見出し画像

2020.4.18.SAT ペースをつかむんだ

朝新聞読んでたら、映画欄の空白が目に飛び込んできた。
「当面の間、臨時休館とさせていただきます」
蛍の光が流れる。さよなら・・・さよなら・・・
みんなさよなら・・・お元気で・・・・

春の別れは藤つつじ
これは誰の言葉だったっけ
たしかに、いつのまにか桜も葉桜になって、つつじが咲き始めた。

「春の別れは藤つつじ 人の別れはただ涙」 佐藤春夫

さみしい。

非常事態宣言が出され、外出自粛が言い渡されても、わたしの生活はさほど変わらなかった。ふだんから自宅と店との往復で、間にあるスーパーに朝と晩立ち寄るくらい。今は朝に1日の買い物をまとめて夕方は行かないようにしてる。
雲間喫茶ではお客さんたちから、あそこのカフェが素敵なんだ、あそこの料理屋さんが美味しいんだと、いろんなお店のことを聞いていた。
それは行ってみなきゃ、それは食べてみたいなぁ、などといいながらぜんぜん行けてない。
お客さんも来なくなり、いつか行きたいなと思っていたものたちも、みんな手を振りながらいなくなる。わたし一人取り残されていくような気がした。


こんな事態になって、広島でも飲食店を応援しようという動きが始まった。

画像1

「広島飲食店未来チケット」
各飲食店捺印発行の「未来チケット」をお客が1枚2000円で購入。
お店にとっては今の収入になり、未来の来店予約になる。

テイクアウト

「広島テイクアウト連合」
いろんな飲食店が次々テイクアウトを始めた。その情報を集約して発信。

短期間で仕組みが稼働して人々が参加していく勢いがすごい。中の人々は有志のボランティアだと思う。気に入ってるお店にふんばって存続してもらいたいというお客さんたちの思いに、勇気づけられる店主も多いと思う。

タイムラインには、日々素晴らしい持ち帰り料理の画像があがる。
お客さんから評判を聞いて行ってみたいなと思っていたお店も次々と。
ああ、あそこもテイクアウト始められたんだ、うわーうまそうだ・・・

しかし、えっ、こんなに美しいお弁当が○百円!?
ちょっとびっくりする。お安すぎはしませんか・・・

各料理屋さんは、その料理そのものだけでなく、器、しつらい、店の雰囲気、サービス、料理を取り巻くすべてをもって入魂の一皿なんだと思う。
料理だけを紙の容器に切り取っても、本当は満足いくものではない
だからこの価格
なのかな
だとしても
容器代とか経費もかかってて、単価も低く、ぜんぜん儲けにはならんのではないかと心配する。店内で安心して飲食してもらうことが難しくなってるからこその苦肉の策の一手なんだろうけど

そしてわたしは、テイクアウトができずにいる。
行ったことのあるお店ならともかく、行ったこともないのに
いつもの100%全力の味を知りもしないのに
切り取られた一部分をつまみ食いするのはなんか申し訳ない気がして。
売る方は、馴染みのお客だろうが一限だろうが、一つでも多く売れた方がありがたいのはわかるんだけど・・・・

非常事態に毛を逆立てて、みんな一斉にバッと走り始めて半月
パニックの初期はアドレナリンが吹き出て火事場の馬鹿力が働く。
奇跡的な動きに感動を覚える。涙もこぼれる。
走り続けて息が切れて、どこにむかうのかわからなくなったころ
足が止まって

・・・いややめよう。悪い予想にはひとつもいい効能はない。

ペースを掴むんだ。走るの嫌いなんであくまでイメージなんだけど
わたしはのろい。だらだら足をひきずって歩いてるくらいのペース。
走ったら死んじゃう。このくらいがマイペース。
それぞれのペースでいこう。先は長いそうだ。
へこたれない、あきらめない、精神的にやられないのがベストだ。
立ち止まってもオーケー。足元には花も咲いてる。
道草けっこう、今は働け働け休むな休むななんて言われない
淡々といこうぜ、健康に気をつけて。

さよなら、さよなら、みんなさよなら・・・
手を振って消えていくようなさみしさを感じてたけど
そうじゃないぜ、
それぞれがそれぞれに
いつか会える場所を目指してるんだと思いたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?