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セルソース株式会社 代表取締役社長CEO 裙本理人さん

再生医療で、財政赤字を削減できる医療モデルをつくる
商社を辞めて、再生医療の世界に飛び込んだ裙本さん。一年目から黒字を実現するバイオベンチャーとして、見つめているのは新たな医療モデルづくり。起業の奇跡と目指す未来への道筋とは。

1)再生医療のための細胞加工を株式会社が担う意味

藤沢:藤沢久美の社長Talk、今日のゲストをご紹介します。今日はマザーズ上場企業です。証券コードは4880、セルソース株式会社代表取締役社長CEO、裙本 理人さんです。裙本さん、よろしくお願いします。

裙本:よろしくお願いします。

藤沢:セルソースという、バイオベンチャーと呼ばれているんですけれども。ちょっと、まずは、バイオベンチャーってどういうお仕事なのかなと思って。

裙本:はい。わかりました。セルソースの事業概要をご説明いたします。セルソースの事業は、いわゆる再生医療をフィールドにする会社なんですけども、われわれ、技術の会社というよりも、再生医療サービスの会社でございます。2014年に再生医療法という新たな法律ができたことで、国として再生医療に関する様々なレギュレーションが法律で決まりまして、新たなビジネスチャンスというか、新しい法律の下で、色んな働き方というか、仕事の仕方、ビジネスの仕方が生まれて、そこに目を付けて立ち上げた会社です。

藤沢:今、「再生医療の法律が変わった」っておっしゃっていますけど、再生医療って、私たちもよく聞くのは聞くんだけれども、ものすごく明確には何だかわかってないと思うんで。ちょっと、再生医療ってどういうことなんですか?

裙本:よく言われるのが、iPS等に代表される、臓器再生を目指すというアプローチもあると思うんですけども、われわれは臓器再生ではなくて、機能再生ということも再生医療の定義として掲げていて。例えば、われわれで言うと、膝関節の痛みを取って、膝関節が痛いことで、実際あまり歩けなかった方が、新たな再生医療を試すことで痛みが取れて、機能改善して歩くことができると。これも一つの再生医療のあり方なのかなと。

藤沢:なるほど。じゃあ、「再生」という言葉も使っているということは、膝が痛いって、自分の細胞で膝を治すってことですか。

裙本:そうですね。

藤沢:人の細胞?

裙本:はい。今は、われわれはアプローチは色々あるんですけれども、セルソースが取り組んでいるのは、患者さまご自身の細胞とか血液の中にある成長因子というものを使って、患者さまの物を使って患者さまを治していくと。自分の細胞ですね。

藤沢:そのときに、私たちのイメージだとiPSとかがすごいから、細胞を培養して、実際に膝を治す細胞、元気な細胞を作るみたいな。

裙本:はい。

藤沢:そして、すごい研究開発が必要で、何年も何年も研究しても、なかなか実際、治療に使えません、みたいなイメージがあるんですけど、そうじゃない?

裙本:そうですね。実際、その研究開発というのは、すべからくコストも時間もかかると思うんですけども、この日本が世界に先駆けて作った、この再生医療と安全性確保法と言われる、いわゆる再生医療法が、新たな、本当にビジネスとして、川上から川下までつなげる画期的な法律で。これをしっかり読み解いて、サービスをマーケットに送り込むことで、ビジネスには実際になるというのが今の状況ではあります。

藤沢:じゃあ、セルソースさんは、その膝の痛みを改善するためには、どんなことをやってらっしゃいますか?

裙本:具体的には、元々、その再生医療、例えば、膝の痛い患者さまが再生医療を行う上で膝に必要な細胞を投与するというのが再生医療なんですけども、その膝に投与する細胞を作るのが、どこなのかというのが、それまでは各医療機関が病院に、細胞医療センターというか細胞加工センターを併設し、各医療機関が細胞培養士を雇用して、つまり、初期投資を結構かけて、そこにいらっしゃる患者さまのための細胞加工センターを各医療機関、大学病院とか医療機関が持つというのが今までのあり方だったんですね。これは医療機関にのみ認められていた細胞加工というものがあったので、そうせざるを得なかったんですけども、再生医療法ができたことによって、その加工を株式会社がビジネスとして、当然、特定のしっかり許認可を受けての下なんですけども、許認可を受ければ、株式会社がその加工を担うことができるようになって。つまりは、各医療機関が、それぞれが初期投資をかけて雇用してやっていた、その一切の加工業務をセントラルキッチン的に、セルソースのような会社が一手に引き受ける。各医療機関の加工部門をセルソースに集約して、各医療機関は細胞加工センターを立ち上げずに、雇用もせずに、セルソースに依頼さえすれば適切な細胞が届き、治療ができると。なので、われわれは再生医療におけるセントラルキッチンと自分たちは思っていて、加工部門をわれわれは一気に引き受け、必要な物を作ってお届けして、医療機関は、もう、それを注入するだけというような、そういうビジネスモデルなんですけど。

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