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愛でるもの|あとがき

◇読了時間目安:約3分(1700字)◇

 小説「愛でるもの」を読んで下さり、ありがとうございました。ここでは、あとがきとして自分がやりたかったことや伝えたかったこと、反省点などを書いていきます。

『ストーリー』

 ストーリーとしては比較的単純な作りになっていると思います。

 当初は少女を結晶に閉じ込めるというラストを考えていたのですが、あまりにもありきたりで面白くないなぁと思い、考えあぐねた結果、あのようなラストにしました。

 結局少女自体を結晶に閉じ込めるのと大して変わらないような気もしますが、大きく違うのは2点あると思います。

①少女が老いていくということ

②お兄さんから愛されていないかもしれないということ

 どうでしょうか。我ながら②は悲しいです・・・。しかし一方で、「愛でるために閉じ込める」というのは「お兄さん」の詭弁であった可能性もあります。その場合、少女はお兄さんに愛されている可能性もある訳です。このあたりの解釈は人によって異なってくるのではないでしょうか。


『登場人物について』

「お兄さんについて」

 お兄さんについては詳しく設定を決めませんでした。容姿も自由にイメージして欲しかったので、敢えてあまり描写はしていません。ただ、部分的には描写すればよかったなと思っています。

 私のイメージは、堺雅人さんです。(お兄さんじゃなくておじさんですが・・・)笑顔だけど目の奥は笑っていないような、心を上手く隠すことが出来るような人だと思います。


「少女について」

 この少女に関して一番迷ったのが年齢です。鬼ごっこをさせたかったので、小学校低学年くらいのイメージで出発したのですが、少女の視点で物語を動かしたかったので、そうなると自然に少女の年齢が上がってしまいます。小学校低学年の少女が「異なった趣」とか言うのは少し違和感がありますからね。これに関しては、迷った挙げ句、そのままにしていましました。そのため、少女の年齢がイメージしにくくなっているかと思います。ここは修正する際に何か策を考えねばと思っています。登場人物の年齢を自分の都合でねじ曲げてはいけないですよね。


『伝えたかったこと』

 今回は特に伝えたかったことはありません。どちらかというとモチーフが先にあり、それ合わせてストーリーを展開させていった感じです。もちろんモチーフは、「結晶に何かを閉じ込める」ということです。「閉じ込める」という行為には、今回のような「愛でるため」というプラスの感情と「自分から遠ざけるため」というマイナスの感情があると思います。しかし、美しい中身の見える結晶に閉じ込めるのであれば、「愛でる」という感情以外あり得ないので、今回は「愛でるため」に「結晶に閉じ込める」ことにしました。

 ラストに関しては、冒頭の通りですが、ひとつ、みなさまが気になったであろう問題。それは、言葉を閉じ込めてしまったらどうなるのかお兄さんが知っていたのかどうか、です。どうでしょう。みなさんはどう思われますか?

 私の見解は、「おおよそどうなるかは想像がついていた」です。しかし、実際に閉じ込めたのは初めてなのではないでしょうか。その結果、「言葉は閉じ込めても愛でることはできなかった」と語ったのだと思います。また、少女と初めて出逢ったときも、閉じ込めてしまおうだなんて思わなかったのではないでしょうか。おそらくお兄さんの中の狂気が目を覚ましたのは、少女が声の結晶を持ち帰ったときでしょう。声を発さない(発せない)状況であったにもかかわらず、そのまま家に帰ったわけです。つまり、少女は家の中で声を発さなくても誰も気付かない状況=孤独だと知ってしまったからでしょう。そして迎える6日目です。


『反省点』

 細かい描写をもっと時間をかけて丁寧にやればよかったなと思いました。お店の様子や、少女から見たお兄さんの部分的な視覚情報などはこの小説の色を出すためにはもっと必要だったことでしょう。そのほか、少女の年齢設定ももっとちゃんと考えればよかったと思いました。

 書き始めたら早くアップしたくなるもので・・・いけませんね。今後、少しずつ修正していきます。

 今回も小説「愛でるもの」と「あとがき」をお読みいただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。


小原由香里


お読みいただき、ありがとうございます。もし気に入っていただければ、今後も遊びにいらしてください。よろしくお願いします。