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お弁当デイズ

息子が高校生になった。

思えば保育園小学校給食、中学校デリバリー弁当で、なにか特別な日だけお弁当を用意すればよかった。
そういう時は好物満載で、やつは母のおかずよりも「石井のおべんとくんミートボール」の方がご馳走だというのでお安い御用だった。

中学の時は「お弁当がいいなぁ、みんなお弁当持ってきてるよ」
というので聞いてみるとクラスに数名で
「だって!酢の物と果物とおかずがまざったお弁当なんかすごい味だよ!」
白いご飯だけは温かいが、おかずは冷たく輸送時にゆれて混ざってるんだと。しかし一食たった数百円で栄養バランスのとれたものが提供されるなんてありがたいことじゃないかと3年間デリバリーにお世話になった。

しかし高校はそうはいかない。慣れたら学食で食べるのも楽しいんだろうが、最初のうちはお弁当を持たせなくては。
初めて、毎日お弁当を作る日々が始まったわけです(今日2日目)。

早まった登校時間にあわせて1時間近く早起きして作って持たせた。
ついでに自分の弁当もいっしょに詰める。昨日はいい天気でせっかくだから近所の土手の桜でも見ながら食べようと思ったら、箸を忘れてた。

息子に最初にお弁当を作ったのは保育園の時だ。「遠足でお弁当がいります」。離乳食からやっとふつうのご飯を食べだしたかな、ってときだったのでえええ?と戸惑った。
まぁブロッコリーとかソーセージとか卵焼きとか、できるだけ小さく切り刻んで詰めたよね。全部あーんしてもらって完食していてびっくりしたな。
あのころのちんまいお弁当箱から何回買い換えたかな。

自分で詰めた自分のお弁当は不細工だ。おかずのバランスもいい加減。
ああ、卵焼きもうちょっと甘くてもいいかな。味噌漬けはちょっと辛かったかな。冷めて食べると味の感じが違うよね。

もともと料理が好きなわけでも上手なわけでもなく、SNSにアップされる素晴らしいお弁当を眺めては恐れおののいていた。よくまあそんなにお弁当に手間暇かけられるねと。絶対マネできないなと。

日曜日の朝、「ハイキュー!」というアニメ番組をやっていた。
おそるべきかっこいい高校生たちが熱くバレーボールをする話だ。
手元にある「黒子のバスケ」を読んでも、あんな高校生いないよ、と思っていたが、今時の高校生たちはみなしゅっとしててアニメの主人公のようだった。そして、そこには登場人物たちの「親」は一切出てこないのだ。
悩んで、考えて、試合して、それはすべて高校生たちだけで行われる。
息子もそういう年になったんだな(しゅっとしてはないけど)。

同じ中学から一緒になった男子がひとりもいなくて、どうやらなんとなく不安に思っていたようだけど
「今日友達できた!ひとりでお弁当食べるのいやじゃけ、一緒に食べようやって話しかけた。その子は◯◯中学で陸上やってて・・・」
嬉しそうに話すのを見て、ちょっと安心したのはこっちの方だ。

弁当箱は、帰ってきたら洗うこと。でないと翌日作りません。
新しいルールも制定された。

たった3年間。親がしてやれることはどんどん少なくなっていく。
心配や愛情を注ぐ先があるってことは幸せなことだと思う。
たぶんマンネリの茶色い弁当になるんだろうけど、毎朝起きて作るよ。


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