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小耳に挟んだ、母のコト。

私の家は4人家族。私には、2つ下の弟がいる。

彼の患いも酷く、勤め先を2回は変わっただろうか。今は療養中の身で、主に父母の手伝いをしている。

口にするのも切ないが、ココロも体も、部屋も荒れている。彼の部屋からよく聴こえてくる独り言は、何を告げたいのだろうか。

そんな彼のことを誰より心配しているのは、母だろう。

私はよく、弟の話を母から聞いている。ただの愚痴にも聞こえてしまう話かもしれないが、

私には、他からは到底知りえない、二人の心の綾が見えるように思える。


先日も、弟は出先(この二人はよく一緒に出掛けている)で、とある『やらかし』をしでかし、困り顔で母が私にその話をしてくれた。

と、その話の途中、ふっと母が呼吸を変えて一言、

『あのねえ、私、あの子にゼッタイ先に(母より)死んじゃだめだよ~って言ってるの』

と、呟いた。目元が赤くなっている気がした。

私はかけるべき言葉も見つからず、黙って話を聴いていたが、

不思議ちゃんがそのまま年を取ったような私の母が、急に色んな物を見てきたお婆さんの顔を、見せた気がした。


ややあってこの話をここに書くとき、さっきの話は…と、母にもう一度聞いてみようとしたら、

『忘れた』

と笑っていた。


今年は、ぶしつけなプリザーブドフラワーをただ送りつけたりしない母の日にしたい。

何しようかな。また似顔絵でも描くかな。


写真は母が大事にしているシクラメン。風薫る五月にシクラメンが咲いていることに面食らうのだけど、ホントについさっき撮ったものです(笑)


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