くらげの毒抜き日記 Vol.7 「気楽な投資イベントに参加して考えたビジネス感覚の大切さとその限界」というお話

起業を目論んでいる。今度こそは割と本気である。ほんの二週間前まで私にとって起業は「したいしたい」といいながらあまり計画が進んでいないものの一つであった。(現段階でも進んでいるとは言い難いが)このわずかな期間で精神的に起業するという前向きな気持ちが整ったのはエンジェル投資家から数十万投資されたからだ。

他人から期待されて金を渡されるというのは大変励みになることであるしまずは小金稼ぎのレベルから・・・と考えている身にとっては大金である。こんな悠長なことでもいいといってくれた投資家には感謝しかない。

ところで、この投資家(2名)と出会ったのは「エデン」というバーで行われた「第2回 投資家と起業家のマッチングバー」というイベントだ。

「バー エデン」は「えらいてんちょう」なるえらい方が運営するバーであり日本でも屈指の魔境だと思うので興味がある方は一度いってみるとよい。そもそもバーテンが日替わりというわけのわからないシステムであるので事前に興味のありそうなイベントを確認することをおすすめするが。

で、私はこの魔窟でどういう経緯かは忘れたが2回ほどイベントをしており、エデンのイベント情報などはちょこちょこ追っている。そういう経緯で「投資家と起業家のマッチングバー」を知ったのだが第1回は都合が合わなかったため参加しなかった。しかし、その後の報告をみると腰を抜かした。

具体的にはyoutubeに編集したものが掲載されている(前編)(後編)ので見てほしいが企画書もなにもあったものでもない話に数千~数万円が飛び交っていた。聞くところによると数百万円が数時間で動いたそうだ。

そんなイベントの第2回目が開催されると知った私は「あわよくば起業資金を。せめて誰かに顔を売ってコネクションを」という目論見で当日エデンに向かった。ちなみに持って行ったものは名刺と事業計画書のようなもの、著書やこれまで書いたもののポートレートである。流石に空気的に普段着だったが。

それでまぁエデンについたころにはすでに店内は満員で異様な雰囲気に包まれていた。投資家と起業家併せて25人ほどが狭い店内にひしめいており暑いのと圧迫感が苦手な私はかなりきつかったのである。しかも先着順のプレゼンであるからかなり待つ。妻の体調もあまりよくなかったのでこれは困った。

仕方がないので何人かに名刺や企画書を渡して帰るか、とプレゼンの合間に投資家一人一人に声をかけると「その本読んでますよ」と一人の投資家から声をかけられた。なんでも最近自分が発達障害ではないかと疑い初めて勉強のために自著を読んでくれたらしい。お礼をいいながら名刺と企画書をお渡しした。

では帰るか、というタイミングでこのイベントの企画者であるえらいてんちょうがどういうわけか中座するというので「えらてん抜きでもプレゼンしたい人はいるか?」という質問があった。時間もないので天啓と手を上げたところスムーズにプレゼンに移ることができた。

プレゼンに使える時間は質疑応答を含め8分だ。超短期決戦である。私は企画書と名刺を渡せるだけ渡し、要点をかいつまんで説明した。特に気をつけたのは「インパクトのあるところ」をがんがん押すことだ。今回の内容はまだ細かく明かしたくないのだが「社会的意義があること」を強く訴えた。

4分くらいでプレゼンを進めたところ、先ほど本を読んでいただいた投資家から「じゃ、いくらほしいのですか」と聞かれて「企画書に書いている開業資金と運転資金併せて45万円」といったら全額払うということで腰を抜かした。

結局、別な投資家も支援したいとのことで20万と25万ずつ出す、ということで話がまとまった。詳細は後日詰める、ということなので現在はいろいろ相談&事業計画の現実的なところの練り直しなどを進めている。高揚感が抜けて現実的に動くフェーズになったのである。

もし投資を受けられたことそのものを「成功」といえるなら、今回のイベントで私は成功であった。しかし、私の前のプレゼンをみたり後ほどのほかの参加者から話を聞くとほとんど出資されなかったり投資者からの質問が厳しく大変だった起業者が多かったようだ。(プレゼンが終わったら帰った)

そこで、そんな「失敗した起業家」のためにざっとみて考えたことを述べたいと思う。第3回マッチングバー参加者におそらく役に立つだろうし、もしこれでが役に立ったらnoteでサポートをしていただきたい。とはいえたいしたことは書かないのであるが。

まずいいたいのは「前回の参加者と同じレベルで考えるな」ということである。第2回では第1回の話を聞いて「自分でもお金をもらえる」という軽い気持ちで参加した方もいると思われるのだが、そういうわけのわからなさは1回目というカオスな状態であるからこそな面が大きい。

従って、1回目の投資家の同じレベルの判断は期待できず、ハードルは高くなる。第3回、第4回と回数を増すにつれてさらに投資家の見る目も厳しくなるし冷静にみられることが多くなるだろう。「前回の話を聞いて自分でも・・・」というのはだいたい成り立たないのである。

次は「ビジネス書をたくさん読め」ということだ。しょぼかろうがなんだろうが投資イベントは投資イベントだしプレゼンはプレゼンだ。基本的なビジネス計画の作り方やプレゼン方法を学んでおいて損はない、というか本気で金を取りにいくなら押さえておいた方がいい。

このイベントにくる投資者は確かにアウトローが多い。しかし、ビジネスや投資で金を儲けた人たちであり基本的な経済や経営の知識は人並み以上にある。そういう意味では「常識的」でビジネスの言葉のプロなので「ビジネスの文法」で説得しにいくのが一番コスパがよいはずなのである。

最後に大切なのは「学ぶ姿勢」だ。特にこれまで投資をもらえなかったという人は注意してほしいのだが、一回目は「仕方ねぇやつだ」と思われるだけかもしれないが続けてあまりにひどい内容だと「学ぶ力がないやつだ」と判断される。こうなるとなんどやっても無駄になりかねない。

また、本気で起業したいならこんな「場末」の投資イベントでなくスタートアップコンテストに参加してもいいし、起業したいあとに各所で説明を求められたりプレゼンをする機会もあるだろう。起業の方法についてもアドバイスしてくれた投資家も多かった。これほど親切なイベントもそうない。それを生かさないのは損である。

というつまらないことを述べてきたが、これは私がいうほど破天荒ではなく常識人だからだ。しかし、こういうよくわからないイベントにはよくわからない勢いや流れがあり、私が書いたような一般論なぞ吹き飛ばして金を得る人がいてもおかしくはないしそちらの方が盛り上がるだろう。

なので、勢いに任せてとにかく本気で金をがほしいと一本槍でいくのも大事だしおもしろい。でも、私はあのなかでもかなり年上の方であった34歳だしそこまで叫ぶ元気もなくなってくるお年頃だ。私はこういう方法しかとれなかった、といってもよいだろう。まぁ、みんながんばれ、というくらいである。

ちなみにすごく偉そうに書いている私だが後ほどいろいろな方に話を伺うと非常にアレかつ稚拙であって死にたいレベルの恥かしくなった。たまたま本を読んでいただいた方がいなければ私もまた「失敗した方」出会ったには間違いない。偉そうなことをいう資格などはないのであるが。

まぁ、気軽に参加できる投資イベントなんてそうないので、軽い気持ちで参加してボコ殴りにされるくらいが一番楽しいかもしれない。皆さんも興味があるなら是非参加してほしいし、私もいつか投資家サイドで参加できるようにがんばりたい。では、今回はこれくらいで。

妻のあおががてんかん再発とか体調の悪化とかで仕事をやめることになりました。障害者の自分で妻一人養うことはかなり厳しいのでコンテンツがオモシロかったらサポートしていただけると全裸で土下座マシンになります。