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コロナワクチンにおける職域接種開催に至るまでの流れ②(2021年6月21日)

なかなかの無理ゲー感をなんとかクリアして、私の担当産業医先でも今週(6月第4週)からの職域接種が開催できそうです。
ここまでに何度も大声で叫びそうになりました。

これまでの経緯

2021年6月1日に嘱託産業医先から職域接種をして欲しいとの依頼があり、いろいろな流れで受けることとなりました。当初は最速の21日に接種開始で取り組んでいたのですが、諸々の事情で2日遅れることとなりました。その辺りも今回触れておきます。

直前のドタバタ

前回記事の後に、全国で1,500弱の企業が職域接種に手を挙げていることを知りました。今日の時点では2,500くらいだったかな。ほとんどは従業員1,000人以上で、産業医が常駐している大企業だと思われます。一介の嘱託産業医が職域接種の書類をこのタイミングで出すことを想定していなかったのではないだろうか考えています。それくらいどこに聞いても何も分からないことだらけでした。

冷凍庫が届かない

6月21日からの接種を想定して動いていましたが、その前の週の木曜日(接種開始4日前)に企業から電話が入り、冷凍庫が届いていないし、いつ届くかが分からないと自治体から言われたとの報告がありました。

まじですか・・・

冷凍庫が届いていないってことは、ワクチンが届かないんです。それなのにPPEなどの物資は届いているというカオス・・・自治体に連絡すると、PPEなどの物品担当と冷凍庫担当とワクチン担当はそれぞれ別な担当者で、それを統括している人がいないと言われました。
翌日の18日金曜日になってやっと、冷凍庫が届き、ワクチンは21日に届くことが判明しました。この時点で企業は21日にワクチン接種をする方向で動いていますし、僕も当然そう考えていました。ここからリスケが始まります。21日の人を7月5日に変更、当然3週間後の2回目接種予定だった7月19日は8月2日に変更になるわけです。さらに元々の2日間に予定していた看護師の手配をキャンセルし、新たに2日分の看護師募集をしないといけなくなりました。キャンセル料なんてないですし、医療者の仕事が飛んでも給与保証はないんです。この説明とお詫びは地味に大変でした。

エピペンが無償提供されない

自治体が主体でやっている集団接種には自治体の担当者が連絡すると、数に限りはありますがエピペンが無償提供されることになっていました(記事参照:https://www.mylan.co.jp/ja-jp/news/2021/epipen)。職域接種でもお願いできないかとマイラン社に直接電話したところ、自治体担当者から連絡してもらえらば提供されるということでした。早速担当者に連絡したところ、「前例がない、把握していない、厚生労働省への確認が必要」と門前払いでした。
もっと時間があれば担当者を問い詰めるところでしたが、ボスミンもあることだし、残念ながら引き下がりました。
せっかくの機会だったのに・・・

職員なのに打てなかった人はどうする

今回の職域接種について、接種対象となるのは職員とその家族等となっているんです。つまり、親兄弟にも打てるんです。そうなると、みなさんの期待も高まりますが、会場の問題と打ち手の問題で限界があるのです。そして、スケジュールの問題でその期間では無理とか土日しか打てないと言う方も出てきました。私の場合は週3回(うち土曜1回含む)、2週間を2回、計12回と先に決めておいたのでさほど混乱はありませんでしたが、それでも200人弱は職域で打てないと言う事態になっています。さらに、1回目は打てても2回目がスケジュールが合わないという方もいらっしゃいます。
職域で打てなかった人は医療機関か集団接種会場で打ってもらうしかありません。また、2回目が打てなかった人は、職域接種はモデルナを使っているので集団接種でモデルナを使っているところを探してもらうことになります。
この説明もまぁまぁ大変でした。

医療者をどう集めるか

職域接種は前にも書いた通り、企業と医者の契約ではなく、医療機関と自治体との契約で行われます。その医療機関に属している医療者が打ち手になる接種なので、気軽に他からバイトを探したりができないのです。仮に企業の会議室等で接種を行う場合、勤務医の人たちは「時間外」の労働をすることになります。つまり、休みの日か休みを取っての接種となります。ここで面倒なことが起こります。今回のワクチンは医療報酬にあたるため、ワクチン接種の数に応じた医療報酬が自治体から医療機関に支払われるのです。そう、医療者にではなく医療機関に支払われるのです。最初に医療者への給与(日給なのか、時給なのか、接種数なのか)を明確に決めておかないとタダ働きになる可能性も含んでいます。もう一つ、契約は医療機関とされているはずなのに、企業との話はほぼ産業医をやっている医師との話なので、看護師の手配もしないといけないのです。

なかなかハードモードの無理ゲー感が伝わっているでしょうか^^;

他の産業医の先生に聞くと、とてもできるものじゃないし面倒くさいと、すでにやらない方向で考えている方も多いですね。

現在の状況

18日に冷凍庫が届き、21日にワクチンが届いたそうです。これにより23日からの接種が本決まりとなりました。2日接種開始日が遅れましたが、ここまで3週間で行っているのを自分でも褒めたいです。
当日どのようなアクシデント、ハプニングが起こるか分かりませんが、それはまた書かせていただきます。

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