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200名以上のエンジニアの転職相談に乗って分かった、転職活動時の優秀なエンジニアの3つの特性と赤裸々な本音

前回のnoteでは、noteの「スキ」やFacebookの「いいね!」をそこそこいただいたので、今回は難しいと言われる優秀なエンジニア採用において採用成功のヒントになればと、転職を考える優秀なエンジニアの3つの重要特性と赤裸々な本音をまとめていきたいと思います。

私自身、年収700万〜1500万円の方々を中心に200名以上のエンジニア(最高年収はアメリカ本土の大手外資系企業で働かれている3000万円クラスの方)の転職支援に携わり、また採用側のCTO・VPoEの方々100名位と開発マネージャー・テックリードの方々100名位にお会いした結果、エンジニア独特な考え方や志向性への理解が少し深まりました。その中で企業様にはあまり漏れないであろうエンジニアの方々の本音の声をたくさん聞かせていただくことができたので、今回シェアしたいと思います。
※イメージを持っていただくため、生々しい本音を書いており、刺激が強いかもしれません。

1.優秀なエンジニアは、ビジネスを見る目がすごく厳しい。
案件紹介時、面談・面接後には、以下のような厳しい意見を言われた事があります。

「市場規模が小さい。」

「社会的なインパクトが少ない。」

「資金的にベンチャーが勝てる領域ではない。」

「新しさを感じない。(他にも似たようなサービスある、新規性がない)」

「事業に興味が持てない。」

「事業領域的に難しそう、儲からなそう」

「事業がスケールする気はしない。もっと、ガッーと大きく成長できそうな事業がいい」

「Web完結だともうあまり白地がなく、今後のスケールは難しい」

「今の事業リーダーより優秀な事業リーダーであれば転職を考える」

メガベンチャーやスタートアップといった事業会社で働いている優秀なエンジニアは、流行に敏感でプロダクト開発に携わる中でたくさんのサービスを見ているだけあって事業がスケールしそうかどうかについて、瞬間的に判断されていました。対象市場が伸びるか、事業領域が盛り上がっているか、事業内容に優位性があるか、その中でマーケットリーダーとなれそうか、スタートアップの場合はIPOできる可能性が高いか等々、「こんなにエンジニアはビジネスを見る目が厳しいのか~」とよく思いました。

そのため、正社員で技術力の高いメガベンチャーのリードエンジニア経験者など優秀なエンジニアを採用するには企業の総合力が求められます。「尖った事業で伸びそうだな」とか、「プラットフォーマーとして既存の社会構造や仕組みをガラリと変えられそうで、会社のミッション・ビジョンにも夢があるな」と思ってもらえることは第一に重要だと思います。

2.優秀なエンジニアは、リスク回避能力がとても高い。
面談等では普通に話を合わせて盛り上がって話をされている事も多いのですが、終わった後に感想を聞くといろいろな本音を話していただきました。

「PMの方があんまりイケてないのが気になった」

「○○出身のエンジニアは個性的だから自身と合わなさそう」

「会社が営業組織なので、文化を変えるのが大変そう」

「特に技術的な面白みがない」

「いい会社だけど、そこまでスケールやIPO目指していないので、今の会社を辞めてまで行こうとは思わない」

「現職の役割に不満はあるけど、年収が上がらないと移る意味はない」

「通勤時間が長くなるので、リモートワークできないと難しい」

「エンジニアドリブンでない」

「上場できなさそう」

「働き方が柔軟でない」

「組織体制はどうなっているのか。その中での自身の役割はどうなるのか」

「あまりデータが無さそう」

「(オファーレター出るのが遅くなり)意思決定遅そう。本当に自分のことを欲しいと思っていないのでは。」

「外注比率高そうで、しっかりプロダクト開発出来なさそう」

「純粋にエンジニアリングがやりたいのに、組織作りとか採用とか求められそう」

「今転職するより、このまま残って自社の株価を上げた方が良さそう」

「年齢もあるし、カルチャーが合うか分からないので、転職ではなくまずは業務委託から働かないとリスク高いので決められない」

「年収下がるのは嫌だが、無理して出してもらうと働きづらいので、出していただける金額で判断したい」

このような本音を聞いていると、エンジニアの方はリスク回避能力に秀でているなあと思いました。一番すごいと思った事例としては、ある方は自宅を建てるに当たって、大地震が来ても家が崩壊しない丈夫な地盤と場所で、尚且つ都内の主要道路が壊れても閉じ込められず、地震からも逃げられる安全なエリアをしっかり選定して家を建てられたという事でした。

3.優秀なエンジニアは年収を上げたい、もしくは年収維持はマストと考えている方が多い。

「年収1000万円以上じゃないと転職しない」

「今の環境には満足しているし、リスクをとってベンチャーに挑戦するなら、CTOポジションで300万円アップ位でないと転職を検討しない」

「年収100万円以上アップしないと転職しない」

「年収を下げる事は考えていない」

「SOはボーナスのようなもので、儲かったらラッキーぐらいにしか考えていない。SOより年収のベースアップの方がいい」

「(オファー時に)SOが口約束だったら、年収も下がるし今のところで上場後まで残っていたほうがよい」

「他社は1000万円(年収数万円近くアップ)出せると評価いただいたので、生活もあるしその金額だと厳しい」

「子供が生まれるかもしれないし、年収下がるところは検討できない」

相談に乗らせていただいていた中で、転職で年収を上げたいと考えているエンジニアは多く、また実際の内定フェーズになると積極的な年収交渉を依頼される事も多かったのは事実です。

もちろん経営レイヤーで仕事をしたいと思っていて、ミッションに共感して年収を下げてでもスタートアップに挑戦したい方もいますが、大部分のエンジニアは転職の際に年収を上げたい、もしくは最低でも維持と考えていらっしゃいます。

また、エンジニアの皆さんと接していて感じた事としては、自身の技術に誇りを持っていて自身の技術を安売りしたくない、高く売りたいと考えている方が多く、年収=市場価値=自身の評価と捉えている事です。需給バランスが大幅に崩れている事も相まって、一定のスキルを保有した優秀な方になるほど、したたかに企業を見定めているかと思います。

上記のような年収アップの志向は特にアーリーフェーズのスタートアップ企業様からすると、まだ赤字でIPOに向けて数字も作らないといけない状況で、年収ステイやダウンは理解してほしいという気持ちもあるかと思います。そういう場合はスタートアップ志向や経営サイドで仕事がしたいエンジニアを探すという事と、エンジニアにとって年収以外の魅力ある要素(事業ビジョン・ミッション・事業魅力・人の魅力・裁量・働く環境・ストックオプションなど)を意識的に作り、採用競合と勝負していくことが大事かと思います。

メガベンチャーや一定の体力のある企業様に関しては、優秀なエンジニアは生産性が何倍も違うという事と市場環境を鑑みて、現年収に捉われず転職市場におけるその方のフェアバリューで評価していく事が今後は重要かなと思います。(実際、日本企業は正社員を簡単に解雇できないという雇用制度もあるため、現年収からその方の採用時の年収を考える傾向が強く、中々最初から高いオファーを出し辛いという部分もあるかと思いますが、実際にメガベンチャーやエンジニア採用が好調な企業様は、フェアバリューでエンジニアを評価し始めています。)

なぜそう思うかと言うと、大きく3つ理由があります。

①優秀なエンジニアは引き留めも激しいため。
今はメガベンチャーも人材不足の時代ですので、優秀なエンジニアが他社で内定をもらって社内で上司に退職相談をすると引き留めが強い事が多く、本人としては内定承諾する予定だったのに寸前で気持ちが変わってしまうケースもあります。

「社長と面談して、好きなことをやらせてくれることになったので内定辞退させていただきます」
「CTOと面談して、希望の部署に異動できるようになったので内定辞退することにしました」
「退職の意を社長に伝えたら年収上げてくれるようになったのと、嫁も反対しているので今回は内定辞退します」

上記は実際に私が経験した事例です。これらとは反対に内定承諾に繋がった他の採用成功事例を振り返ると、企業魅力と志向性のマッチが前提にはありますが、エンジニアで採用成功したケースは年収アップ・年収維持がほとんどでした。

②技術力や事業スピードはIT企業の生命線だと思うため。
特に中国やシリコンバレーのユニコーン企業同士の戦いを見るとそうですが、熾烈な競合との戦いに勝ち抜くためには、至極当たり前の話で恐縮ですが、エンジニアリングの力が不可欠だからです。

③現年収は在籍企業の評価制度や業績によっても影響されるため。

以上です。

これからの日本には、IT業界から日本発の世界で勝てるメガベンチャーがたくさん生まれる事が重要だと思うので、エンジニアの待遇改善や職業としての人気の向上にも繋がればと思います。

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