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「地方の宝”地宝”を取り上げる」(株)チームふらっと 代表取締役社長 ”晴野 まゆみ”さん

「存在とは消えゆく儚いもの、だからこそ愛おしい」消えゆく存在を証明する ”晴野 まゆみさん”のお話をお伺いしました。

晴野まゆみさんプロフィール
出身地:東京都
活動地域:主に九州・沖縄
経歴:出版社勤務後、昭和63年にフリー独立。以来、企業広報誌・雑誌・新聞などで取材執筆を行う。2011年「ふらっと」創刊、2012年11月株式会社チームふらっと設立。
現在の職業および活動:株式会社チームふらっと代表取締役社長・編集長 西日本で唯一の道の駅に特化した旅の無料情報誌「ふらっと」を発行。企業・自治体等の紙媒体制作も請け負う。
座右の銘:「人事を尽くして天命を待つ」「座して死を待たず」

「衰退していくものの価値を見出し活かしていく」

Q1.晴野さんは、どのような夢やビジョンをお持ちですか?

晴野 まゆみさん以下、晴野 敬称略) 今の時代は、少子高齢化、後継者不在、地方の過疎化、AI時代に人間の力がどうなるのか、など、多くの課題があります。この様な時代に、衰退していくものの良さを発信していきたいと思っています。

そのひとつとして、紙媒体の良さを発信していきたい。紙媒体は、Webに比べたらスピードは劣ります。けれど、何段階もの手間暇をかけ、校正も厳しいので、信頼性がとても高いんですね。そして、紙媒体は手触りや質感など物質としての存在感もあります。Webの良さも、紙の良さも、両方活かしていきたいです。

そして、地方の埋もれている観光資源も活かしたいです。地域の宝「地宝」を引き出し発信しています。それが、地域活性に繋がったり、地域の価値に気づき、地元の方たちの自信にも繋がれば良いなと思います。

これからの未来、地方は更に厳しくなります。第一次産業をやっている人たちは老いて行き、後継者もいません。紙も、農業も、地方も衰退していきます。それを悲観せずに何とかしたい。衰退する中にも、素晴らしいものがたくさんあるので、それを知ってもらいたいと思っています。

「地方の宝 ”地宝” を発信し、人を呼び込む。」

Q2.その夢やビジョンに対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?

晴野 ”ふらっと”という情報誌を年に4回発行しています。地元の人も気づかないような、地方の宝「地宝」を発見し、発信しています。

近々実現させたいと思っているのは、インバウンドでICタグを使いながら、海外の人も、地方に来ていただけるような取り組みをしたいと思っています。

「美しい文化を残したい、伝えたい。」

Q3.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

晴野 私は、30歳でフリーライターになり、九州中を取材で周りました。長年、地方を周る中で地方の素晴らしさと、衰退に向かう寂しさの両面を観てきました。

美しい文化があっても、数年後には朽ち果ています。
ずっと憧れていた伝統工芸の”知覧傘”。素晴らしい工芸品なのですが、つくり手の職人さんは居なくなってしまいました。
 ”薩摩ボタン” からは日本人の繊細さや美しさに驚き、魅了されました。しかし、職人さんは殆ど居なくなってしまいました。

こんなにも美しいものが、誰にも知られないまま消えてしまうと思うと、とても寂しくて、「何とか残したい、伝えたい」と思うようになりました。

AIや科学が進化して、ものも簡単に作れるかもしれません。しかし、体調や気分が毎日同じではない不完全な人間が心を込めて、丹精を込めてつくるということに、とても愛おしさを感じます。

記者 晴野さんにとっての”手間暇”は、純粋な作業量ではなく、人間の心が込められたものなのだと思いました。

晴野 そうなんです!今の社会は、「手間暇=ネガティブ」と思われがちですが、「手間暇=価値」という価値観もとても大切だと思っています。日本人は、とても繊細で器用です。季節の移ろいなどにより、繊細さは日本人のDNAに入っています。その価値を伝えていきたいです。

「存在は消えゆく儚いもの。存在の証明をしたい。」

Q4.「美しい文化を残したい、伝えたい。」と思われる背景には、何があったのですか?

晴野 何でしょうね?ただ、子供のころからどこかセンチメンタルな面を持っていました。無くなるものに対して寂しさを感じるのです。私が生まれ持ったものかもしれないですね。

以前、私は「失われた風景」という本を出版しました。失われていく風景や建物を記録した本です。その時代にこの場所で、誰かが夢を持っていた。けれど、その夢は消えゆく儚いもの。私はそこに琴線が揺さぶられ、愛おしく感じるんですね。消えゆく存在を証明をしたいと思うようになっていました。

その想いがどこから来たのかは分からなかったのですが、、、
今思えば、父の影響も大きいと思います。私の父も、時代から取り残されて消えて行くものを捨てきれない人でした。「すごく柔らかくていい音なんだ」と、真空管を集めたり、蓄音機や古銭も集めていました。イギリス製の真空管の大きいラジオを買ってきて、「音を出してみる」って(笑)。私は、そんな父の好奇心や優しさが大好きでした。

人間が心を込めてつくったもの。それに全く価値が無いと、誰からも知られず消えてしまうことは寂しいです。人の心を無視したくない。私には、その原動力があるのかもしれませんね。

記者 ありがとうございました。私たちは、日々を忙しく過ごす事で、歴史や人の想いを無視してしまっているのかもしれないと思いました。「私たちは、未来に何を残したいのか?」今、ちゃんと考えていくタイミングなのかもしれません。貴重なお話をありがとうございました。

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晴野まゆみさんの活動、連絡については、こちらから
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書籍:フリーライター時代のものとしては「失われゆく風景」(1993年自費出版)、「さらば、原告A子」(2001年海鳥社より全国書店販売)
株式会社チームふらっととしては「九州・沖縄 美味しい道の駅&産直所」(2016年書店販売)「ふらっと三瀬高原」(2018年~書店販売中)。

【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉と新原と島崎です。

晴野さんのお話をお聞きし、とても懐かしく、優しい気持ちになりました。存在はずっと有る訳ではなく、存在の儚さを愛おしくみる観方から、”わびさび”を感じました。情報量の多い時代に、本当に残したいものを取捨選択する。晴野さんはまさに、既存の枠にとらわれず新しい生き方をされる人だと思います。貴重なお話を、本当にありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。


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