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WAmazing株式会社 代表取締役社長CEO 加藤 史子さん

旅前外国人旅行客を顧客化するアイデアと起業のイロハ
旅前に来日外国人旅行客の窓口としての立ち位置を獲得する同社の戦略は以下に生まれたか。また、成功するベンチャーに必要な人とお金のリアルなお話は、まさに起業の教科書。

1)訪日外国人旅行者を旅前に顧客化するスゴ技

藤沢:藤沢久美の社長Talk、今日のゲストをご紹介したいと思います。WAmazing株式会社代表取締役社長CEO、加藤 史子さんです。加藤さん、よろしくお願いします。

加藤:よろしくお願いします。こんにちは。

藤沢:このFM Fujiで放送を始めてから、女性第一号です。

加藤:え、本当ですか?

藤沢:はい。

加藤:なんかご説明を読んだら、今まで何百人もいらっしゃっていただいていたというふうに書いてあったので、まさか女性がいなかったとは。

藤沢:FM Fujiでは第1号で、昔からずっとネットとかでやっていたんですけど、それでも多分、4人目ぐらい。

加藤:そうですか。非常に光栄です。ありがとうございます。

藤沢:なので、今日はその女性が起業することみたいな話も若干聞いてみたい気もしますが、でも、起業家として今2年半ぐらいですよね。

加藤:そうですね、ちょうど2016年7月1日に起業しておりますので。それまではリクルートという会社で18年間サラリーマンとして勤めあげさしていただきまして。なので、ちょうど起業しては2年半ぐらいになります。 

藤沢:はい。なので、起業したいと思っている人もいっぱい聴いてくださっていると思うので、そういう2年半にどういうふうにしてきたら、こんな話題のベンチャーになれるのかというのも聞いてみたいなと。

加藤:わかりました、ありがとございます。

藤沢:よろしくお願いします。

加藤:よろしくお願いします。

藤沢:まず、WAmazing、とってもユニークな社名なんですけど、どういうお仕事なのか教えてもらえますか?

加藤:WAmazingは、訪日外国人旅行者、つまり、外国から日本にやってくる旅行者向けのサービスを提供する会社なんです。いわば、手の中のエージェントというふうに言っているんですが、今、外国の方もスマホを片手に自分で検索して日本中歩き回るというか、動き回る個人旅行者の方がとても増えています。個人旅行者に対比するのは団体旅行ということで、いわばグループツアーで添乗員さんが旗を持って、決められたルート、決められたスケジュールで動くような方なんですけど、今本当に個人旅行者という方が増えています。そういう方々が頼りにするのは、スマートフォンでの情報だったりするので、スマホの中でWAmazingは日本の宿泊、アクティビティ、交通手段、交通切符、それから飲食店ですとか、買い物の情報、そういったものを提供して、彼らにとって手の中の旅行会社になれるような、そういうようなサービスをつくっております。

藤沢:なるほど。じゃあ、そういう訪日外国人の人って、ものすごい世界中にいらっしゃって、誰がいつ日本に来るかもわからないじゃないですか。そういう人たちに WAmazingのアプリと言っていいのかな。

加藤:そうですね。

藤沢:そのアプリを手にしてもらうためには、何をどうやっているんですか?

加藤:そこが一つ、われわれとしても工夫で、WAmazingというのはベンチャーで、社名もいわば日本国内でさえ知られていない、誕生したばかりのときはですね、無名の会社ですので、どうやったら世界70億人の中から日本に来る可能性がある人を呼び寄せるかということで、今、客寄せパンダみたいな位置づけで無料のSIMカードというものを日本国内の20の国際空港で、専用のベンディングマシンが自動販売機から無償配布ということをやっています。

藤沢:SIMカードというのは、スマホに差し込んで。

加藤:そうですね。日本はSIMロック携帯といって、iPhoneやAndroidなどのハードウエアと通信が一体型になった時代が長かったので、日本の方にあまり馴染みがないんですが、スマートフォンの中にはSIMカードという通信チップが入っているんです。で、例えばドコモの携帯を使っている方なら、ドコモのSIMカードが入っています。海外の方はハードウエアの携帯本体と通信チップが分かれているという文化で育ってきておりまして、なので、日本に来て自国の通信網はもう使えないわけです。なんですけれども、WAmazingのSIMカード、大元はドコモの回線を使っているんですけど、そちらを差し込むことで日本でも自分のスマホがインターネットが使えるようになると、そういう仕組みになっております。

藤沢:で、ただで、つまり、日本で携帯を使い放題になるということですよね。

加藤:おっしゃるとおりですね。

藤沢:めちゃくちゃ魅力的なんだけれども、さらにそれが客寄せパンダだというのもわかるんだけど、でも、その無料でSIMをもらえるよというのは、どうやってみんなに伝えているんですか?

加藤:そうですね。WAmazingの場合、例えば昨年3000万人以上の外国人の方が日本にいらしていただいているのですが、そのうちの半分以上は中華圏と呼ばれる香港と台湾と中国の方なんです。この国の特徴としましては、社会システムも影響しまして、あまり企業の広告とか国の宣伝をあまり心から信じていないところがありまして、家族や友人からの口コミがとても強いというところがあります。なので、無料SIMカードがあるよということをインフルエンサーを使ってPRしたり、あとはフラットなメディアですね、日本旅行に関する、あるいは海外旅行をしたいと思っている人たちが見るようなメディアにパブリシティ、PR、プレスリリースを書いたり、向こうのメディアを集めて記者会見をやるみたいなことをやることで、まず火種をつくって、そこからは口コミで広げるというやり方で集客をしています。

藤沢:なるほど。そうすると、今までの広告宣伝とかマーケティングとはちょっと違ってて、本当にネット。

加藤:そうですね。

藤沢:ネット時代のということになるから、興味がない人にとっては WAmazingさんがそうやってアピールされていることは見えてこないし、いわんや日本人は、じゃ、見えないということ。

加藤:おっしゃるとおりです。やはり、アプリは日本マーケットでは配布していませんし、やはり世界70億人がいて、日本に来ているのが3000万人というと、世界中の方に知ってもらう必要はないんです、WAmazingのサービスは。なので、やはりベンチャーという限られたリソース、経営資源、人材もそうですし、お金もそうですし、そこを振り向ける先というのは確実に日本に来る方のみに知られればいい。なので、SIMカードというものは日本でのインターネット通信が可能になって無料になるものなので、日本に来ない人にとっては無意味。ただ、日本に来る人にとっては、とても意味があって、買えば数千円するものが無償というような仕組みをつくっております。

藤沢:なるほど。では、それによって香港・台湾・中国の方が日本に来て空港で無料でSIMを受け取って、さあ、使い始めましょうというときに、今度はアプリも自動的に。

加藤:そうですね。やはり、アクティビティとかホテル、あと交通切符も主だったものは、旅行に来る前、到着前に手配するほうが安心という方が多いので、SIMカードは日本に着いてからは受け取りはできるんですが、受け取るためのQRコードは日本にやってくる一日前とか本国でアプリはインストールして会員登録まで済ませないと、空港でSIMカードが受け取るための個人にひも付いたQRコードが出ないという仕組みになっています。なので、あくまで旅前の人たちにアプリを使っていただくというところに、一応ポイントを置いているというところです。

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