社会人の不幸の8割は合意のない期待から

社会人の不幸の8割くらいは、合意のない期待によって生まれているんじゃないかなぁと思っています。
勝手に期待をして、裏切られたと思う、この気持ちが自分の中のフラストレーションを生んでいます。
このことを、先日のダイアモンドオンラインの記事(債務超過を招いた経営陣の「無関心」が最大の失敗 さくらインターネット・田中邦裕社長)でお話ししたんですが、思いのほか周りからの反響を頂いたので、ちょっとnoteを書いてみます。

一つの例ですが、上司が部下に対して、これくらいやってくれて当然だろうと思っていることでも、それが部下に伝わっていなくて、結局部下はそれをやってなくて、「なんでやらないんだ」と上司は部下を叱責したりしてしまうことがあると思います。
でも部下は「なんだよ。自分のやることじゃないだろう」と思って、結局上司も部下も2人とも腹を立てているという状況は、まぁよくありそうなシチュエーションです。
逆に、部下が上司に対して、これをすれば良いんじゃないか?と思って、それをやったとしても、でも上司が別に望んでいない場合には、上司は褒めてくれず、部下が寂しい気持ちになることもあります。
おまけに、上司が「別にそれは今やらなくてもいいだろ!」とか言っちゃったりして、部下のモチベーションはダダ下がりになることもあるでしょう。

ここで重要だなと思うのは、良いこと、悪いこと、やってほしいこと、やって欲しくないことなどの期待を、事前に合意しておかないといけないなということです。
上司から部下へ「言わなくてもわかるだろ」とか、部下から上司へ「どうせ言っても無駄」って話は典型例ですし、ちゃん事前に合意することの重要性を痛感します。
ちなみに、部下から上司への「どうせ」という気持ちは、過去の上司の言動による学習性無力感が背景にあるのは明らかですから、上司が変わらないといけないのは当然です。
ただ、会社の上司部下以外にも、経営者と社員、社員同士、経営者同士でも起こりえることで、家庭であれば夫婦や親子、様々なところで合意のない期待が外れた時の、怒りやイザコザがはびこっています。
上下のある関係の場合は、上(上司や経営者)から変わらないといけないわけですが、このような話は上下だけの話ではないので、やっぱり自分も気を付けないといけないことなんだろうと思っています。

なお、そもそも他人に期待しても無駄という話もあると思います。
それはそうなんですが、他人に「合意のない期待をする」のが無駄なだけで、「合意のある期待をする」こと自体は、お互いに協力していくためには必要なことだろうと思うし、「他人に期待しない」で切り捨ててしまうのはあまりにも寂しいなと感じます。

ちなみに、90年代になるまでは、インターネットもなく、情報ソースがテレビや新聞、雑誌などの限られた媒体や、会社の中で上司から言われたことそのものだったりして、情報の多様性がなく、また日本人というある程度のくくりで物事の価値観が近かったことから、それほど合意しなくても、なんとなくこうかな?と思ったことが、大概当たっていた気がします。
しかし、90年代以降は、それぞれの人が、全然違うバックグラウンドから色々な情報を取得するようになり、ネット上で日本人というある程度のくくりも適用されなくなったため、なんとなくこうかな?という感覚が共有できないようになりました。

そこで出てきた悪魔の言葉が「空気を読む」と「常識で考えろ」です。
確かに90年代以前なら読むこともできたでしょう。
しかし、今は無理ゲーです。
なのに、昔のように言わなくてもわかる、を継続したい人たちが「空気を読む」という言葉を開発して、それを押し付けるようになりました。
おまけに、背景が全く変わったにもかかわらず、そしてその常識が形式化してしまっているにもかかわらず、自分の常識を押し付けてしまい、周りが何も言わなくなり、本質が失われてしまう事態も発生します。

ちなみに、最近エッセンシャルマネジメントスクール(本質行動学を学べる世界で初めての学校 Essential Management School)という、本質を学ぶスクールというのを一期生としてつい先日修了したのですが、その際に学んだ「本質の逆は形式」というのが意外としっくり来ています。
話さないこととか、相手を攻撃することとか、相手を肯定しないこととか、いろんな自分の行動が、世の中をどんどん本質から形式にしちゃうんだなぁと実感したところです。

とまぁ、いろいろと書きましたが、ちゃんと遠慮なく話すことで、お互いの期待を明確化して、なんとなくふわっとした期待によってすれ違いを起こさないようにしなきゃなって思います。
あと、やっぱり自分から変わらなきゃいけないなというところです。
実際、自分が経営しているさくらインターネットでも、経営チームの他の役員に、なんでこれをやってくれないんだ?って腹を立てたり、なんでもっと提案してくれないんだ、とかって思っていましたが、すべては自分が悪かったがFA(ファイナルアンサー)でした。
ちなみに、さくらインターネットの行動に対するバリューは
・肯定ファースト(常に肯定ではない)
・リードアンドフォロー(リーダシップも大事だけどフォロワーシップも大事)
・伝わるまで話そう(言ったつもり、分かってるはずはダメ)
という3つを定めています。
まだまだ、自分自身の姿勢を変えないといけませんが、ちゃんと合意するとか、相手を受け入れるとか、自分の言動、態度を変えることから、いろんなことがスタートするなと感じた次第です。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

736

田中邦裕

さくらインターネットの社長ほか、アイモバイル、アイプラグの社外取締役、未踏のPMとか、業界団体の理事とか。元は高専でロボコンやっていたエンジニアですが、学生起業していまは経営者です。東証一部上場した経験を生かして、スタートアップの支援や、起業家のメンターなんかもやっています。

note編集部のおすすめ記事

様々なジャンルでnote編集部がおすすめしている記事をまとめていきます。
14つ のマガジンに含まれています

コメント3件

欧米を引き合いに出すのもあれですが、その点、アメリカ、中国、インドなどは決められた範囲内でしか作業をしない、明確な線引きがありますね。日本の場合、良かれと思って他人の作業を手伝ったり、サビ残したりと、もちろんそれがハマる時は絶大な効果があり、それが古き日本の良いところでもあったのですが、グローバル化、IT化によって機能しなくなった感じはしますね。。。
はじめまして。
人に対して勝手に期待をして勝手に裏切られてた人が近くにいて、まさに、自分自身最近痛感していたことが書かれていて衝撃でした。
ああ、これはよくありますね……。
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。