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新茶、ぴちぴち、青春ブレンド

また今年も巡ってきました、新茶の季節。
3月終わりころ、鹿児島の種子島あたりで「茶摘みが始まった」という声を聞いてから、茶摘み前線が日本列島を北上していくのをワクワクしながら眺めています。

4/10摘みの鹿児島・枕崎のさえみどり煎茶がまずは届きました。
「雲間」の日本茶は、創業140年の老舗、尾道・今川玉香園茶舗さんにお願いしています。広島はお茶のメジャーな産地ではないのですが、だからこそいろんな茶産地のお茶を自由に扱えるというメリットもあります。

この枕崎、ちょっと蒸しが深い(摘んですぐ蒸す、その蒸し時間が長いってこと。蒸しが長いと葉の組織が壊れやすくなり粉がちになります)のですが、まあどうして、一番茶なのに超優秀。めちゃ旨い。んまー。

新茶の醍醐味は「香り」。製茶したての、揮発成分グリーングリーンした香りはもう命そのものみたいな爽快さです。だからちょっと高めの温度でさっと香りをたてて淹れたいところ。
摘む時期が早すぎると旨味が乗りきらず、爽快なだけの新茶もあったりするそうです。早ければ早いほど「初物」としてレア度も高いから、つい早く出荷しちゃうのもわからなくもない。
茶農家さんたちはもう、天気と気温と茶の芽の充実具合と、摘みのタイミングに神経尖らせてバリバリ作業されてるんだろうな。
一方全国のお茶屋さんは一年の商い分の「一番茶」を確保するためにこれまた刻々と状況を読んでいる。茶市場での入札も予算と品質と量とタイミングを計る、すごい現場だよなぁ。

今川さんところにもじゃんじゃんサンプルが届く。
今川さんは基本的には入札ではなく、長年の信頼でつながる茶農家さんなどから取引しているそうだ。この一番茶、今はいいけど夏を超え秋になって冬になっても劣化せず旨味がのっていく茶だろうか、というところまで予想して仕入れるそう。プロの仕事ですね。
余談ですが、いまや技術革新はものすごく、窒素充填して巨大冷蔵庫にいれて保管すれば、新茶の味わいはほぼ一年中キープできるそうだ。
今川さんところは土蔵で保管。自然の空調設備の中でお茶たちは息をして、じっくり変化していく。劣化ではなく熟成。そうやって移ろって変わっていくことに価値を見出す。わたしはそっちが好きです。

そして「雲間」という店を開く前の「温泉茶」寺本は、日本の茶くらい間違いなく旨いものがいつでも買ってもらえる環境を持ちたいと思った。
そんなに数が売れるわけでもなく、面倒で手間な仕事なんだけど、今川さんは喜んで(おもしろがって?)「温泉茶オリジナル合組(ブレンド)」を作ってくれたのです。
初代パッケージがこちら(デザイン:D&B 関浦通友氏)

ルールとしては
・鹿児島と静岡のお茶が広島で出会う
・詰めるタイミングごとに、その時最良優先。ブレンド比が変わってもよい
・変わっていく味のイメージで茶袋の色が変わる
という感じ。

ふつう、有名茶舗の「上煎茶」は、いつ買っても同じ味でなくてはいけないので、さまざまな合組によって「同じその味」をキープしています。
お茶は農作物だから、同じ畑でも毎年違う。そのゆらぐものを同じ味にする、それが茶師の腕の見せ所とも言えます。
しかし「温泉茶オリジナル合組」はあえて変わっていくことを身上とした。
詰める時期が違えば、蔵の中のお茶たちの状態も刻々変わっているわけで、その時一番いい組み合わせっていうのは変わっていって当然だから。

そしてあれから何度詰めてもらったでしょう。
また今年も新茶の袋を準備する時期になりました。
「雲間」を開いたときにデザインも装いを新たに。
(デザイン:ポワント 西山あきえ氏)
シール貼りの内職にいそしんでおります。


新茶はこの蛍光グリーン袋。
お茶のペットボトルやお茶屋の菓子パッケージとか、だいたいこんな蛍光グリーンが多くて、なんか人工的な色で趣味悪いなと思っていた。
が、新芽が風になびく茶畑に立ってその意味がわかった。
ほんとに茶の芽が光ってる!蛍光グリーンなんです。ああ・・・ピカピカ。

ゴールデンウイーク前後、八十八夜あたりになると、静岡の高海抜の茶畑のいいお茶も届いてるんじゃないかな。

それにしても毎年印象が全然違うんですようちの新茶。
青くて暴れて、もう盗んだバイクで走り出しそうな、窓ガラスを壊して回りそうな、そんなビッチビチの新茶だった年もある。
そうかと思えば、若いのに酸いも甘いも達観したようなよくできた子ね〜、という旨い年もあったなぁ。

今年の新茶「青春ブレンド」はどんな感じの新茶になるんだろう。
今川さん、よろしくお願いします!みなさん、お楽しみに!



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