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グローアップ

あの日の頃を覚えているかって
いつの日にか問いかけるのだろう
情動を駆け回る錆び付いた眼
嗄れた鼓動で笑っちまう

不甲斐なくも微妙く鳴く閑古鳥
震え摩って揺蕩う黒色の髪を
浄土のように誘う眼
燻った血脈に迸る

意味もなく意義もなく
流離疲れた僕らの上を
飛ぶあの紙飛行機には
きっと誰かの夢が書いてあるのだろう

そうやって
決めては消してった君の感情が
あの星の彼方にでも打ち上がって
綺麗な光を誰かに照らし出して

そうやって
僕らはまた浮かび上がることのない
理念に感けて飛んで泣いて
あの頃のことをたわいも無い
って言葉で片付けていく

そんなうらぶれた今なら
壊して鳴いて

守りたいものも特にはないけど
保守的に安全な道を選んで
変えたいことも特にはないけど
現状に満足いってないのも事実で

周到に取り繕った儚い自分を
宝のように抱き締めて
君を包みたいと願う足りない腕
ここを動きたくはないけど
君に元へ駆け寄りたいと疼く足

木偶のまま出来ないまま
歩き疲れた僕らの上を
輝く煌びやかな光には
きっと誰かの叫んだ今が詰まってる

そうやって
青くさんざめく暗雲の先に
突き抜けるほどの晴れやかな空が
また僕らに新たな勇気をくれる

そうやって
軋轢を恐がる僕らのことを
鼻で笑い飛ばして撃ち抜いてくれ
君を守れる人になった
って言葉をかけさせてくれ

日照りの続く今に
潤いを齎してくれ

君と共になら
進めるって
証明させてくれ


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