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2022.3.11 FRI 手続きはつづく

4月から大学生となり県外で暮らす息子の手続きが日々続いている。
大学生になるのってこんなに大変だったっけ?

結局、一人暮らしではなく寮に入ることになった。
入寮手続きがこれまた煩雑。申請→登録→確認→請求→入金→
これから入寮日を決めて引っ越しとなる。

合格発表からこっち、ずっと金を払い続けている。
入学金、前期授業料、入寮費、任意の保険料
もう払いすぎて吐きそう。
吐けるものがあるうちはまだまだ。これからカードの請求が遅れてやってくるぞ。
スーツを買い、靴を買い、ノートパソコンを買った。
高校2年のコロナの春、自宅で遠隔授業に備えてパソコン買った。
MacBook買った。
そしたら大学で指導するのはWindowsだという。Macでも決してダメじゃないけどサポートは一切しないという。
Windowsマシン買った。
なんかのネットショップでカード切ろうとしたら限度額超えてて使えなかった。まじ恐怖。
あとは入寮時に必要な細々としたもの、カーテンだの布団だの棚だの掃除機だの冷蔵庫だのドライヤーだのを買わなくてはいけない。
しかしうちはひとりっ子だ。世の中の二人三人兄弟のおたくはどうされてるんであろうか。超尊敬する。兄弟いたら頼むから国公立自宅通学でお願いしますと言いたい気持ちは痛いほどわかる。息子の好きなようにさせていたら私立ひとり暮らしという最高値コースになってしまったのだが、子はひとりきりだし歯を食いしばってなんとかする。なんとかなるのか?
こんなだから少子化に拍車がかかってるんではなかろうか。知らんけど。

そして送金の都合で息子の銀行口座を作ることになった。
高校卒業時にもらったハンコ持参で窓口に行くと、「身分証明書お持ちですか?」持ってきてなかったので日を改めて出直し。

その足でドラッグストアへ。薬箱を作って持たせたかったのだ。
葛根湯、胃薬、ビタミン剤、体温計、絆創膏・・・
隣の百均でケースを買って詰めた。ジャムの空き瓶に梅干も詰めて入れた。
お腹弱いので、いつも焙じ茶に梅干しを落として飲ませていた。
お湯くらい沸かせるだろう。アロマオイルも入れとこう。
使わなければそれが一番いい。

翌日改めて銀行へ。今度は息子も保険証持参。
しばし待っていると
「あのー、このお名義で通帳が3冊ございますが・・・」
遥か昔息子が赤ちゃんだった頃に作ったらしい。
定期預金口座は把握していたが総合口座の存在をすっかり忘れていた・・・
通帳の再発行に2200円かかるそうなので帰って家探しすることにした。
予期せぬ困難は過去の怠慢が連れてくる。

昼時だったので近くのうどん屋に入った。
またもや目的を果たせず、もう疲れた。
黙々とうどんをすすった。
聞くともなく聞いていた有線の曲が耳についた
「これって、レミオロメンの3月8日」
「おしい、9日」

瞳を閉じればあなたが
まぶたの裏にいることで
どれほど強くなれたでしょう

レミオロメンの「あなた」が誰だかは知らないが
わたしにとっては息子が「あなた」だったな。
息子のおかげでがんばれた。がんばれる。

そんな春のお別れソングを聞きながら、人気のないうどん屋で二人。
いつか思い出したりするんだろうか。

「かーちゃんの18歳って、どんなだった?」
うーん、そこそこ? まあ、ほどほどな?
「なにそれ。その頃に戻りたいと思う?」
絶対にいやだ。
若かったあの頃がそんなに楽しかったわけでもない。
思い通りにならない苦しさばっかりよみがえる。
悩んで、選んで、枝分かれのその末の今がベストだと
そう思いたい。

息子にとって、これから30数年かけて選択と苦悩の連続で、
その結果さえない有様のこんな大人になるのかという現実を突きつけてよかったのか。
いいな若いって楽しくていいな戻りたいくらいの希望に満ちた日々が君を待ってるよと伝えたほうがよかったのか。わからない。

夕方、下校する小学1年生の群れとすれちがう。
折しも今日は3月11日。
11年前の息子は小学1年生だった。
帰宅したらテレビにむかってかーちゃんが「逃げてー!!」と叫んでいて、
息子はヒューズが切れたように眠ってしまった。

あのまま、子供が今も小学1年生のままの母親もいるのだろう。
時間が止まったままの人たちを思う。

こうして手続きがつづくことは、幸せなことなんだと思い直す。
ひとつづつ、一個ずつ、完了させて4月を迎えたい。
まずは、今夜通帳を発掘するところから続けたい。

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