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あの本の翻訳はまだですか #1

Cat in the Stacksシリーズ

【ジャンル】コージーミステリ
【出版社】Berkley Prime Crime
【出版年】2010~現在
【著者】Miranda James

【基本設定】
 舞台はミシシッピ州の架空の町、アシーナ。主人公チャーリー・ハリスは母校でもあるアシーナ大学の図書館で非常勤のアーキビストをしている。3年前に亡くなった叔母から相続した家で、メインクーンのディーゼルとともに一人暮らししている。
 とはいえ、叔母の代から通ってくれている家政婦アザレアが家事のほとんどをしてくれるし、上階の空いた部屋には学生も下宿しているのでわびしい感じはなく、むしろほっこりした家庭的な雰囲気がある。勤務先の図書館の同僚にもチャーリーの同窓生が多く、仲の良い暖かい雰囲気が心地よい。
 素人探偵ものなので、小さな町にもかかわらずチャーリーのまわりでは次々と殺人事件が起こり、チャーリーは彼の人脈とディーゼルの愛嬌で人々から話を聞きだして推理を重ねる。
 素人探偵にありがちな、終盤で向う見ずに危険に飛びこんでいっては間一髪で救出されるというお約束じみた展開はほとんどなく、あくまでも穏やかに、理詰めで迫っていくチャーリーがかっこいい。
 そしてもちろん、ディーゼルがとにかくかわいい。(笑)

【おすすめポイント】
 このマガジンの企画を思いついて真っ先に頭に浮かんだのがこのシリーズです。
 「書棚」や「本の山」をあらわすStackにいる猫、というシリーズ名はさしずめ〈図書館に通う猫〉とでもしたいところ。チャーリーの飼い猫ディーゼルは、猫としては大型種のメインクーンのなかでもさらに大柄なので、よく犬と間違われたりもします。人懐こくすり寄ったり、さまざまに鳴き分けて、まるで会話が成立しているかのよう。それでもいわゆる「マジックキャット」ではなく、どこまでも猫らしく振舞っていて、ほんとに理解しているみたいな相槌をうつけれど、事件解決のヒントをそれらしく示したりはしないところが大好きなのです。
 1作目では、チャーリーのキャラはどことなく「フツーのいい人」な感じで、強烈な魅力がないと思う読者もいるかもしれないけれど、それはたぶん、叔母につづいて最愛の妻も病気のために40代という若さで亡くしたために気力が落ちているせい。すでに成人して離れて暮らしている子供たち(弁護士の息子と大学講師の娘)との関係が描かれるようになる2作目以降では、その印象も変わると思う。愛情深くユーモアもある父親像は、巻を追うごとに愛おしくなってきます。
 ハリス家の家政婦アザレアは懐の深いおふくろさんのようだし、その娘で保安官補のカネーシャとのつながりから捜査情報の共有にも協力してくれたりして、「みんなが知り合い」という小さい町の良さを体現しているよう。
 シリーズ1作目は発売から4週間にわたってNYTのベストセラーリスト(マスマーケットPB)に入っていました。その後も根強い人気はつづき、まもなく13作目が発売されます。

【レジュメの有無】有。ご連絡いただいてから見直す場合もあるので、数日以内には提供可能です。
【試訳の有無】1作目有。

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