「見慣れない名前だなぁ」

来季に使う新卒サービスを決めるべく、内定者にヒアリングしてみたら、見慣れない会社が出てくる……。こんなことはよくあること。それもそのはずで、人材サービスは参入障壁が低い業界。多くのベンダーが参入しては消えていくを繰り返しています。

「自分が就活していた10年前は、リクナビ・マイナビしか使ってなかった」

という人事のあなたは、10年での変化に戸惑うかもしれません。ですが、10年で世の中のサービスは激変するのも事実。メルカリやInstagram、もっというとLINEやFacebookもほとんど普及していませんでした。技術は大きく進化し、若い感性を持った学生の行動は激変します。

このシリーズは「人事の手引書」を作成することを目的にしています。今回は人事からよく聞かれる「9つの謎」を解き明かしていきたいと思います。

さて、挨拶が遅れました、私は北野唯我と申します。普段はHR Tech(人材×IT)の役員をしていおり、「人事向けメディア」で連載などを持っています。仕事柄多くの採用責任者の方とお話ししてきました。今回はその知識を惜しむことなくお伝えいたします。

少しでも、皆さんのお力になれたら幸いです。

【採用担当なら絶対抑えておきたい】
9つの質問にズバッと答えます

Q1）倫理憲章って今どうなっているの？　大手も守っているの？（2017年→2018年）
Q2）新卒採用と、中途とどう使い分ければいいの？
Q3）「御社の採用ターゲットはどんな人ですか」にどう答えればいい？
Q4）なぜ、学生はリクナビ、マイナビを使ってないの？
Q5）「インターンの中身って、どう決めればいいですか？」
Q6）「うまく行ってるはずなのに……内定辞退って、どう防げばいい？」
Q7）「上位学生って、なんか生意気そう。学歴ってどう判断すべき？」
Q8）嘘くさい会社も多いけど、新卒採用サービスはどう見極めればいいの？
Q9）うちは、人手が足りないんですけど……どうすればいいですか？

質問1）倫理憲章って今どうなっているの？　守っているの？（2017年→2018年）

伝統的な企業の人事であれば、必ず気になるテーマ、それが倫理憲章です。面白いデータがあります。

※調査対象：就職活動を終えた学生139名へのアンケートをもとに筆者作成

これは、学生が「初めて内定を採った時期」にアンケートを採った結果です。面白いのは内定を出した企業の内訳です。

外資系企業がメインと思いつつ、実は、日系企業も多く含まれているのが現状です。特に影響力があるところであれば、2018年卒では、とある総合商社が大学3年の年内、とある広告代理店が年内に内定を出していました。

結果的に、約7割のトップ学生が、就活解禁前の5月までに内々定を持っています。反対にいうと、少しずつ「水面下で、倫理憲章を守らない企業が増えている」というのが実感値ですが、今年はどうなるか、見どころです。

質問2）新卒採用と、中途とどう使い分ければいいの？

近年、優秀な学生を採り続けられている企業には、「有効求人倍率」の影響もあり、採用単価200万円以上の企業が、普通にいます。採用単価200万円というのは、中途採用で例えると700~1000万円レンジの人間が取れる計算になります。(中途採用は年俸に20%~35%程度の料率を割り戻した数字で計算)

では、それだけかけて優秀な学生を新卒で採るメリットはなんでしょうか？

その理由は「新卒採用時以上に、優秀な人は、中途では採れない」という考えがあります。

これは言われてみると、しっくりくる話です。例えば、多くの社会人から人気であるマッキンゼーはなぜ、「優秀な中途社員が採れているか」というと、就活時のイメージが強烈だからです。反対にいえば、就活時に「優秀な学生が行かない」というイメージが一度ついてしまうと、それ以上のレベルの中途社員を採るハードルは一気に上がるのです。

多くの企業において、「新卒がメインプレーヤー」のフェーズが訪れます。Aクラスの人間は、Aクラスの人と仕事をしたがるが、Bクラスの人はCクラスの人と仕事をしたがるという言葉は有名ですが、「優秀なやつは優秀なやつと働きたい」というシンプルな話です。

もちろん、一部のベンチャー企業や、役職付きのヘッドハントなど例外は多くありますが、基本的にこれを把握しておくべきです。したがって「新卒は最大値を狙いにいき、中途は柔軟に人数を調整すべき」が結論です。「ちなみに私はこれを「新卒MAXの法則」と呼んでいます。

質問3）「御社の採用ターゲットはどんな人ですか」にどう答えればいい？

ベンダーが聞いてくる魔の質問。それが「御社の採用ターゲットはどんな人ですか？」。

あなたはなんと答えるでしょうか。実は、企業人事に聞くと、びっくりするほど同じ答えが返ってきます。具体的には以下の２つのうち「どちらかの答え」がほとんどです