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「競争力のあるものをつくりたい」 そう思ったときの6つのエクセレンス

はじめまして、北野唯我と申します。普段は、IT企業の役員として、せっせとプロダクトを作ったり、戦略を作ったりしています。今回は

「いいものを作りたい」
「競争力のあるサービスを生み出したい」

そう思う人へ向けたNoteを書きます。クリエイター気質のある人や、ビジネスオタクなら1度は悩んだことがあるだろう、この疑問。ただ、その際、悩むのは、では一体「それって、なんなのか?」ということではないでしょうか。いうならば「いいものってなに?」ということ。

経営の世界では、”オペレーションエクセレンス”という単語がありますが、これは、簡単にいうと、「業務プロセスが磨きあげられ、競争優位性にまでなっている状態」のこと。そして経験上、この

オペレーションエクセレンスは、最も地味だが最も強い競争優位性の1つ

であるのは間違いない。では、この「エクセレンス」は他にもどんなものがあるのでしょうか? これを一緒に考えていきたいと思います。

POCEMON

1つ目は、プロダクトエクセレンス。そのサービスが提供する本質的な価値を最大化させる方向だろう。プロダクトやコンテンツの価値は、いきつくところ「そこでしか手に入れられないものがあり」「サービスを使った後に変化が起き」そして「それが全くのストレスなく行われること」が大きい。

★プロダクトエクセレンスを目指す上で、追求すべき3つの要素
・そのサービスでしか手に入れられない本質的な価値
・情報構造処理としてのUI
・サービス体験後のユーザーの変化(storyboardの価値)

たとえば、新R25というウェブサービスが、成長をしているのは、この三つの要素が追求されているからだ。

・新R25でしか、得られない情報があり(本質的な価値)
・スマホで見やすいUIで(UI)
・読後に「読者の変化」が起きる(ユーザーの変化)

こういうことだ。これが一つ目、「プロダクトエクセレンス」だ。

二つ目は、オペレーションエクセレンス。先ほど述べたものだが、これは端的にいうと、「当たり前のことを、徹底して、素早く、効率的にやること」に尽きる。

★オペレーションエクセレンスを目指す上で、追求すべき3つの要素
人に対する対応とスピードの満足度
トランザクション発生時の対応スピードと精度
限界利益率を高めるプロセス改善

なぜ、キーエンスがあれだけ強いかというと、理由の1つは、このオペレーションエクセレンスが徹底されているからだ。たとえば、値引きしないで高い金額で売り切る力は、全社のオペレーション力で決まる。
スポーツで喩えるなら「人際に強い」というイメージだろうか。

三つ目は、クリエイティブエクセレンス。人の根源的欲求に訴えかける方針だ。人はシンプルに「美しいものが好き」「かっこいいものが好き」「可愛いものが好き」という部分があるが、これを追求した強さをさす。

★クリエイティブエクセレンスを目指す上で、追求すべき3つの要素
デザインの直感的な美しさ
手にとり、使った時の本能的なワクワク感
シリーズ全体で感じる「らしさ」の醸成

車のマツダが、なんであんな一部の人に熱い人気を持っているかというと、単純に「フォルムがめちゃくちゃかっこいい」のだ。そのサービスを目にしたとき、手に触れたとき、「本能的なワクワク感」を感じ取れるからだ。

四つ目は、エンジニアリングエクセレンス。プロダクトやサービス改善を行うための根底となる、技術的な基盤をさす。たとえば、どれだけプロダクトや、クリエイティブのレベルが高くても、それを実現する上での技術的な資産がないと、絵に描いた餅だ。

★エンジニアリングエクセレンスを目指す上で、追求すべき3つの要素
ユーザー体験を損なわないための技術的な強さ
スムーズな改善を可能にするデータ基盤
限界利益率を高めるプロセス改善

たとえば、トヨタが、コストリーダーシップの作戦(いい商品を大量に安く売ること)を取れるのは、オペレーションエクセレンスに加えて、「技術的な資産」が強いからが大きい。たしかな「技術」というイメージだろうか。

五つ目は、マーケティングエクセレンス。簡単にいうと、「めっちゃマーケティングが強い会社」を目指すということだ。より具体的には三つの要素が大きい。

★マーケティングエクセレンスを目指す上で、追求すべき3つの要素
マーケティングプロセスの科学化
ブランドメッセージが刺さるポテンシャル層の最大化
獲得効率の最大化

なんで、P&Gが安定して、確実に「商品を売り続けられているか」というと、クリエイティブの力ではなく、そのマーケティングプロセスが限りなく「科学」されているからだ。つまり、誰がやっても「ある程度成果がでるように」研究されつくされているからだ。
あるいは、ルイヴィトンのようなスーパーブランドがなぜ、「メジャーブランド」になっていったかというと、段階に応じてブランドメッセージが刺さるポテンシャル層を広げていったからだ。これだ。

六つ目の最後は、ちょっとテイストが違うが、「トレンドに乗る巧さ」だ。どれだけ、他のエクセレンスを持っていたとしても、結局、世の中のマクロトレンドには勝てない。競争力のある企業は、常に時代に合わせて、微妙にピボットさせていく巧みさがある。

★トレンドに乗る上で、追求すべき3つの要素
マクロトレンドに少しずつカスタマイズさせていくこと
適切なプラットフォーマーで一位になること
業界のキープレーヤーやメガプレーヤーとの提携

たとえば、Spotifyが生まれてから、明らかにアーティストが「No1を取るべきプラットフォーム」は変わってきている。あるいは、Youtubeや、Instagramなどもそうだ。強い企業やこの変化に乗るのがめちゃくちゃ巧い。

なぜ、このNoteを書いたのか

「競争力のあるものをつくりたい」

というニーズは、新しいものを作る人にとっては、とてつもなく強いものだろう。自分もそうだ。ただ、問題は「いったい、それってどうやって作るのか?」というのが、なんとなくバラバラで、特に言語化されていないことだ。今回、これを6つにまとめて、POCEMON(ポケモン)と名付けた。

このNoteを書いたのは「自分の脳みそを整理して、とりあえず、世の中に置いておきたい」と思ったからだ。

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