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4.7%→6.0%


4.7%

この数字。
多いと思いますか?

人にすれば
「約20人に1人」です。

数字的にはちょっと微妙な感じがしますが。

「外国人比率」から見れば十分高い数字です。

「外国人比率」とはその字が示すように「総人口に占める外国人(国籍は問わない)の比率」です。

普段生活してる中では気にすることはあまりない「数字」です。

2010年(少し古い数字で申し訳ない)の神奈川県内の市区町村(62市区町村)でこの数字を見ていきましょう。

①横浜市中区  5.84% 総人口 146,033人 外国人数 8,528人
②愛川町    4.74% 総人口 42,089人  外国人数 1,998人
③川崎市川崎区 4.13% 総人口 217,328人 外国人数 8,991人
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⑪厚木市    1.83% 総人口 224,420人 外国人数 4,107人
㉑海老名市   1.41% 総人口 127,707人  外国人数 1,803人
㉔相模原市中央区 1.20% 総人口 266,988人 外国人数 3,214人
㉗相模原市南区 1.11% 総人口 274,364人 外国人数 266,988人
㊳相模原市緑区 0.92% 総人口 176,192人 外国人数 1,629人
㊿清川村    0.63% 総人口 3,459人 外国人数 22人

2010年の愛川町は堂々の2位。
神奈川県北エリアが多いのかと思えば、愛川町周辺は11位以下。

愛川町の人口で基準を合わせてみると

②愛川町    4.74% 総人口 42,089人  外国人数 1,998人
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㉚寒川町    1.07% 総人口 47,672人  外国人数 514人
54南足柄市   0.59% 総人口 44,020人  外国人数 262人
58三浦市    0.39% 総人口 48,352人  外国人数 192人

となり、愛川町は同規模の市町村でも明らかに多いです。

②愛川町    4.74% 総人口 42,089人  外国人数 1,998人
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㉜横浜市緑区  1.04% 総人口 177,631人 外国人数 1,855人
㉝川崎市麻生区 1.04% 総人口 169,926人 外国人数 1,773人
㊱小田原市   0.93% 総人口 198,327人 外国人数 1,863人

外国人数は神奈川県内の15万人以上の人口を持つ都市より多いですね。


で。
2018年の「平成30年住民基本台帳人口」では、愛川町の人口は緩やかに減少し総人口「38,362人」に対して、外国人数は「2,481人」

外国人比率は、「6.0%」

愛川町の外国人比率は10年で1.3%上昇し、神奈川県では2010年に首位であった横浜市中区(5.1%)を抜き、6.0%で神奈川県首位に。全国でも9位と、高校野球ならかなりの強豪校となりました。

「外国人がいる街」
そもそも、僕は、「外国人」という言葉に違和感があります。
僕にはアメリカに住んだ経験があり、そこでは僕も当然「外国人」。
いざ、自分に「おまえは国の外の人」と言われればいい気はしないでしょ。

愛川町の外国人比率を底上げしているのは、内陸工業団地といわれてます。
4.7%が6.0%になったのは、海外からの移住者(以降、この稿では「外国人」をこう言いかえる事とします。ニュアンスが微妙に異なるかもしれません)がコミュニティーを確立し、そこでの人口増加にかかわる事(例えば、コミュニティー内の結婚や出産、海外から他の移住者を呼び寄せるなど)などがあった上に、愛川町の人口が緩やかに減少してきたことによる「比率」の増加でしょう。
しかし、「内陸工業団地」や「海外からの移住者増加」というのはこの際関係ないです。

重要なのは、
「2018年現在、愛川町には2,481人の海外からの移住者がいる」
ということです。

そして、このことは愛川町のまちづくりに大きな影響を与えることになります。

愛川町のホームページにこんな言葉があります。

【いろいろな国の人と、交流できる】
愛川町には、南米諸国やアジア諸国など、外国人の方2千人以上が暮らしています。夏の勤労祭野外フェスティバルでのサンバや国際屋台村の催しなど、多文化交流が行われており、外国人向けの料理を提供するお店もあります。
生活に必要な情報の話や相談に応じる外国人の方向けの出前講座の実施や、住民相談窓口への翻訳機設置など、外国人の方も安心して暮らせる環境をつくっています。
【暮らし】田舎にしては、ベンリ過ぎるし。 -
ポケットに愛川



愛川町が海外からの移住者に向けて行っている環境づくり。
あなたはいくつあげられますか?

愛川町では海外からの移住者と交流するさまざまなイベントが開催されています。国際親善サッカー大会、勤労祭、おりがみ教室などです。
次にポルトガル・スペイン語のできる職員の採用も行っています。外国人相談窓口等で外国籍住民職員を配置したり、翻訳機を配置したり、外国籍住民が街の情報にアクセスしたり理解したりするための努力がみられます。
また小中学校にもポルトガル語やスペイン語のできる、日本人・外国人の日本語指導協力者を派遣してます。
たくさんの施策が行われています。

愛川町はよくやっています。

ただ、これは役場の中だけの話です。

あなたが愛川町役場を出て、愛川町を歩くと、
「海外からの移住者向けの看板」
「海外からの移住者向けの行政案内」
「海外の移住者向けのポスター」
などを見ることがあるでしょうか?

いや、役場の中でも「ポルトガル語やスペイン語表記の案内板」を見たことがありますか?

愛川町のすべての海外からの移住者が角田の愛川町役場に行くとは限らないです。
愛川町役場のホームページを見て、日本語を翻訳してそこから情報を得るとも限らないです。

つまり。
愛川町の真摯な施策は、海外からの移住者に届いていない可能性が高いです。どこかで「困ったことがあったら役場に来なさい」という正面を見ずに、半身になっている可能性があります。

「2,481人」(2018年です)は、「観光目的」ではなく「交流目的」ではなく、「生活」の為に愛川町にいることを忘れてはいけません。

ギリギリの段階で、彼らの生活の最終の扉が愛川町役場になることもあります。「知らなかった」「伝わらなかった」では手遅れになる事柄も出てくるのでは。この町で生活をする以上、行政との対話が必要であり、そのテーブルに海外からの移住者が困りに困ってから座るようでは遅い気がします。
「おまつり」や「翻訳機」よりも、「公設の日本語学校」が必要とされているような可能性はないだろうか。本当に彼らが必要としている事は伝わっているのか。
「翻訳機」は役場の一部に窓口にしかなく(今後は増やしていくようです)、となると役場内での横の連携はとれているのでしょうか。
専門的な知識や法律などが必要な相談もあるでしょう。

愛川町役場の数々の施策は、町民が伝えなくてはいけません。
それが、この町で「暮らす人々」の「共助」です。
そして、その「共助」を遺憾なく発揮する機会。

「災害時」です。

愛川町に災害が発生した場合。
愛川町の「町民」は分け隔てなく災害を助け合い生き抜く権利がある。
そして、そのために町民は「防災訓練」などで常にシュミレーションをしてきたのです。

果たして、そのシュミレーション下に「移住者」はいるのでしょうか。

大規模な風水害が起きたとします。

海外からの移住者は、当然ながら「高齢者等・避難準備情報」などの漢字が理解できるとは思えないです。日本人でも理解が難しいのに。
愛川町の防災メールに登録しても、内容を判断できない。
そのような海外からの移住者に「避難情報」をどう伝えるのでしょうか。


愛川町には




                       (愛川町役場統計より)

これだけの国の人々がいる。
それだけの言語がある。

「避難してください」という日本語だけでも

「Evacue」ポルトガル語(ブラジル)
「Por favor evacue」スペイン語(ペルー・ドミニカ)
「대피하십시오」韓国語・朝鮮語
「សូមជម្លៀសចេញ」クメール語(カンボジア)

これだけの言語で情報を伝えるのは難儀だが、非常時にはその難儀を越えていかなくてはいけません。

災害時には、防災メール・防災放送に一文でもいいから多言語を添え、各言語による詳細な情報を役場のホームページに記載する。

言語の壁は避難所でも。
自治会運営の避難所では、その壁を超えることは難しいでしょう。
通常の避難所とは別に、町が直接運営する外国語対応スタッフが常駐する「移住者向け避難所」を愛川町各地に数カ所開いてみたらどうだろうか。
避難生活が必要となった時、少しでも気持ちを安心させる移住者の文化を理解した工夫が必要です。

昨今の自然災害は、一歩間違えば命の危険を含む規模が多いです。

救える命を見逃さないために、海外からの移住者の把握をし、海外からの移住者が地域の防災訓練に参加できる状況を作ってあげなくてはいけません。


「移住者」ではなく「町民」


「2,481人」

確かに彼らは、「移住者」です。
しかし、彼らが愛川町の土地で暮らし、生活している以上、「町民」です。

法律や感情論を越えて、ともにこの町に暮らす人々です。
彼らもまちづくりの要員です。

特に災害は文化や宗教を越えて、その土地に住む人々に被害を与えます。

6.0%

この数字が冷たい記号だけの存在になるのではなく
愛川町の絆が伝わる温かい受け入れ度数になることを願っています。

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