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「防弾チョッキ」ってどうなの?

防弾チョッキの中にはケプラーと呼ばれる合成繊維が詰まっています。ケプラーは融点が高いので、銃弾の運動エネルギーで燃えたり溶けたりせず、元の形状を保ったまま、衝撃を受け止められるのだそうです。

バブルの頃、海外旅行や日本企業の海外進出が盛んになると、外国における治安の悪さ(特にアメリカ)に警鐘を鳴らす目的で、
「海外ではビジネスマンもスーツの下に防弾チョッキを着ている」
「防弾チョッキが通販で普通に売られている」
などといった記事が雑誌等の紙面を飾るようになりました。これらの軽量で秘匿性の高い防弾チョッキ(着けている事を気づかれない)は中身がケプラーオンリーの薄い製品で、ストップできるのはせいぜい護身用の小型ピストルといったところです。

またケプラーは刃物やアイスピックのような凶器に対して無力であり、スポスポ貫通されてしまうことから、チタン合金の薄板を二層のケプラーでサンドイッチし、さらにそれらを重ねた本格的な防弾チョッキが作られ、警察等で採用されるようになりました。日本の警察は風土の違いからジェラルミンを布でくるんだ「防刃ベスト」を使用していましたが、防弾能力がほぼ無いに等しいので、近年では防弾チョッキに近い物に改良されています。

強力な軍用ライフル弾をストップする防弾チョッキ(ここまでくると”ボディアーマー”と呼ばれるようになる)は、外装としてセラミックのプレートで覆われますが、上半身の動きが制約される為、釣りをする人が着るベストの様に複数のポケットが設けられ、小さなプレートを挿入するタイプもあります。どちらにせよ、同じところに何発も喰らうとプレートが割れて防御力が失われる為、交換する必要が生じます。
アニメや特撮のヒーローみたいに、敵の銃弾をカンカン跳ね返す強化服が生まれるのは、まだ先のようですね。

余談その①
出展不明ですが、昔は戦争が始まると市井の発明家が自作の防弾チョッキを軍の基地に持ち込み、「採用してくれ」と強引にセールスすることがよくあったそうです。応対した兵士が
「じゃ試射しますから、貴方が着てそこに立って下さい」
とピストルを抜く素振りを見せると青くなって退散したそうで、戦争をビジネスチャンスと捉えるドライな人も、居る所には居るのですね。

余談その②
特撮ヒーローが敵の銃弾や斬撃を受け、スーツの表面から火花が飛ぶ演出がありますが、あれは衣装に火薬を仕込み、点火スイッチを手の中に隠し持っているのだそうです。外部からスタッフが操作してタイミングを合わせるのではなく、自分でスイッチを押しつつ「うわーっ!」というリアクションをしなければならないので、かなり難しい演技を要求される訳です。
(失敗したら予備の衣装に着替えて火薬を再セッティングする事になるので何テイクもできる撮影ではありません)
ヒーローを演じるスタントマンは、高い表現力を持ったプロの役者なのです。

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