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【#一日一題 木曜更新】 おかやまzineスタジアム

山陽の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。

覚悟はしていたものの、当時はあいにくの雨だった。

2月のある日、おかやま文学フェスティバル2024の催しのひとつ、おかやまzineスタジアムに参加した。会場は旧内山下小学校の体育館。周辺には岡山市民会館や岡山城があり散策をしたことはあるが、内山下小学校の中に入るのは初めてだった。Googleマップには「旧内山下小学校」と表記されている。調べてみたら明治20年に開校、平成13年に閉校。閉校、つい最近じゃんなんて思ってしまうのは、私がそれなりの年齢だからか。西暦に直して計算すると、すでに20年以上前で「つい最近」なんて考えた自分にちょっとびびった。

内山下小学校はかつての岡山城の城下町、旧内山下跡地にある。そのため校庭内には西の丸の庭園跡地があるらしい。そして岡山空襲にも耐えて残った重要文化財の西手櫓があるらしい。「らしい」というのは、zineスタジアム当日に敷地内を見てまわりつもりが、会場入りの時間10時頃の強い雨と重たい荷物、低い気温で何もかもが吹っ飛んでしまった。イベント時の雨は思考を奪う。

小学校周辺には石垣が所々に残っている。建物の間に小さく残る石垣もある。新旧混ざっているのかもしれないけれど、これのどれかは岡山城の歴史のひとつ…と、小さなビルと道路に挟まれた窮屈そうな三角形の石垣は、建物を立てるときに「この石垣は?」「取っ払う?」「いや残そう。西の丸だし」なんてやり取りがあったかもしれないと想像して楽しくなった。zineを詰め込んだスーツケースをころころ引き、ちょっと急な坂を上って内山下小学校の門に入った。

校門横の駐車場や受付にはボランティアスタッフさんがいた。参加者受付の行列に並んでいたら、濡れたスーツケースを市の職員さんが拭い会場内へ入れたり、傘袋を渡してくれたり。スタッフさん全員の気遣いがありがたい。

スーツケースが置かれた先に目をやると、今日の私の相棒が立っていた。背が高いのでちょっと目立つ。相棒よ、2月のこの寒空に相変わらず薄着だな。この人がもこもこした服を着ているのをあまり見たことがない。
自分たちの売り場を整えたあと、相棒に膝掛けとやけど注意のマグマカイロを渡した。おかんの準備はぬかりないのである。

雨なのに、自宅近くとは全く違う内山下小学校までの道のりと、会場のスタッフさんの対応、そして薄着の相棒、なんだかこの時点で自分を取り巻く全てのものにうれしくなった。

わくわくする1日の始まり、エピソードゼロ。







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