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路面電車のある町

宇都宮でライトレールが開通したとのことで、全然違うところに住んでいるのにちょくちょく調べていたりします。

全国では新規路線は昭和23年以来、LRT新規路線としては初めてとのこと。東日本でも古くは各地であったものの廃止されて、今回の宇都宮の取り組みは新しいものであり、またこれからの可能性を図るためのものとして取り扱われそうでだいぶ気になっているところ。

日本の路面電車

そんなわけで路面電車が好きです。
といっても、路面電車そのものよりも「路面電車のある風景」が好きだったり。
路面電車のある町に行くとついウキウキしてしちゃうんですが、この機会にそれがなぜかを改めて考えてみたりしました。ついでに生業である公共空間の設計として考えつく路面電車があることでよいことを、つらつらとまとめてみようかと思います。


車が第一優先ではなくなること

意図してるかどうかは別として、車と同列か公共の乗り物ゆえに優先的な扱いになること。これはその土地の共通認識やモラルもあると思うけど、わりと自然とこうなってしまうのがいいものだと思っていたり。
ウォーカブル施策を進めている都市では車道を狭めたり、車を郊外に追いやっていたりも。


人の行き来が増えること

ドアtoドアの移動がなくなるので、路面電車の活用で自然と町を歩く人が多くなるのは間違いないかと。その分車もいくらか減っているはず。
人がいるのを感じられるのはパブリックなオープンスペースとして大切なこと。人口減少でこれまで以上に人気(ひとけ)がなくなる地方では特に相性いい。


ふらっと乗れること

バスや自転車に乗るのは出発の際に決まるものだけど、路面電車はそうでもない。バスより本数が多く、自転車のように駐輪を気にしなくてよい。(重荷にならない)
遠目に路面電車を感じて乗るのもよし、歩けるところまで歩いて疲れたら乗るもよし。車内が空いていたらそれはもうあたかも動くベンチ。


町に動きが加わること

人と車以外の動きが加わっている。車と人の間の速度の動きが賑やかさを生んでいると感じられる。
動く夜の路面電車が町の照明や景色になっていたりも。


歴史を感じるたたずまいがあること

各地で明治から昭和期に整備された軌道が残っていたり、石敷の舗装が見られたり。町並みとして歴史に触れることができる。
トラムになると、これからの未来を感じるのがよいところといえるかも。


停留所が仰々しくなく、かわいいこと

道路上にある停留所なんかはこじんまりしていることが多い。
駅に隣り合う停留所などは大きなキャノピーがついていることも多いけど、屋根がない停留所や、舗装が立ち上がるだけの停留所があったりと。
公共の施設である駅や電車関連施設は頑丈さも必要で大型になりやすいところ、路面電車はおそらく道路上の制限ゆえに小さく素朴になりやすいのかと。これがヒューマンスケールに近づきちょうどよい感じを与えてくれている。
路面電車本体も大型バスより小さいくらいなのが、これまたいいのかもしれない。


路上のオープンスペースであること

これらのこと考えると、他の町にはない路上のオープンスペースが町中に存在しているのと同じこと。
路面電車を利用する人々の往来の様子、架線が貼り巡っている様子などは路面電車のない町の住民としては、このあたりがとても不思議で魅力的に感じたりも。


ちょうどこないだ訪れたフランスではウォーカブル施策や15-minute sity施策などで10年以上前からトラムを積極的に取り入れていたのを見ました。
歴史的町並みと合うのか?と思ったところもあるけど、そこはしっかりデザインして調和させている感じも見て取れたりも。

建物だけでなく、外構パーツである舗装やストリートファニチャーとの調和もしっかり考えられていて、色や素材もしっかりと考えられてました。


路面電車の整備はお金かかるし、これからの人口減少や車産業のことを考えると日本ではなかなか手を出しづらいと思うところですが、少しずつでも拡がってほしいなと思うところです。
というわけで、ひとまず宇都宮で上手く運用されてほしい!
ほんと期待。それと早く見に行きたい。

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