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ツアーナンバーガール

私がナンバーガールと出会ったのは、大学2回生のとき。そう、ナンバーガールはもうすでに解散をしていた。

所属していた軽音部の先輩にすすめられたからYouTube で透明少女のMVをみたのを覚えている。なんだこれは?と思った。

まず普通のバンドにはない変なMVだったこと。曲の疾走感がとても伝わる映像だ。

もう一つある。どの楽器も主役のバンド形態である。ヴォーカルもギターもベースもドラムも全ての音が大きい。でも個々がバラバラに音を出しているのではなく、一体感がある。こんなバンド今までに聞いたことがないと思った。特に私が担当していた楽器であるギターの音を聞いたとき、私はびっくりした。こんな力強い音を女性ギタリストが演奏しているのか!とも思った。もう私は田渕ひさ子にメロメロになった。

軽音部最後の年である3回生のときにナンバーガールのコピーバンドを組むことになった。このことがキッカケで音源を聴き漁るようになった。

私は田渕ひさ子の音をコピーした。言葉では表現しにくいあの音。ガーガーでもなく、ギーギーでもなく…。とにかくどんな風に演奏したら、ギターからそんなに鋭い音が出るんだろうと思った。ライブパフォーマンスも印象的だった。ギターを持ち上げてわざとハウらせたり、ハイフレットでキンキンの音を鳴らしたり。実際にみてみたいと思った。でも私がみられるのはYouTube のライブ映像だけだった。毎晩毎晩寝る前にライブ映像をみて弾きかたを研究した。

他のバンドにはない、あの演奏を実際にみることができないことが、私には本当にショックだった。もっと早くに生まれたかったとさえ思った。

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2019年冬、私は卒論の大判ポスターを印刷していた。友人が「ナンバーガールが復活する!」と言うので、思わず声が出た。実際にみるチャンスが私に与えられたのだ。

そして今回、なんばHatch で行われたツアーナンバーガールで実像をこの目でみたのだ。そうナンバーガールは実在したのだ。

なんばまでいく電車の中でもうすでにソワソワしていた。今までYouTube 越しにしか会えなかった彼らを実際にみることができるなんて、想像もしてなかったから。

映像だけではわからない、会場の雰囲気も十分味わえた。おしくらまんじゅう状態で、ぴょんぴょんと曲のリズムに合わせながら跳ねて、一緒に歌を歌う。本当に最近復活したの?と思わせるようなメンバーの演奏。すごかった。目の前であのとき夢みた光景が繰り広げられている、これはもしやまだ私は夢の中にいるのか…?とさえ思えた。

2時間は本当にあっというまだった。
透明少女のあの疾走感のように。

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