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優秀なエンジニアの採用はなぜこうも難しいのか?エンジニア採用市場を考えてみた。

前職のヘッドハンター時代から約3年半優秀なエンジニアの採用支援に両面で携わっていましたが、経営者・CTO・人事の方々からエンジニア採用は本当に難しいとの声をいただく事が多かったです。
そして、私もいろいろな職種の幹部の方の転職支援をさせていただいた中で、一番苦労したのがエンジニア採用でした。

その理由としては、

①前提として労働力の需給ギャップが大きいため
②他の職種と一線を画すエンジニア独自の転職の価値観や本音が企業さんに伝わっていないため

だと思います。

まず①の需給ギャップを定量的に考えてみたいと思います。

情報処理推進機構(IPA)さんの「IT人材白書2018」によると、

ネットサービス実施企業におけるIT人材の”量”と”質”の推移
■量
2016年度調査 大幅に不足 24.7% やや不足63.7% 特に過不足はない10.4%

2017年度調査 大幅に不足 40.2% やや不足52.1% 特に過不足はない7.8%

■質
2016年度調査 大幅に不足 26.4% やや不足61.0% 特に不足はない11.5%

2017年度調査   大幅に不足 39.3% やや不足49.3% 特に不足はない11.0%

なんと大幅に不足の割合が1年間で量は15.5%、質は12.9%も増えています。

また、量質ともに90%近くが大幅に不足もしくはやや不足という結果です。

そして、量質ともにエンジニア採用に困っていない魅力的な企業さんも存在する(もしくは外部人材で賄っている等)と推測できます。

また、「IT人材白書2018」のIT人材推計では、

IT人材推計912,000人の内、
情報処理サービス業に従事しているのは129,420人、
パッケージソフトウェア業に従事しているのは28,453人。

IT人材の内、
「事業企画・コンサルタント・その他」を除く「技術者・プロジェクトマネージャー・システムアーキテクト」は83.3%の759,696人、
「アプリ系技術者」は37.8%の344,735人。

つまり、情報処理サービス業とパッケージソフトウェア業を事業会社と仮定した場合、事業会社で働いているIT人材は157,873人であり、

「技術者・プロジェクトマネージャー・システムアーキテクト」は131,508人

「アプリ系技術者」に絞ると59,676人

となります。

更に社内・業界をリードする人材比率は約8.2%との事で、事業会社のアプリ系エンジニアで社内・業界をリードする人材は4,893人

と推定できます。

厚生労働省が出している「平成29年雇用動向調査結果の概要」によると、

情報通信業の入職率: 10.6%
情報通信業の離職率: 10.5% 

これを単純計算すると、

事業会社の社内・業界をリードするアプリ系エンジニアは

4,893人×10.6%=年間519人、月間43人しか転職していない事になります。

尚、パーソルキャリアさんが運営している転職サイトdodaの転職求人倍率レポートによると、

2018年1月〜10月の技術系(IT・通信)職種の求人倍率平均は7.73倍! 

なかなかハードな採用競争が生まれている状態で、いまの各事業会社さんの動きを見ても知恵を絞ってかなりの努力をされているかと思います。

直近でもユニークなスタートアップが生まれては資金調達を行いCTOを求めていますし、外資IT企業、大手日系IT企業、メガベンチャー企業、ミドルベンチャー企業、そしてこれまでリアルビジネスを行っていた企業もエンジニアの募集を強化している中で、優秀なエンジニアを採用できるか、またそういった方々に長く働いてもらえるようにするかは重要な経営課題かと思います。

私が以前書いたnoteでは、エンジニアの需給ギャップが更に拡大していく事、また本音ベースの転職理由を綴りまして、エンジニアを採用・マネジメントをする上で押さえておくべき4つの志向性を紹介しましたので、よろしければ併せてご覧いただければ嬉しいです!

次回は、上記のような状況下でエンジニアを採用する上で重要になる②の他の職種と一線を画すエンジニア独自の転職の価値観や本音を明らかにし、私なりにどうやって口説いてオファーを出していくと良いかを述べていきたいと思いますが、
ちょっとボリュームが多くなりそうで大分時間も掛かりそうなので、スキの人数によって今後の継続可否を決めていきたいと思います。



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