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「やさしい日本語で 世界とつながる」株式会社 WAHAHA StudioJapan 代表 前川順子さん

外国人と日本人だけではなく、大人と子ども、障がい者と健常者など、全ての人が違いを尊重し受け入れ合う事ができる共生社会をつくりたいと、精力的に活動をしている前川順子さんのお話をお伺いしてきました。

前川順子さんプロフィール
出身地:福岡
活動地域:福岡
経歴:青山学院女子短大、西南学院大学卒業。結婚後、長崎市へ移住。「長崎国際交流塾」でボランティアとして外国人との交流イベント・語学講座等の企画及び運営に携わる。43歳のとき、夫の急死により福岡に戻り、大学に編入、日本語教師資格取得。50歳で株式会社WAHAHA Studio Japan(WAHAHA日本語学校)を設立。ひとりひとりのニーズや目標に沿ったカスタマイズな日本語レッスン、文化体験レッスンを提供。これまでに41ヶ国から生徒を受け入れている。
現在の職業および活動:外国人対象の日本語レッスンとともに、急激なグローバル化に対応した日本人へのセミナー「日本語ボランティア講師実践講座」「やさしい日本語で世界とつながる講座」講師をつとめる。
座右の銘:Always Move Forward!

「”やさしい日本語”を通して共生社会を創りたい 」

Q1.前川順子さん(以下、前川 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

前川 今から30年近く前、34歳のころ、主人の転勤で長崎に住んでいた時期に、長崎国際交流塾に参加していました。アフリカ・南米・中東の方など、色んな国の方たちと交流の場をつくり、多様性の面白さを実感すると同時に、自分自身が日本を知らないことや、実は偏見や先入観を持っていたことに気づかされました。気づかないうちに、実はみんな偏見を持ってしまっています

法律も改正され、今後、沢山の外国人が日本に来られるときに、”相手の文化を知って受け入れる”ことはとても大切になります。私がやりたいことは、外国人へのボランティア日本語教師を養成し、交流できる居場所をつくること、そしてやさしい日本語でのコミュニケ―ションを広めることです。お互いが違いを受け入れ合う事で、豊かな共生社会につなげたいと思っています。

やさしい日本語のセミナーのお写真

「好きなこと、ワクワクすることをやる」

Q2.その夢やビジョンを具現化するために、どんな目標や計画を立てていたり、現在どのような活動指針を持っていますか?

前川 目標を立てるより、好きなことやワクワクすること、今やりたいことを一生懸命やっていますね。「やりたい」と思ったら、躊躇なく飛び込みます。

私は”国際交流”を軸に好きなことをやっています。そうすると次第に「これが私の行く道かも!」と道が観えてきます。その結果、今も好きな仕事が出来ていますし、今の人生にも繋がっているので、今後も「好きなこと、ワクワクすること」をやり続けたいですね。

「違いと出会い受け入れることで世界が広がった」

Q3.「”やさしい日本語”を通して共生社会を創りたい」という、夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?どのような発見や出会いがあったのですか?

前川 きっかけは大きくふたつありました。

最初のきっかけは、今から45年前、まだ私が16歳のころ、アメリカにホームステイに行ったときのことです。サンフランシスコは寒暖の差が激しく、寒くて夜が眠れなかったんですね。日本だったら「大丈夫?」と声をかけてくれるけど、だれも声をかけてくれないんです。毛布も探したけど、見つからない、寒くて眠れない。和英辞典で調べて、「Please give me a blanket.(毛布をください)」と伝えたら、「Sure(もちろん)!」と言われ、そのとき「遠慮せずに自分から言わなきゃいけないんだ!」とハッとしました。

それまでは、日本では察しの文化が当たり前なので、「ホストファミリーなら困らないように準備しているはずなのに」と、日本の当たり前から判断していました。でも、アメリカでは、自分で考えて主張しなければ欲しいものは手に入らないことを知りました。その文化の違いを受け入れとても楽になったことが大きなきっかけになりました。

もうひとつは、長崎に住んでいるとき、国際交流塾でよくイベントをやっていたんです。あるとき「外国の方が日本の着物を着る会」というイベントで、外国の方たちに着物を着て頂いたときに、みんなとっても喜んでくれました。「次は私たちの国の衣装を着てほしい!」と、外国人が主催で「民族衣装を着る会」をやることになりました。そのとき「あー!これが国際交流なんだ!」とハッとしました。私たち日本人が一方的に何かをしてあげるだけでなく、自然と相手からも「今度は私たちの文化も知ってほしい!」という投げかけが出たこと。お互いに得るものがあり、お互いがプラスになる、これが”真の国際交流”じゃないかと思いました。

「民族衣装を着る会」のお写真

共生社会のポイントのひとつは「お互い」なんです。日本に住んでいる外国人でも、日本のことを知ろうとせずに文句を言っている人もいます。知らなければお互い理解ができないことは沢山ある。私は、外国人が日本に住むならば日本の文化習慣は知って尊重してほしいし、日本語も学んでほしいと思います。そして、私たち日本人も相手の文化を知り、理解して尊重しないといけない。そして、「やさしい日本語」でのコミュニュケ―ションを心がける。そういう、根本的なところがまだ日本人も外国人も欠けているのではないかと思います。”お互いの文化や習慣を尊重し、違いを受け入れる”、この根本的な価値観があれば、共生社会の実現は可能だと思います。

外国人と交流することで出会う喜びを知ってほしいし、自分自身を知るキッカケにもなってほしい。相手の文化を知って尊重することで世界が広がる楽しさを伝えて行きたいです。

「好奇心旺盛で決めたら突き進む」

Q4.「違いと出会う事で世界が広がった」という、発見や出会いの背景には何があったのですか?

前川 私は幼稚園のころはものすごく人見知りで引っ込み思案で、登園拒否をしていました。三人兄妹の末っ子で、姉がしっかりして何でもやってくれてかわいがられて育ったので、与えられることが当たり前だったんですね。だから、自分から声をかけることが苦手でした。

でも、小学生になって気づいたら好奇心が強くて何か発見することが楽しくなり、「自分と違う世界」に魅かれるようになりました。違うからワクワクしてもっと深く知りたくなります。あと、”これ”と決めたときの行動力もすごいと思います。アメリカに行くと決めたときも、スクールをつくると決めたときも、全く悩まずに突き進みました

そんな私も61歳で還暦を迎えましたが、まだまだ人生コンプリートしていないと思っています。日本語の教師をふやして共生社会を広めたいですし、経営者としてもまだまだ頑張りたいと勉強もしています。次に出会うチャレンジは何だろうと思うと、とても楽しみです。

WAHAHA Japanese Language Schoolにて還暦パーティのお写真

「”大丈夫”というメッセージを伝えたい」

Q5.読者へメッセージをお願いします。

私は、45歳で大学に編入し、50歳で起業しましたので、何歳からでもチャレンジできますし、壁にぶち当たっても大丈夫と、お伝えしたいです。もし、自分の思い通りにいかず、失敗したり寄り道をして「こんなはずじゃなかった」と思ったとしても、そんなときこそ次のステップに行けるチャンスはあります!なので今悩んでいるすべての人に「大丈夫ですよ」というメッセージを伝えたいですね。若い人にも、年を重ねた方にも、失敗を恐れずに色んな事を経験したりチャレンジしてほしいと思っています。

記者 ありがとうございました!前川さん自身が、とてもやさしく、相手を受け入れ、自分の事もちゃんと発信する、まさに今ここ“共生”を実践されている人だと思いました。”お互いの文化や習慣を尊重し、違いを受け入れる”という価値観は、私たちが生きる上でも、これからたくさんの外国人が日本に来られる中でも、とても大切なことだと思いました。お互いに受け入れ豊かになれる共生社会の実現化を心から応援したいです。本日は貴重なお話を本当にありがとうございました。

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前川順子さんの活動、連絡については、こちらから
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【編集後記】インタビューの記者を担当した熊倉と新原です。

本当に61歳ですか??と、目と耳を疑うくらい、キラキラかわいい笑顔と、感情豊かな前川さんのお話に、私たちもとてもワクワクしました。やさしい日本語を通して共生社会をつくる取り組みから、人を大切にし、尊重する優しいお母さんの様な心を感じました。そんな関係性や社会が広がる事に、希望と可能性を感じましたし、今から直面するAI時代の格差社会に、取り組む必要性も感じました。リライズ・ニュースも共に、未来をつくっていきたいと思いました。本当にありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。





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