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最後のカレンダー。

 12月に入り早十日過ぎてしまったが。
12月の最後の一枚ではなく、懐かしい現地カレンダーのこと。
そのカレンダーは日本とはまったく様相が違うため、見づらい、わかりにくい、とも言われるが、とてもカラフルで可愛く、私には多方面で使いやすかったのだ。


マレーシアのカレンダーは縦型


 カレンダーは横に数字が1から2と、左から右へと、順番に並んでいる印刷物と思っていたら、面食らう。
「え?コレどないなってるの?」 
衝撃でしょ?だって、上から下に数字が並んでいるんだもの。さらに色使いもチカチカするほどキッチュだ。
上面には十二支の干支の動物が並んでいる。猪は元祖の中国版では豚ちゃんだが、豚はイスラム教徒ご法度のため、そこだけ「漢字」で描かれている。
文字もさまざま。マレー語もあり、漢字(中国語)もあり、タミール語もあり、12月のカレンダーは多言語で「学校休暇」と記載されいている。とにかく情報がてんこ盛りでどの民族にも対応している。

December 2019

民族ごとの祝祭が休日になる

 多民族かつ多宗教のマレーシア。国民の最大宗教はイスラム教ゆえ、西暦2019年だけでなくイスラムのヒジュラ歴1441年、右側に明記されている。左側には農歴(中華暦)己亥年十一月から十二月、陰暦だから少しずれている。そして、12月は華人にとって「冬至」も大事な節句だからイラスト入だ。
セランゴール州のサルタン(州宗主)の誕生日は11日、その日のセランゴール州民はすべて休日、会社も休みだ。日本では「●●県の日」みたいな感覚だろう。
さらに、12月25日は毎年固定の祝日・クリスマス。独立前は英国領だった経緯もありキリスト教にも敬意を払い、互いの宗教を認め合ってるところが、またいい。


宗教祝日は毎年月日が変わる

June 2019

 一年は365日、と制定したのは西暦、つまりヨーロッパ人。
一年は354日、がイスラム(ヒジュラ歴)、西暦より11日短い。
だから毎年、ラマダン(断食月)は11日ずつ日付が若くなっていく。ラマダン明けのハリラヤ祝祭は国全体で盛大に祝われるのだが、毎年日付が変わるのがややこしい。マレーシア国民もカレンダーをみるまで、今年のハリラヤがいつなのか分からない。ハリラヤ休日は最低でも三日間、上記では6月5日、6日がお祝いにちなんだイラスト、6月7日は華人の端午節という節句。

 ラマダン日程例
 2022年:4月2日~5月2日 
 2021年:4月13日〜5月12日
※国によって、新月の観測状態などにより多少前後する。

 イスラム教だけでない。華人たちも陰暦を元に暮らしているため、2022年の春節Chainese New Year(略してCNY)は二月一日。そしてその二週間後は「元宵節」があり、俗に福建正月とも呼ばれるその日は、新年あけて初満月だから盛大に祝われる。台湾や長崎のランタン祭がこれに当たる。「中秋節」も大切な節目で、旧暦八月十五日には満月を愛でながら、月をかたどった「月餅」を家族で食べるのが習わしだ。カレンダーで今年はいつかな?と確かめたりする。
 満月と新月が記されているため、漁師達はカレンダーで潮の満ち引きを確認するのに重宝する、とも聞く。

 その上、ヒンズー教徒の祝祭日もある。2月のThaipusanタイプーサン奇祭は本国インドよりもマレーシア国内の方が盛大と、インドからの信者達が大勢詰めかけるという。


 そんなカレンダーだが、じつは私は一度も買ったことがない。

 マレーシアの現地市場では、12月後半に商店名を入れたカレンダーが発行され、常連客さんに配られるのだ。それを、正月休みに一時帰国する、日本在住のマレーシア友人に毎年お土産としてもらっていたのだ。大きいサイズのときもあればハガキ小のサイズのときも、ぺらぺらの印刷のときも厚紙のしっかりした紙質のときも、とにかく毎年カレンダーを入手出来ていた。ところが、2020年、2021年と、誰もマレーシアに帰国できず、もう二年が過ぎてしまった。カレンダーの時期は12月後半から1月中、2022年もオミクロン株の感染拡大があり、手に入れられんだろうなぁ、きっと。
つまり、2019年のカレンダーが最後かもと思い、愛おしくて捨てられない。

ところで、新しい手帳に、真っ先に何を記入するか。

家族の誕生日?
仕事の重要執行日?
旅行の予定?

私は、ラマダンの時期、CNY・旧正月を調べ、まず書く。それが、withコロナの新たな習慣になった。

2022年マイ手帳



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#2022年 #来年こそ



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