人間とはよくできた生き物だ|あとがき

小説「人間とはよくできた生き物だ」を読んで下さり、ありがとうございました。ここではあとがき、というよりも自分がやりたかったこと、伝えたかったことなどを書いていきます。

この小説は自身の妊娠体験を元にファンタジーを交えて書いています。


ストーリー

「で、最終的にはどうなったの?」


「角笛は?」


「結局ロビー=子どもでいいの?」


ストーリーに関して、色々と疑問に思うところがあると思います。


「結末について」

まず結末としては、いわゆる「夢オチ」にしていまいました。妊娠する前に、子どもが一度会いに来てくれると言う話をどこかで聞いたので、それを元にしました。しかし、この結末も書いている途中で思いついたので、あまり納得がいくものにはなっていません。


「角笛について」

途中まで別の結末を考えており、そのための伏線でしたが、結末を変えてしまったので回収することなく終わってしまいました。悔しいです。


「ロビーとは」

結局ロビーとはなんだったのか。それはみなさんが思っている通り、子どものようなものです。ただ、「子ども」としなかったのは、もっと広く使いたかったためなのですが、こちらもあまり「ロビー」という未知のものにした意味がありませんでした。


『伝えたかったこと』

「結局何が伝えたかったの?」

伝えたかったのは妊娠中の子どもに対する気持ちの変化です。望んで望んでやっと授り、妊娠が発覚したときは文字通り泣いて喜びました。


しかし、しばらくすると、自分の中に別人格がいるという違和感を不快に思い始めてしまいます。正直こんな気持ちになるなんて思いもしなかったし、当時そんな事は誰にも言うことが出来ませんでした。


そして次に、自分のすべてを見透かされているという恐怖に怯えることになります。当時私は広告制作会社で働いていました。それまでは終電が当たり前で、タクシーで帰ることもしばしばという感じでした。しかし妊娠発覚後、上司に相談し、かなり仕事をセーブさせてもらいました。


そしてそれに伴い、今まで自分の育ててきた仕事を別の人に引き継ぐことになったのです。そしてすこしずつ重要な仕事が自分からはがされていきます。


頭ではいろいろと分かっていたし、身体を気遣ってくれてありがたいという気持ちもありました。しかし、やはりどこか悔しく思うところもあり。そういった感情をお腹のこどもはすべて見透かしているのではないかと思うと、怖くてたまりませんでした。そして自分は母親失格なのではないかと思うようになったのです。


しかしそれから、お腹の子どもを守れるのは自分しかいない、という使命感に変わり、最終的には愛しくて仕方がなくなりました。まだエコーでしか見たことがない、お腹の中のこどもをです。


これらの感情の変化は特にきっかけがあった訳ではありません。ただ自然に「愛しさ」に辿り着いたのです。


そう考えると、まさに「案ずるより産むが易し」。人間とは自分が思っているよりもうまいことできているようで、妊娠期間を経て覚悟のようなものが出来るようになっているのです。そこで、タイトルを「人間とはよくできた生き物だ」にしました。


『反省点』

何しろ充分なプロットも立てず、本当に4つの感情が移り変わって行く、という事だけを決めて書き始めてしまったので、小説としては反省すべきところばかりです。


結果不要な登場人物が多かったし、伏線も回収しきれませんでした。キャラクターをムダにつけてしまったし、一番大切な4つの感情も丁寧に描くことができませんでした。さらに、最終的に「夢オチ」にしてしまったり。。。


よくこの状態で書き進めていったなという感じですが、とりあえずまずは1歩をスタートさせたかったので、無理にでも着地させて自分を褒めて、次に進んでいきたいと思います。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました。なお、「人間とはよくできた生き物だ」は修正を加え、再度アップしようと思います。その際もよければ見て行ってください。


ありがとうございました。


小原由香里



お読みいただき、ありがとうございます。もし気に入っていただければ、今後も遊びにいらしてください。よろしくお願いします。