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私がモノクロで撮る理由

日本の風景は色の洪水だ。住宅地の屋根、街中の看板、ぽつんとある自動販売機、みな、周りとの色の調和を考えず、自らの都合でそこにある色の集まりだ。

できるなら洪水を整理して、調和の取れた色の世界にしたい。自分の写真の中でなら、それができる。

でもどうやって?

写真の色は、レンズを通り、フィルムやセンサーでとらえられ、現像プロセスやデジタルフィルター処理をくぐり抜けてきた光によるもの。そもそも何が本当の色なのか全くわからない。おまけに画像処理ソフトを使えば、さらにいくらでも色は変えられる。可能性がありすぎて、きりがない。

それなら、最初からモノクロで撮ればいい。そうすれば、色は白と黒、それにこの2色をブレンドしたグレーに必ず整理される。画像処理も、露出、コントラスト、白と黒のトーンの調整、このくらいに限られる。可能性はやっぱり死ぬほどあるけれど、なに、カラーの可能性の数ほどじゃない。

白と黒のブレンドで色を表現しようとしているのだ…と思っている。

…とはいえ、色を色として表現して整理することもあきらめたわけじゃない。あのデジタルカメラなら、あのフィルムなら、できるかもしれない。そんなふうに期待している機材はある。すぐには手の出ないものもあるけれど、いつか試してみたい。そう思いつつ、日々写真を撮っている。

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