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組織行動論について学んだら、「自律」の解像度がものすごーく上がったよ、という話。

社内の経営戦略勉強会「Tribal Professional Academy」、通称「TPA」。今回のお題は「組織行動論」です。課題図書は3冊+1冊。大変ボリューミーながらも、自らの立場を置き換えて読んだり、すっかり忘れていた記憶の蓋がパカっと開いたり、先々に思いを馳せて行ったり来たりして、あっという間。きっと誰にとっても自分ゴトしやすいジャンルだと思います。

ハーバードビジネスレビューに掲載された、古今の(1960年代~2000年代前半)組織行動にまつわる9つの論文集。さすが論文、仮説→調査実験→検証の研究サイクルの中から論考を導き出しているのだけど、その調査実験例が妙に生々しさを帯びていたり、時代に関わらず新しく感じられるものも。

全体を通して強く感じるのは組織行動論、本書においては「働く意欲を上げるマネジメントのあり方」は、終わりのない企業課題なのだ、ということ。いやもっと遥か大昔、狩猟農耕の時代からずっと、きっと、思う人は思っていたはず。

インテルの伝説的CEOによる30年以上も前の”名著”とのこと。太い帯と寄稿者の錚々たる面々に復刊への熱さを感じます。

主にミドルマネジメント層の重要性とその仕事術、心得を説いていて、具体的なノウハウが満載。一方、私はインテルを舞台にした例示がいまいちしっくりこなかったので、読み飛ばしていました。それでも学びの多い一冊です。

ちなみに。読後、amazonのdescriptionやレビューを読んでみたところ、素晴らしく本書が体系化されており、整理に役立ちました。読む前であっても、ぜひ目を通してみて欲しい!

課題図書ではないのだけど。本TPAのオーガナイザーである亀ちゃん(@kameidaiki)が皆に薦めてくれました。ありがとう! 

なんと、初版は1936年! 改定が重ねられてきたとはいえ、代表の池田(@ikedanoriyuki)「全人類が読むべき名著!」と熱がこもることにも完至極納得。人の心の原理原則、それこそ組織行動の本質だと思うのです。愛、だよなあ。(自分なりに展開すると、組織においてはきっと「智のある愛」こそ、結果を生み出すドライブなんだ。)

相手に関心を寄せる(ことを伝える)。「ありがとう」と言う(きちんと伝わる)。など、子どもの小学校の“帰りの会”で日々行われているような、人によっては「当たり前」なこばかり書いてある、と思うかもしれません。けれど私は、「イタタ…」と我を省みること多々でした。

リンカーンやルーズベルトから、市井の営業マンなどの(時に大時代だけど)引用されている事例はもはや、偉人の伝記レベル。「こんな人になりたいなあ」と、まるで子供のようにしみじみ思ったのでした。時々、読み返そう。そうしよう。

今回、もっとも実用的に感じたのはこちら。「自律」と「モチベーション」、しかも「教科書」です。(TPA受けてなかったらぜっっっっっっったいに読みません!) 我が社でも大切なテーマである「自律」にガブリ四つで向き合い、ケーススタディ的に使えるリアルな一冊です。

なかでもほほう、腹落ちしたのが「要求(インナードライブ)のプロフィール」の考え方。

「マズローの要求」が、下から順に満たされると次のステップに行く、という段階を踏むと考えるのに対し、インナープロフィールは人によって優先順位も強弱も違うという考え方。確かに人ってもっと複雑だよね。

人が自律して、自然と動き出す瞬間:

人間は「欲求(インナードライブ)を満たせると思う行動を選択し、満たせないと思える行動は自ら選択しない。
この「思える」かどうか、つまりイメージできるかどうかは、極めて重要である。

インナードライブを満たす時、人間はモチベーションが高まる。そして、欠如している部分とのギャップをを満たす時、ワクワクしながら獲得しに行ける状態(=wantsイメージがある)が、自律的に動けている状態

そして、自律型集団の特徴は、個々のインナードライブの充足にあの手この手で長けた会社だという。それは、制度やルール、マネジメントスタイルからコミュニケーションなど、様々な手段を講じて実現される。

興味深いのは、インナードライブの特徴の4番目。

人は「欲求」をどうしても満たそうとする。健全に満たされなければ、不健全に満たそうとすることもある。

「力・価値の欲求」を組織のなかで満たされなかった(仕事に対してどんなに頑張っても正当な評価を受けられなかった)例として挙げられているのが・・・

・部下や下請けなど、自分より弱い立場の人に対して高圧的に振舞うことによって己を誇示する
・何かと反抗的で自己主張ばかりする

放置しておくと、チームの崩壊、メンタルヘルスの悪化、問題行動…ビジネスパーソンとしても組織としても悪影響しかない。ひゃあ〜!

自律自律、というけれど、いったい自律ってどういう状態? 何をすればいいの?と、メンバーもマネジメントも迷いがち。本書はどんな立ち位置でも、自律の「状態」も、自律に向けた「アクション」もイメージできる良書だなあと思います。


組織行動論と視点、そして時代とかプロダクトのこと


今回の課題は、「はて、どんな切り口でnoteを綴ったものか…」と迷ったのも、本テーマの特性だと感じます。マネジメントの学びとして、メンバーとして、ミドルとして。私自身に通底していたのは親として。きっと、犬を飼っていたら飼い主としての自分も顔を出したと思う。
(実際、課題図書の数冊の中で「犬の純真さこそ人を動かす最高の模範」とか、犬のしつけで犬のお尻を蹴る”KITA”が持ち出されていたり、組織行動論の中でのモチベーションを論じる時、犬をサンプルにする例は散見された。犬、かわええ。。。)

何度も何度も味わえる、スルメのようなテーマなんじゃなかろうか。

さらに。時期同じくして参加したSaaSWayというカンファレンスにおいても、マネジメントやEXの文脈においてSaaSが語られたり、モチベーションやチームビルディングのプロダクトとしても目の当たりにしたものだから、なおさら。

「自律」について、ますます競争優位を生み出す源泉として意識するきっかけになりました。

TPAの講義でみんなの見方を聞けるのが非常に楽しみです!

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