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育児と介護のダブルケア から考える

国勢調査によると1980年代後半から未婚率が上昇傾向になっていて 2000年で未婚率は 男68.2% 女55.5% だそうです。結婚していない人のほうが多くなっています。子育てに対する負担の増大・経済的不安定の増大が結婚・出産に対する考え方を変化させていたり ひとつハードルを越えても 仕事と子育ての両立できる環境の整備不良が際立ち 男性の育児不参加も取り上げられています。子育ては贅沢なことになってしまったのかもしれません。

未婚 晩婚化が定着すると 「少子化」と「育児と介護のダブルケア」が課題になります。厚労省の介護保険事業状況報告書によると要介護認定者(要支援認定者)は2035年までに大きく増加して2040年にピークを迎えて988万人になると推計されています。2000年の介護保険制度開始以降当初の介護職員数は54万9千人でした。2016年には183万3千人です。厚労省の資料によると2016年当時の介護人材の需要人数は約190万人とされていて 7万人既に不足していました。今後2020年には約216万人 2025年には約245万人の介護人材が必要になると推計されています。介護人材の確保は2020年度に約26万人 2025年度には55万人必要です。年間にすると約6万人の介護人材の確保が必要になります。

老齢人口と介護人材のバランスが大きく崩れている中で 「育児と介護のダブルケア」は現実的です。国は介護保険制度の改正により 施設利用料が安価なことから入居希望が多く待機者の多さから問題視されていた「特養」の入居基準を繰り上げました。2015年4月から要介護度1~5の認定の方から要介護度3以上の方に変更しました。入所のハードルが高くなりました。介護度が低いと種々のサービスを利用しながら在宅での介護を行うことになりがちです。当然在宅で可能な状況であれば一つの方法です。認知症ではなかなかそうはいきません。どんなに徘徊や周辺症状がでていても自立(歩行)できていると要介護度はよくて2です。特養を希望するなら特例申請が必要です。入所できるまでは大変です。認知症の介護を家族のみで行うことの難しさは 患者さんの身体症状(しっかりしている)< 精神症状(記憶・見当識・妄想・徘徊などみられる)のギャップです。身体症状(衰える)=精神症状が等しくなる頃に家族だけの介護は少しだけ本当に少しだけ楽になります。認知症患者の在宅での介護と育児の両立はまず無理です。

国はそのほかに 特養のほか老健でも 従来型個室・従来型多床室からユニット型個室への切り替えを進めています。所得が反映されるとはいえ利用料金は高くなります。生活援助の見直しも行われています。また 厚労省は2025年を目途に地域包括ケアシステムを推進しています。介護保険の保険者である自治体が中心となり地域の自主性や主体性に基づいて介護・医療を行っていくものだと認識しています。地域共生社会の実現らしいです。住み慣れた地域の中で最後まで自分らしく生活できるように推進するそうです。耳障りの良い言葉を羅列していますが 国としてはさじを投げたということなのでしょう。そう思っています。2025年度を目途に?そのときのあらたな介護人材は?介護保険料はどこまで上がるの?対象となる介護度は?地域 在宅というならば介護する側のレスパイトケアの施策は? 仕事と育児と介護の両立に対する施策は? 近い将来介護費用と体力は必須です。(私は3山踏破しました。残すは1山です)

無事介護をやりとげて次に来るものは「死」「お別れ」です。高齢化社会=多死社会です。誰もがいつか行く道です。人口の多くを占める高齢者が死亡して人口が減少していきます。2038年には推計によると年間死亡者数170万人だそうです。2017年の時点で65歳以上の人口が総人口の27,7%に達し 70歳以上の人口でも総人口の19,9%に達していました。我が国の5人に1人が70歳以上です。費用と体力がここでも必要です。当然死亡すれば葬儀→火葬→墓(納骨)となります。まずどこでどのような葬儀をするかを考えるはずです。お通夜・葬儀・告別式。宗教観の変容であったり子供に負担をかけたくない親の気持ちから お通夜を行わない1日葬や家族葬、直葬など葬儀に幅が出てきました。家族葬や直葬は費用を安価に抑えられます。それらに人気があることは本人の意向も含めて今を表しているのかもしれません。公営斎場公営火葬場(セットのことが多いです)。自治体の住民であれば優先的に安価に利用できます。火葬場の併設が多いので火葬場までの移動費用などかさまずにすみます。葬儀終了後に火葬に移れます。しかし今は火葬の日時が取りずらく 思っていた段取り通りに進まず遺体を自宅待機させることも珍しくありません。それだけ火葬場はフル稼働です。ここでかかる費用が遺体を保管するためのドライアイス代です。氷屋さんで買えば安価なものが セット料金になっているとそれもできず ドライアイスの取り換え費用がかさみます。夏場は大変です。人件費がはいるのでドライアイス代だけとはなりません。今は待機遺体を預かるビジネスもあるようです。民営斎場民営火葬場は公営に比べてすべてにおいて当然割高です。

葬儀を終え待ち構えるのは お墓(納骨)です。少子高齢化や核家族化が進んだことや 先にも触れた宗教観の変容、子供に負担をかけたくない親の気遣いなどから お墓の購入や継承だけが選択肢ではないようです。改葬(お墓の引っ越し)や墓じまい、手元供養や散骨などいろいろな供養を選択できるようになりました。しかし手元供養以外は当然お金がかかります。お墓の改葬・墓じまいではたくさんの手続き書類の他に費用がかかります。古いお墓の魂抜き・新しいお墓の魂入れ・石屋さんへの費用です。魂入れ・魂抜きは仏壇の買い替え・購入でも同様にかかる費用です。そのほかに 納骨では寺院墓地では戒名(法名)がないと納骨できないことがあります。戒名をつける費用が必要です。おかしな話ですが戒名にもランク付けがあり 相場があります。感謝の気持ちを戒名料というお布施で支払います(笑)。霊園では戒名の有無は関係しないので余分な費用は省けます。魂入れ・魂抜き・戒名料・墓地の年間使用料等々のために費用と体力はまだまだ必要です。

晩婚化を考えていたら いつまでもお金がかかる嫌な世の中の話になってしまいました。笑いごとにはできません。「育児と介護のダブルケア」の視点から世の中を考えられませんかね?

「ちょっとやってみようかな、マネしてみようかな」というところからカラダの使い方に興味をもってもらえれば嬉しいです。