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「安い」は、本当にいいことなのか?

私も店をする前に、「安い!」とか「安くして」とか、そんなに考えずに発言していたと思う。でも、今、カフェをはじめて思う。安いはそんなにいいことじゃない。

喜ばれない価格競争

今住んでいるところはかなり山の中で、熊野古道があるため、たくさんの外人の人たちがやってくる。そしてだいたい、山から降りてくると、コーヒーやビールを飲んでくれるお客さんが多い。この村も、昔はお店が少なかったそうだけれど、今は、熊野野菜カフェも含めて数店のコーヒーショップがあり、それぞれでコーヒーの価格が違う。

お店をはじめる時にいろんな人に言われたことはここではコーヒー300円であるということ。たしかにいくつかあったお店のコーヒーは、300円なのだけれど、ウチでは、コーヒー豆を少し高めなものにして、エスプレッソマシーンを使って入れている。だから単純に300円としてしまうと儲からない店になってしまうのだ。コーヒー豆の原価を下げても300円がいいよって言われたこともあったのだけれど、ウチでは、コーヒー400円とした。

すると、他のお店でも300円ではないお店が出てきた。

それぞれのお店で価格は決めて、それぞれの個性を出せばいいのだから、400円のお店も500円のお店も、あっていいのだと思う。

それよりも300円という価格にこだわり、豆の品質を下げてしまう、これこそ本末転倒である。

最近では、特にコーヒーが好きなオーストラリア人のお客さんにコーヒーを褒めてもらうことが多く、そして次の日の朝、出発前によってもらうことも多くなってきた。

価格を下げることは簡単なのだけど、その価値にお金を払うのであって、個性や商品の質をあげれば、そのうち、価格だけじゃないところでのお客を獲得できるのであると、私は思う。

もうひとつ。

田辺市内の素泊まりの旅館の価格が3000円代とかなり安い。安くても商売がなりたつのであればいいのだけれど、価格競争となってしまっているのが残念だなと思う。価格で決める人ももちろんいるけれど、そういう人ではなく、個性を好んできてくれる、そういう人たちを狙う宿というものができそうなところがたくさんある。

そして思うのは、価格だけを見る人は、リピートしない。なぜなら、他に安いところを見つけてしまえば、そちらに流れてしまうからだ。

個性を生かして、泊まりたい動機をつくる。そうすると、リピートしてくれる人たちは必ずいるし、長期的なビジネスで見れば、そちらの方が安定するはずである。

日本は安価な国になりつつあるという記事を見たけれど、まったくそのとおりで、旅行者を相手にする場合、どちらかと言うと、安くて品質が悪いものよりも、きちんとしたものを提供し、きちんと対価をもらう、そういう方がお互い良い関係を作ることができると思う。

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