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成長するSaaSの共通点 - 20社のSaaSに投資支援して学んだこと

前田ヒロ氏が語る、SaaStrでの気づきと成長するSaaSの共通点というイベントに参加してきました。ヒロさんからお聞きした成長SaaSの共通点10個をメモでまとめておきます。
ヒロさん、ならびに主催いただいたLIFE PEPPERさんPOLさん、貴重な機会をありがとうございました。

1.まずカスタマーサクセス

解約率を抑えるのが大切。SaaSの最初のステップは、カスタマーサクセス。後回しにすると痛い目にあう。たとえば解約率10%だとして、起業当初は大丈夫だがスケールしてくると損失が大きくなり、経営が難しくなる。スケールさせつつ、解約率を抑えていく。

2.採用計画を達成しないと、売上計画は達成できない

目安としては、年間売上1億増えるたびにCSを2人増やす。だから、年間売上5億円アップめざすならCSを10人採用する。営業も同じ目安。予算が5億なら営業を10人採用する。
売上未達の会社は採用が上手くいってない会社。採用後も大切で、入社後2-3ヶ月でフル稼働できるように環境を整えておく。

3.ポジショニング超大事

顧客に「自社にあうなー」と感じさせる。ハイエンドなのかローエンドなのか。どこに特化しているのか。
比較・検討の余地がない状況をつくることが大切。手順は、まずはプロダクトの磨き込み。そして実績を積み、次にプロモーション(ブランディング)。そして狙ったポジションを独占する。例えば「人事労務ならSmartHR」と言われるように。リード段階で「自社に合いそうだな」と気づかせる。
フェーズによるポジションの変化は2パターンある。「a.SMBで実績をつくってエンプラにいく」もしくは「b.最初にエンプラを狙って落とし、SMBに拡販」。シリアルアントレプレナーはエンプラの重要性がわかっているのでbを選ぶ。比率でいうと7割がbではないか。
なのでbが正しいと言われることが多いが、aでもうまくいく。aの例は、SmartHR、Hubspot、shopify。

4.価格を最適化し続ける

価格の最適化はずっと続いていく。変わらないことはない。いきなりうまくはいかないので調整していく。
価格によって見え方が変わる。顧客からどう見られたいか?を考える。競合より高く・競合よりちょっと安く、ってのはナンセンス。
プロダクトが進化して価値が上がっているなら価格を上げる。サクセスの工数が上がるなら単価を上げる。起業家は自分のプロダクトを過小評価しがち。お客様はもっと評価してるかもしれないので、適正な価格を探っていく。
値上げのタイミングを見極めるコツは、「高いから買わない」がなければ値上げする。「高いけどいいサービスだから買っちゃう」がいい塩梅。
また、顧客の成功が料金アップにつながる料金体系がよい。TwillioはAPI接続数による従量課金。つまり接続数が増える=導入企業が成長している。アカウント課金の場合は、導入企業が成功する→規模拡大して社員が増える→料金があがる。

5.売上継続率100%以上じゃないと、ユニコーン(時価総額千億)になれない

US上場SaaSの売上継続率は平均120%。つまり、営業を止めても成長するということ。 今年1億円獲得したら来年は1.2億の売上が見込める。

6.プレイブックなしではスケールできない

社員数の目安は、ARR10-20億で100人、ARR100億なら300人。
人数がどんどん増えていくので、すべての部隊のマニュアルをつくる。カスタマーサクセスなら、「成功の定義」「どういう顧客に何をすればいいか?」
ARR10億超えたタイミングで必要になるので、それより早い段階で用意しておく。ARR3億のタイミングでオペレーション専任を雇って、ダッシュボード、マニュアルをつくる。マニュアルは自社にあったものをつくるしかない。他社を真似できるのは一部のみ。
(自分のメモ:Sales enablement、CS Opsが必要になる、ってことかな?)

7.セールス、CS、マーケ、仲良くする

各部署で得た情報を共有する。
営業:なぜ買うのか?、競合情報、どんな要望があるか。
CS:既存のお客様がどうなればハッピーになるか?
マーケ:顧客に対して、マーケと営業が違うことを言ってはダメ。
開発:フィードバックをうけずに、勝手な仮説でプロダクトをつくるのはダメ。
会議体も整える。

8.Salesforce使い倒せ

Salesforceが必要な理由は、あとから分析できるようにするため。だから早い段階で導入する。
売上が伸びない、解約が多い、といったような壁が出てくる。その時に原因が突き止められないとマズい。
営業効率あげたい、ってときにボトルネックを分析できないのも問題。リード獲得率なのか、CVRなのか、、
とりあえず導入して7割しか記入してない、ってのはだめ。100%記入すること。
高いと感じるならhubspotでもいいから入れる。

9.SaaSは人めっちゃいる

例えば、Boxは売上700億の時点で1600人、Sendgridは売上100億の時に300人いた。
SaaS経営者はたくさんの人を雇用する覚悟を持つ。「少数精鋭」はNG!
コミュニケーション、目標設定、などがきちんとしてないと100人以上の会社は経営できない。100人以下の時点で組織が壊れたら作り直す。経営者は経営に興味をもつこと!

10.SaaSは美しい。なんとかなる。

SaaSは正しくやれば、正しく成長できる。矛盾が少ないビジネスモデルだから。
それに、急に売上は0にならないので、挽回できる。

以上です。


コメント:一番印象に残ったのは、『3.ポジショニング超大事』の中の「フェーズによるポジショニングの変化」の話。初期にエンプラをターゲットにするのが王道と言わますが、SMBから攻めても急成長できることに気づきました。
SaaSの戦略の中には、『3.ポジショニング超大事』のようにプロダクト毎に異なるものと、『1.まずはカスタマーサクセス』『4.価格を最適化し続ける』のようにどのプロダクトにも当てはまるものがあります。そこを間違えずに正しくやれば正しく成長できるんだな(=『10.SaaSは美しい。なんとかなる。』)と感じました。


ヒロさんからお知らせ:今年のSaaS Conference Tokyoは11/7(木)!予定をあけておいてください!とのことでした。

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