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三浦春馬 作品レビュー MV 「Night Diver」

彼の作品を順番にレビューしていこうと思っていたけれど、今日はこれが届いたから先に記してしまおう。

このMVが、7月24日(金)のMステで放送されたとき、まだ動揺が大きくて、動く春馬君を観るだけで胸が締め付けられて、息も吸えないような感じになって、歌詞も音楽も何もかもが全然頭に(耳に)入ってこなかった。
「何だよ、ちゃんとキレッキレに踊れてるじゃないか!」と、少し怒りにも似たような感情を抱きながら、画面を見つめるしかできなかった。

ようやく少し時を経て、このMVを落ち着いて眺めた。

音楽

まず、アレンジがめちゃめちゃカッコよくないか。
トロピカルハウスっぽくもあり、K-POP風っぽい感じもあるEDM。
このアレンジを聴いて「あぁ、本気だったんだな。」と思った。
最近やたらと多い、ちょっとばかし歌が上手い風の俳優のそれとは一線を画す。
申し訳ないけど、ああいう片手間にやってるような人たちに、この曲は無理かもしれない。
これは「俳優の三浦春馬」ではなくて「シンガーでありダンサーでもある三浦春馬」への、ジャンル的には三浦大知君に近いような、本気の歌い手向けの曲だ。
春馬君ならできる。
春馬君ならハイクオリティの作品が作れる。
「俳優」だけではない、「歌手」としてもトップに行けるぞ!って、これをセカンドシングルにブッ込んできた、春馬君とそのスタッフの意気込みというか、攻めの姿勢が伺える。
きっと素直な彼の事だから、この曲を初めて聴いた時に「カッコいいですね!」って喜んだであろう。
出来れば、スピーカーなら大きめの音量か、イヤホンとかヘッドホンとかでも聴いてみてほしい。
よく聞くと、ところどころに彼の息遣いの音も入っているから、そこもキャッチしてほしい。
厚みのあるベース、スティールパンとかティンパニーっぽいリズムパターン、速いビートに丁寧に載せた春馬君のハイトーンの歌声が絶妙に合い、なぜか夏の夜っぽさが醸し出される不思議。
蒸し暑い夏の夜、夏休みが終わったらどうなるのかな、終わりたくないな、みたいな、閉塞感への嫌悪、開放感への恐怖みたいな、そんなイメージ。
春馬君、この曲、すごいカッコいいよ!

ダンス

で、このコンテンポラリーなダンス。
こんなにしなやかに踊れるんですよ、春馬君は。
ドラマでしか彼を観たことない人はびっくりするだろう。
大きな振りは、コレオグラファーの人に付けてもらうんだろうけど、細かいアドリブっぽい振りは、恐らく、自分発信なのだろう。
彼は俳優だし、ミュージカルの経験もあるから、自分がどう映るか、見えるかわかっている。
演じる時と同じように、一つ一つに意味を理解して、考えながら踊っている。
というか、半ば、演じているような感じもする。
レベルが高い。
何度も言って悪いけど、歌ウマ俳優のそれとは違う。
Mステとかのライブ用の振りもちゃんと練習していたんだろう。
テレビでバッキバキに踊って歌う春馬君を観たかった。
どちらかと言えばだけれども、俳優の時の春馬君よりも、歌って踊ってる時の春馬君の方が好きだな。

このMVの撮影時にも、彼の心中がどうであったかわからない。
しかし、どうであっても、妥協を許さない、目指す所が高い、丁寧に作り上げていった、そういうパフォーマンスだった。
春馬君、貴方は素晴らしい。
ここまで出来る人は、他に思い当たらない。
だからこそ、「どうして?ねぇ?」そんな思いが、歌詞にもあるように、私の頭の中で、ループループループループする。
何度もこのMVを眺め、やっぱり、何でいなくなっちゃったんだよと、やりきれない思いはまだ残り続ける。
まだまだ彼のご冥福をお祈りできるような心の準備は整わない。
でも、こんなに春馬君は一つ一つの作品に向き合い取り組んできたんだ。
彼の渾身の作品なんだ。
最高の表現者、エンターテイナーがいた事はこの先も伝えていきたいと思うように、少しだけ前向きな気持ちにはなれた。

ということを、数週間前にYouTubeでこのMVを観ながら思った。
次に思ったのは、これは何か形で手元に残さねばならないということ。
サブスクリプションじゃダメだ。
YouTubeじゃダメだ。
即座にAmazonで予約した。
初回限定盤のCD+DVDを、しかも、Amazon限定のクリアファイルの付いたやつ。
もはや、春馬君の物は全部欲しい。
それで届いたのが、上の写真のヤツ。
CDを現物で買ったの、何年振りだろう。
しかも、音楽系のDVDなんて、10年位買ってない。
でも、これは買わずにはいられなかった。

この作品は、単に春馬君のファンだけでなく、音楽好き、ダンス好きの、耳や目の肥えた人達の期待にも応えられる作品だと思う。
これからも多くの人の目に触れてほしい。
それくらい、とても美しい作品に仕上がっている。
ぜひ、CDを買うなり、配信ダウンロードするなり、サブスクなりで聴いてみて欲しい。

前の記事「三浦春馬と私。」にも書いたように、そんなに熱心なファンではなかった私だけど、訃報に接してからで遅かったかもしれないけど、1カ月強の間、沢山の春馬君の作品を観た。
その数々の作品を観るにつれ、彼が一つ一つの役に向き合い、丁寧に取り組んできたことを知る。
それを経て、このMVに辿り着いて観て、さらに、別記事「三浦春馬 作品レビュー MV「YOU Studio Session」/ 「Documentary of Night Diver」(「ONE」「YOU & I」のレビュー含む)」にもあるように、レコーディングやMV撮影時のドキュメンタリー映像からもわかることは、三浦春馬という人は、本当に真摯で一生懸命な人なのだということ。
春馬君は、30歳で自らこの世から去った悲しい俳優、ではない。
30歳までに携わった作品の全てが最高で、演じて歌って踊れもした最高の俳優で、そんな彼が太く、深く、濃い人生を超ダッシュで走り切ったんだと思えるようになった。
これらは春馬君、貴方の生きた証。

人なので、気持ちは行ったり来たりはするものだから、また落ち込んだりはするかもしれない。
でも、少しは前向きに考えられるようにもなったのは良かったかも。
春馬君、元気くれてるよ。

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