目は「はじめに」にある。この100冊の本には、書籍っぽく「はじめに」があるのだけど、これはGWに自分で書き下ろした。

最初は「はじめに」はなかった。ただ、考えた結果、必要だと感じた。結果的に電通に提案し、そして自分で書くことにした。読んでもらえれば、わかるが、「なぜこの企画をやっているのか(WHY)」と、「どんな世界感を作りたいと思っているのか」という部分が端的に、わかるようになっている。

当然、この本の「はじめに」には、自分の名前は載っていない。つまり、ぶっちゃけ「本気で書いても、書かなくても」大した話題にもならない。

それでも書き下ろしたのは、やっぱり本にとって「はじめに」は一番読者に伝えたいメッセージだからだ。それに作家が「はじめに」を書いた本が新宿で無料で読める。というのは、読者にとって特別な体験になりえるのではないか?と思ったからだ。半分は、遊び心に近い。

3)SNSとテレビ映えを明確に意識した、「ハッシュタグ」と「コピーの場所」

3つ目は、明確に「画像映え」を意識したクリエイティブ。これは、ブルーのカラーイメージもそうだが、それ以上に「ハッシュタグや、コピーの場所」までかなり細かく調整している。

結果的にどこで写メを撮っても、引きで撮っても、近くで撮っても、「これがなんの企画なのか」がSNS上でわかるようになっている。今の時代、OOHは単なる広告として打ってもほとんど効果がない。ワンキャリアのときのマーケ施策のときもそうだったが、明確に「SNSで使う素材としてのマス広告」という位置付けで作っている。

そのために一番、重要なのは「フォトジェニック」である以上に「どこで切り取っても、SNSの広告商材として成り立つか」にある。

4)話題性広告と、刈り取り広告のコラボ。NewsPicksなどの主要経済メディアでの「統一性」を追求した、“オリジナルカラー”

もう一つ、今回の企画は「ブランディング」と「プロモーション」の両立を目指す必要があった。ここでいうブランディングとは「オープンワークが目指す、世界観を体験してもらうこと」であり、プロモーションとは会員獲得などの、事業KPIへの貢献にある。これはどんなサービスでも同様だが、特にオープンワークにとって、このブランディングはとても難しい。

というのも、OpenWorkというサービスは「使って見たらすごいのが分かるけれど、使わないとすごさが分からないサービス」の典型例だからだ。普通の広告商材は「ビジュアルを見ただけで、サービスのクオリティが分かる」ことが多いが、オープンワークはそうではない。

したがって、使ったときの便益と、実際に使ったときにどんな感情変化が起きるのか、を広告で表現する必要があった。

加えて、いわゆる、経済メディアとの組み合わせも慎重に設計した。というのも、今の時代、「意識の高い層」「オピニオンリーダー」は、テレビや、駅広告なんて見ていない。ネットメディアや、SNSを見ている。なので、NewsPicksや、日経ビジネスを中心にいかにして「認知型メディアとのブリッジ(架け橋)をかけるか」が重要だと考えた。

結果的に、社員クチコミ図書館と、通常の電車内広告は明確に訴求ポイントを変えたが、唯一無二の、グラデーションをつけたブルーを前面に出し、統一感を持たせた。

5)インフルエンサーを持つという、この時代の最強の人事戦略

最後に、この時代、明らかに最強の広告メディアというのは「自社の社員」であることは間違いない。(これは、元LINEで現在ZOZOの田端さんがわかりやすい)

僕が最高戦略責任者を務めるワンキャリアでも、ほぼ確信していたが、最も強いマーケティング戦略というのは、「自社の中にインフルエンサーを持つ」という手法だ。幸いにも、オープンワークには、麻野耕司さんというアルファの人物がいた。広告クリエイティブはOOHや、ウェブメディアを中心に、ただし、「話題を拡散させる方法」は、彼と僕らを基軸に動かした。
(これは、ワンキャリアでも全く同様で、寺口浩大さんというPRディレクターがいるが、彼がマーケティング施策で貢献した分はとてつもなく大きい。)

それ以外にも「社員を巻き込んだ遊び」が実はある。

たとえば、実はこの広告に出ている人は全員、オープンワークの現役社員なのだ。

これは、はっきりいって、ユーザーにとってはどうでもいい話だが、「ちょっとした遊び心」を持った施策だ。(ちなみに、名誉のためにちゃんと説明すると、この案は、最初は増井社長は反対していたが、僕と代理店の人がゴリ押しして通してもらったので、増井さんに罪はありません・・・)

【6月2日まで】『社員クチコミ図書館』@新宿に、足を運んでみてくださいー!今週末まで公開中!

【募集中】この時代の「マーケティング戦略」、この時代の「PR施策」を一緒に作りませんか? 

実際は、まだまだここに書けないような、超細かいこだわりや、戦略がたくさんある。ポイントは、この時代の「マーケティング戦略」というのは、10年前のものとは明らかに違う、ということだろう。正直、今回の施策のインスピレーションはほとんどが「本を作って、売った経験」からきている。

「売れない時代に、どうやって書籍を作り、そして届けるのか」

そのナレッジは、事業においてもかなり役に立っている。ぜひ、一緒に、戦ってくれる仲間を募集しています。

・オープンワーク(vorkers)の募集

・ワンキャリアの募集 CMO


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