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くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第127回 「『当事者』って誰だ!?ろうあ連盟の運動から考える発達障害者の『当事者運動』のありかた!」ってお話

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。ところでくらげさん、聞いてくださいよ。以前、この対談で「IBMのWATSONから音声入力が出たらいいのに」と言っていましたが、もう登場しましたよ!

[く] AIの話で「WATSONが発達すれば発達障害者の支援になる」と言っていましたもんね。使い方としてはこのサイトにアクセスして「Record Audio」を押して普通にしゃべったり音声ファイルをアップすると自動的に音声認識される、という仕組みですね。

[寺] ブラウザでアクセスして音声入力するサイトはこれまでもありましたが、ただの音声分析のみではなく、AIに音声パターンが蓄積されます。使えば使うほど使いやすくなるんですね!日本語にも既に対応しています!

[く] さらりと日本語対応ってのがすごいですよね。音声入力系のサービスだと日本では海外に比べて数ヶ月はサービスローンチが遅いイメージですが(笑)

[寺] WATSON自体は以前から日本語対応です。ただ、汎用的に使えるのが新しいのですよ!あ、あと日本語には対応していないのですが、メールなどの文章から言外の感情を分析してくれる「感情分析」にも応用されていて、すでに実用レベルにきてます!相手が怒っているのか、ただ乱暴な言葉を使う人なのかが分からない系発達障害のうちの夫などは「これと、音声入力ソフトをを組み合わせたら…!!」と驚いていました。これからが期待できますね。

[く] ボクはまず滑舌がよくなる練習をしないとですね(苦笑)さて、今回のお題は「当事者運動」ってなんだ?というところで一つ。

[寺] 「当事者運動」ですか。お題の意味がよくわからないというか、くらげさんが何を問題視しているのかわからないです。少し解説をお願いいたします。

[く] 最近、あちこちで「当事者」という言葉を聞くようになりましたし、実際にボクも「当事者」という言葉は結構使うんですけど、いわゆる発達障害者の文脈で使う「当事者」というのと、聴覚障害者としての自分の文脈として使う「当事者」って違う気がするんですよね。

[寺] 当事者という言葉は「障害者」よりも広い文脈で使われますね。そこに違和感があるんでしょうか?

[く] もちろん、「当事者」という言葉を使うな、とかでは全くないんですが、当事者って誰だ、みたいな議論をすっ飛ばして「なんとなくわかっているもの」として使われている問題はあるかな、と思うんですね。まぁ、ボクの場合はベースが聴覚障害者で「当事者」という言葉はあんまり馴染みがなくて。

[寺] なるほど、「当事者」という言葉は発達障害周りで急に使われるようになった言葉だと思うんですよ。発達障害が子どもだけの障害と考えられていたこと、重篤な自閉症の子どもがコミュニケーションをほとんど取れないことなどから、当初は困りごとを感じている親や支援者が主体になって勉強会や啓蒙活動をしていたんですね。

[く] 確かに以前は「当事者」という言葉自体あまり聞きませんでしたね。「障害者本人」とか?

[寺] そうですね。今でも発達障害については「親の会」の方が「当事者会」よりはるかに多いんですよ。成人年齢が近付いても症状が無くならないという人が、自分の事情を文筆などの形で発表するようになり、医学的にも大人になって障害そのものが無くなることはないと分かったことで、改めて障害のある本人にスポットが当たったという経緯なんですね。それでそれまでの「親の会」「保護者会」のようなものと区別するために「当事者会」「当事者運動」が生まれたように思います。くらげさんのようにずっと「障害者」という括りで生きてきた人にとっては、いきなり「当事者」という言葉が飛んできて面食らったかもしれませんね。

[く] それはあるかもしれません。あと、もうひとつ気になるのは「当事者運動」ってものが、これは聴覚障害界隈と発達障害者としての文脈で全く違う気がするんですよ。

[寺] ほうほう(梟)聴覚障害のある人はどのような文脈なんですか?

[く] 聴覚障害…というか、ろう者の間で当事者運動、というと「ろうあ連盟」が一番わかりやすいんですが・・・。知らないですよね(笑)

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妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。