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#4 危なっかしい計画~始まりの2017年 夏 vol.4

推しメンタオルは魔法の羽衣である。

購入土壇場で今泉佑唯を推しメンと決めたばかりの“にわか”ずーみん推しのクニラではあるが、
今泉の推しメンタオルを首に巻いた瞬間、
なんということでしょー!この誇らしさ!
来場者全員に「俺はずーみん推しです!」と宣言しているような感覚。
完全に今泉推しとなった。
先生!(誰?)これがアイドルファンになると言うことなのですね。

そうなると周りの人の推しメンタオルも気になるのが人情。
やはり平手が多いか。。。
てち、ねる、志田、べりか、べりさ、小林、織田。。。ん?織田?
あのお方は欅坂No.1のバラエティーメン織田奈那の推しメンタオルを堂々と首に巻き、颯爽と歩いているではないか。
「かっこいいー」おもわず独りごちたクニラ。
恥ずかしく尾関の推しメンタオルを買えなかったクニラを嘲笑うかのように、あのお方の首で輝く「織田奈那」の文字。
そうだ。推しを作るということは、周りなど気にしてはいけないのだ。
「勉強になりまっす」

【騙されたとて】
開場までに雨が降ったり止んだりと、山の天気は変わりやすいものだが、入場してからは、すっかり晴れもよう。

入場の際の手荷物検査や身分証明書の提示等、何から何まで初経験。
そんな事までカルチャーショックを受けるクニラを迎え入れたのは、欅共和国2017のテーマロゴが装飾された大ステージ。
圧巻。感動。
この景色は忘れられない。

ようやくここまで来た。
独りで来た富士急。
初めてのアイドルライブ。

席は下手側のステージからかなり後。
これは生観よりビジョンを観る方が多いか。
周りの客層は大人しめで少し安心。

後はライブが始まるのを待つだけだ。

感慨深く、ただ、周りにはナメられないように、少し斜に構えながら、ライブが始まるのを待っていると、いきなり若者に声を掛けられた。
なんじゃ!?親父狩りか!?

若者「すいません」

クニラ「はい?」

若者「席を交換して貰えませんか?」

クニラ「へ?」
大学生位の少しチャラい感じの若者だ。

若者「もちろん、この席より前の席です」

その後、何回もライブに行く内に解ったのだが、二人で別々にチケットが当たったため、別々の席のところを席が後ろになっても良いので隣に座るためのトレード申請らしい。
当然、条件は自分の席の方が前や観やすい席じゃないと交渉は成立しない。

クニラは答えた「OK」と。

本当は嫌だった(笑)
理由は移動するのが面倒くさかったからと周りの客層が大人しく居心地が良かったから。
それでも許諾したのは、断った後に若者の相方が隣に座るわけで、その気まずさが嫌だったからである。
まぁ、勢いもある。
いや、勢いのみかも。

若者「あーざす。席まで案内します」

若者と二人で肩を並べて歩き出す。
勢いで承諾したけど、もしかして詐欺的なことじゃないよね?元席より後ろとか。
そんな不安げな顔を察したのか、クニラの推しメンタオルを見て若者が話し掛けてきた。

若者「あれ?ずーみん推しっすか?」

クニラ「そうね。今日はライブ出ないから残念だけどね」
“にわか"ファンが良く言うわ。

若者「俺もずーみん推しなんすよ」
若者も今泉の推しメンタオルを見せてきた。

奇しくも推しメン被りで席交換とは。
それならば騙されたとて。。。良いわけないわ!
と、心で葛藤しつつ、若者の席に着いた。

席はステージ上手側でクニラの元席よりは前であり、約束どおりのトレードで一安心。
ただ、元席と一つだけ違う事があった。

客層が違う。
ここは筋金入りの「けやヲタ」が集まる初心者禁止のエリアだった。

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