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「拳銃」の種類を覚えるのは大変だよう

私のフォロワーさんであります「素浪汰 狩人」氏が面白い取り組みをなさっておられます。「創作物銃器設定アドバイザー(自称)はじめました/初心者のための鉄砲設定ご相談・指南・作成承ります 」https://note.com/slaughtercult/n/nbd7278273aaa

私も拝読してガンマニアの血が騒ぎましたが、ネタ被りしないよう配慮しつつ、蘊蓄を語ることにします(笑)。
アメリカを代表する銃器メーカーの一つ、「スミス・アンド・ウエッソン」(以下:S&W)社の製品で、最も多くの売上を記録したと言われる「M10」について調べてみましょう。

M10は警察や軍で採用されることを目指して開発されました。銃身の長さは制服警官の使用を想定した4インチ、私服刑事向けの3インチ、2インチの三種類のバリエーションがよく知られています。銃身が長いと命中精度が向上し、短いと銃全体がコンパクトになって秘匿性が高くなり、ジャケットの下に装備しても気づかれにくくなります。

グリップは下端が広がった「スクエア・バット」とバナナのように丸まった「ラウンド・バット」の二種類があり、隠しやすいのは「ラウンド・バット」の方になります。人によって手の大きさは違いますから、グリップのサイズが合わない時はオプションパーツの「グリップ・アダプター」を装着したり、木やラバーで出来た「オーバーサイズ・グリップ」と交換して使う事が可能です。

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※ラウンド・バットのグリップにグリップ・アダプター(銀色のパーツ)を付けるとこうなる。

M10は「ミリタリー・アンド・ポリス」という商品名で、民間市場でも販売されています。銃を実用品として求める人は、「警察が使ってるんだから信用できるだろう」と思って購入する訳ですね。S&W社のライバルであるコルト社も、「コルト・ローマン(法に携わる人)」「コルト・デティクティブ(探偵)」「コルト・トルーパー(騎兵)」等、ユーザーを想定した商品開発を行っています。

ここまででM10には複数のバリエーションがある事がお判り頂けたかと思いますが、素材の違いとしてサビに強いステンレスを使った銀色のミリタリー・アンド・ポリスはM64としてモデル・ナンバーが別になり、年代的には第二次世界大戦を境にした「戦前型(クラシック・タイプ)」と「戦後型(モダン・タイプ)」があります。マフィアが登場する、禁酒法時代を舞台とした映画には、クラシック・タイプが登場しますね。

「拳銃図鑑」のような本を読むと、一つの銃に一種類の写真しか使われていない場合が多く、「こういうものだ」と思い込んでしまい、海外の映画やTVドラマを見て「あの銃はなんだ!?」と、混乱する場合があります。ここからさらに資料を集めてマニアの沼の深みにはまっていく訳ですね(笑)。実際にはM10も本が一冊書けるくらいの情報量がありますが、軽い読み物を目指すという本noteの方針を鑑みて省略いたしました。

後記:口絵に使用した画像は、国際産業のM10・4インチ銃身のモデルガンです。ヤフオクが普及する前の葉書によるオクで入手しました。箱も説明書もなく、青黒い表面処理が剝げ落ちた銃だけが新聞紙にくるまれて15,000円でしたが、今思えば安い買い物でした。好きなのはクラシックタイプの2インチ銃身で、グリップがスクエア・バットのモデルなんですけどね。





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