マグロは最も進化した動物である

「人間は万物の霊長である」という言葉があります。地球上で進化の頂点に立つ生き物が人間であると。果たしてそうでしょうか。「環境に適応する」という基準で進化を評価してみたいと思います。

たとえば、海で暮らすクジラは後脚だけでなく、骨盤まで消失しています。生きていくのに不要な器官だからですね。それに対して人間の体には尾てい骨(尻尾の名残)や盲腸のように「なくても困らない器官」が痕跡として残っています。あと一億年ぐらいしたら、尾てい骨の無い人類が生まれるかも知れません。
人間は立ったまま眠ることはできません。立って食事をするのは消化に悪いとされています。直立した姿勢は腰に負担がかかり、「腰痛」は人間だけがかかる病気なのだそうです。人間の骨盤は体格に比べて幅が狭い為、女性が出産する際は難産になりやすく、大仕事です。
どうでしょう、人間は「二足直立歩行」の生活に完全に適応しておらず、進化の途中にある生き物と言えるのではないでしょうか。たまたま脳が肥大しただけではないかと。

ではここで、マグロの生態と体の仕組みについて見ていきましょう。
多くの魚はエラ蓋を開閉し、ポンプのように水を取り入れてエラ呼吸を行います。一方、マグロは口とエラ蓋を開き、尾びれを力強く打ち振って前進する事で常に新鮮な海水がエラに接触するようになっているのです。
エラの血液は水流とは逆に後ろから前に向かって流れる為、ガス交換と血液の冷却が効率的に行えます。マグロの体温は体の中心部で30℃近くに達し、なおかつその状態を維持できることから、「これはほとんど恒温動物(体温を一定に保つ仕組みを持った動物)と言ってよい」という学者の意見もあるほどです。

二十四時間休むことなく泳ぎ続け、餌を取るのも、睡眠も産卵も泳ぎながら済ませられるマグロは、環境に対して最大限に適応しきった生き物であると評価できます。次にマグロを食べる時は、彼らの生態にも思いを馳せてみて下さいね。

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