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批評中習者の感想⑥(亀野あゆみ『第X章 アバター、そして、コータローの涙』評)

12月の中旬以降にらいろいろ忙しくて、年末ぎりぎりになってしまいましたが、第1回透明批評会12月度 亀野あゆみさんの『第X章 アバター、そして、コータローの涙』評を致します。

この作品は、ハードボイルド? とかアクションがでてくる長編小説のメインの登場人物が、物語の本質から外れてやり取りするスピンオフのような短編小説で、これだけ読んでも楽しめるような内容になっています。

その中でも、日々の戦いのつかぬ間の休息という時間帯で、映画やドラマでもシーンとして登場するような情景が見られます。

メインの登場人物たちが、安全が確保さえれたバーで酒を飲む。その中で政治家の悪口といった、ありきたりな内容から入りながら酒がすすみ、ついにコータロー氏の足元がふらつくほどまでになる。

その酔った時に時に思わず、普段の激闘の時では、できなかったコータロー氏の何気ない質問により物語の本筋に入っていきます。

ここで「アバター」という言葉が出てきます。生れてから新しい環境に変わるために新しい「アバター」が登場しては消え、新しいアバターという風に人生を見ています。

このあたりのやり取りは、読者にも共感の様なものが与えられるような気がします。人生を生きる時にその場面その場面で必ずしも一貫して同じ姿勢で応えるかどうかはわからない。すべて同じにすれば、必ず摩擦が生じるからある程度その環境に合わせないといけないわけです。

その環境に合わせた状態こそがいわゆる「アバター」ではないかとこういったことを、読みながら読者に問いかけてくれるような作品に見えました。一方的ではなく双方向作品という意味では非常に高いレベルではという気がしました。

物語の終盤で、女性たちよりも劣っているのではと悩んでいたことが分かったコータロー氏を励ます女性たち、チームワークがさらに結束していく過程を見ているようでした。

酔った勢いをうまく利用して、普段なら話せない「人間の本質」がうまくあらわされており、この作品単体でも楽しめるのも良いですね。

(私は本編の方も楽しませていただきました)

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さて、もし私がここでこの作品を書くならという事をいつものように考えてみました。

多分、これを長編の本編に紛れ込ませるかと思います。その方が、このエピソードを通じて、主人公たちのメンバーの結束がより深まるきっかけのようなシュチュエーションになります。そしてこの後出てくるさらなる困難に立ち向かえるという、良くあるパターンかもしれませんが、それが本編とこの短編がうまく相乗効果を果たすのではと思いました。

あと、それで長編の読者にもよりメインの登場人物たちのそうなると長編のボリュームの長さによっては、これに近い(もっとお互いの心の中を、探り寄せているレベル)のシーンを入れるくらいでしょうか。今回のは完全に信頼しきっているというのが、酔っ払い具合からわかりますので。

恐らくは、批評会のために、抜き出されたのかなとは思いますが、そのあたりが私が気になった点でした。

追記:2018年は、この小説批評会に大変お世話になりました。次回は未定という事ですが、noteでも他の場所でも構いませんが、もし再開することがありましたら声をかけてくだされば幸いです。

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