不動産が財産から負債に変わる日

何の因果か、私の大学院は、社会基盤学科(土木)の都市交通研究室で
フリーランスになってからの自分プロジェクトはコワーキングスペースの研究だったり。
空間活用だったり、街とか空間におけるひとの動線とか、観光も含めて、街に絡む仕事が多くて
世のトレンドで、空き家問題に直面することも多い。

私の家族にも空き家がある。鯉が何尾か泳いでいた池が庭にあるくらい立派なお屋敷が、大阪府枚方市でほぼ空き家になっている。
駅からは車じゃないと難しいくらい距離があるし、そのまま売るにも貸すにも
なかなか買い手も借り手も見つからないだろう状況。かと言っても、他の家族は他に家があるしそこに住むわけにも行かない。築100年以上の大屋敷を貸したり事業を始める状況にするには、莫大な工事費用が必要で、しばらく放置。

こんな状況は日本全国で沢山あるしざらに見てきた。無理もないよなぁと思う。

そもそも人口減ってるもん。
都会に人口集中してるし。駅前に高層マンション、阿呆ほど建ってる。地方が空き家だらけになるのも無理もない。
住宅だけじゃなく、商業だって不動産いらない。Amazonで書籍でも何でも買えるし、データもらえればKindleでも本読めるし、楽天も、ZOZOTOWNなどで衣服調達できるし、Netflixで映画鑑賞もできるし、外食行かなくてもUber Eatsも使える。
不動産が必ずしも要らない時代になってきた。

それでも不動産にすがる理由とは。

それは不動産が財産だと信じてやまない固定概念だと思う。

せっかく切り拓いた土地や建物が無用の長物になるだなんて
持ち主は信じたくなくて、費用をかけてまで建物を壊せないし
ましてや二束三文で売ったり貸したりできなくて
固定資産税を払い続ける。

人口減ってるし、生活スタイルも各段に変化しているから
こんなに土地も建物も要らない。森に返す土地が出てきてもいい。

地方自治体は、自分の市町村はまだ息を吹き返すのではないかと、地域活性化に躍起になる。そして、その予算目当てにサーカス団のように現れる、決して地方に移住しない東京からの地域活性化軍団。

そもそも
空き家だらけの商店街を救うには、入居事業者が損を抱え込まなくてもいいくらい家賃を下げるか、何か、地域一体が変わることをやらなきゃ。
人が通らない、住みたがらないなど、空き家は空き家になる理由があるのだから。
入居事業者が損を抱え込む家賃のままでは寂れる。

あと、古くからの建物をそのまま使うことの粋さと大変さを、もっと理解したい。よく考えたらおふるだし、この家・建物貸してやる、という横柄な態度では立ち行かない。
財産だと思っている建物は、直すにも莫大な費用がかかる。
そのまま使える建物や立派な建物はもちろんあるけど、既にある建物をどう使うか、知恵を絞りださなければならないのは大変。
やりたいお店があるならば、新築で設計して建てた方がよっぽど楽。

家賃をなかなか下げられず、もしくは下げてもなかなか借り手がいない物件は廃れるしかない。都市も、時代が随分変わったしコンパクトシティ化してもいいのかもしれない。
森に戻した方がいい住宅地や商店街もあるはず。

ライフスタイルのアナログ化が進んだり、人の数が増えたりしない限り、
不動産は財産から負債にどんどん変わっていく。

人口を増やそう!というのもアリだけど
増えすぎた不動産を森に戻す、という英断も必要だと思うのだ。

不動産=財産の固定概念にしがみつくと、空き家は負債をどんどん抱え込んでしまう。

むしろ、もしほんとに不動産を活性化したい地域があるならば
お金払うからここで何かお店をやって、の方が理に適うんだけどなぁ。
家賃をとるよりも。実態のないワークショップを乱立させたり、空き家再生プロデューサーを量産するよりも。

お時間いただきありがとうございます。