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イドの怪物

映画「禁断の惑星」(1956年公開)に登場する、人間の潜在意識が創造した「イドの怪物」。考えたら凄いですね。実体がないんですからね。実体がない割にはモノを破壊したり、人間を鷲づかみにして殺したりできるんです。テレキネシスの強力なやつですね。作品中では描線アニメで後半に凶暴な姿を現します。作品中の特撮アニメはウォルト・ディズニー社が担当しているそうです。それまでは透明です。しかし、よく、こんなお話を考えつきましたね。僕は好きですね。

科学技術が想定以上に発達して互いに殺し合い絶滅してしまったクレール人の遺跡から放出されるエネルギーによって人間の潜在意識が“増幅”して怪物を作り出してしまった…というのは、科学技術の発達と相反するものですね。

潜在能力のエネルギーといえば、僕の尊敬するユダヤ人のマッド・サイエンティスト、ヴィルヘルム・ライヒ博士が発見した性的エネルギー“オルゴン”があります。博士はこのオルゴンを使って暗雲を払い除ける「クラウド・バスター」を作ったのです。そりゃマッド・サイエンティストですから実際に暗雲が消えるわけがありません。しかも性的エネルギーなんですからね。

ちなみに…僕の「消雲堂」というのは屋号ですが、初期には「クラウド・バスター消雲堂」でしたが、長いので消雲堂として、2013年に開業届を出しています。開業しましたが仕事がありません。

あら、また脱線しました。

潜在意識の怪物というのは、日本流でいえば「幽霊」だと思います。幽霊というのは実体のないもので、イドの怪物のように誰かの潜在意識によって現れるモノです。その誰か…というのは自分自身です。例えば複数の人間が同時に見るということはありません。潜在意識は、その人限定のものです。

複数の人間が目撃するとすれば、それは実体のある妖怪です。幽霊と妖怪の区別は実体があるかないかだと僕は思います。妖怪は物の怪(もののけ)というように物が化けたものです。物というのは(命を持たない)長く使われた鍋や釜に提灯などが自我の意識を持って化けるのが化け物、物の怪、妖怪です。狐や狸が化けたものも同じです。

しかし、妖怪でさえその実体(実態)は怪しいのです。複数の人間が目撃するとすれば、それは単なる「共同幻想」であるのかもしれません。

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禁断の惑星に登場するロビー・ザ・ロボット「ロビー」の、話す、歩く、点滅する玩具です。プラスティック製で単3電池4本で動きます(電池は両脚の靴?の中に入ります)が、なかなか楽しい玩具です。

さて、潜在意識の怪物の続きです。

海外の妖怪といえば、悪魔に邪神のほか、狼の変化→狼男、蝙蝠&狼の変化→吸血鬼、人工的死体蘇生→フランケンシュタイン、ヴードゥ教の死体蘇生→ゾンビなどがあります。物の怪ではありません。合理的な海外には鍋釜が化けるなんて思考がないのです。あ、ディズニーの「美女と野獣」では食器が化けてますね。

ああ、潜在意識の怪物にはユダヤ教の泥人形の実体化であるゴーレムがいますね。「惑星ソラリス」もですね。そうそう、潜在意識の実体化にはソラリスがあった。惑星ソラリスは、ポーランドのスタニスワフ・レムの小説を映画化したものです。

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写真は、僕の所有しているレムの「ソラリス」(国書刊行会のスタニスワフ・レム コレクション)です。

ソラリスの刊行は1961年です。禁断の惑星は1956年公開の作品です。ソ連でのタルコフスキーによる映画化は1972年です。ソラリスでは潜在意識の形成を、擬態形成体(ミモイド)と呼んでいます。

しかし、潜在意識の中に実体(実態)化させる要因がなければ、何も起こらないのです。幽霊も妖怪も現れない。見えないし、共同幻想も起こらないのです。









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