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鮭、鮮魚、日本茶、そしてウィスキー!?食文化豊かな村上市の紹介

どうもこんにちは!
技術と街歩きが好きな工業系大学生の「てくてく」です。
僕は取材で村上市の「酒のかどや」を訪れたのですが、その前後にいろんなところを訪れました。ちなみに、僕の祖母が村上出身で、お盆には母方のお墓参りに行くので、とても馴染みのある場所です。
今回は訪れた場所を中心に、村上市について紹介したいと思います!

はじめに 村上ってどんなところ?

 新潟出身の人には説明不要だと思いますが、県外出身であまり馴染みの無い人に向けて、簡単に概要を紹介したいと思います。
 村上市は新潟県最北に位置し、面積が県で最大の市です。市の中心部はかつて村上藩の城下町であったため、武家や商人の文化が街並みに残っています。村上市の有名なものとして、鮭や村上牛、日本茶といった食にまつわるものや、瀬波温泉や笹川流れなどの観光地があります。

村上といえば塩引き鮭!新巻鮭との違いは?

 まずはじめに紹介するのは、日本人がもっとも食べているといっても過言ではない、鮭です。村上市内を流れる三面川では秋になると鮭が遡上してきます。そのため、村上では古くから鮭を様々な調理法で食べてきました。その中でも、「塩引き鮭」は村上ならではの食べ方です。塩引き鮭は、塩漬けの一種です。鮭の塩漬けといえば、北海道や東北の「新巻鮭」を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、塩引き鮭と新巻鮭の違いは乾燥の有無です。新巻鮭は内臓を取ったあと、塩に漬け込んで完成ですが、塩引き鮭は塩をすり込んで1週間ほどおいたあとに、流水で余分な塩を落とし、そして軒先などで数週間乾燥させます。秋に採れた鮭は冬の冷たい風に晒されることで熟成され、生鮭とは異なる美味しさになります。塩引き鮭は年末を迎える時期に出来上がるため、年末の贈答用としても多く出回ります。僕は正月に祖母が作ってくれる鮭が入ったお雑煮が大好きで、正月の楽しみの一つでもあります。

真空パックにすれば通年楽しめます

味の芸術品「鮭の酒びたし」そして、干される鮭の数に圧倒された「千年鮭 きっかわ」

 次に紹介する食べ方、酒びたし(さかびたし)は味の芸術品とも言われています。酒びたしは塩引き鮭からさらに半年間も干し続け、さらに熟成させたものになります。こちらは、ジャーキーのように薄切りにされ、食べる前に酒に浸し柔らかくさせます。酒に浸すのが料理名の由来になっています。
 今回、取材先に向かう途中に、鮭の加工販売を行う「千年鮭 きっかわ」を訪れました。きっかわでは店舗奥で行われている加工の風景を見学することができ、一緒に取材に行った編集室メンバーの「うめごん」と見学をさせてもらいました。

作り方について説明して頂きました。

きっかわでは酒びたしの完成が秋とのことだったので、土間の上には吊るされた鮭が数多く並んでいました。

圧巻の光景 そして、美味しそうな絶景

僕はここまでの数の鮭を見たことは無かったので圧倒されましたが、東京出身のうめごんはつるされている鮭を人生で初めて見たようでとても驚いていました。

初めての光景に興味津々のうめごん

見学後はお買い物をしました。名店きっかわの商品はどれも大学生には手の届かない価格で、なにも買えない…と思っていましたが、僕にも買える物を見つけました。

一口サイズの鮭の焼漬は切り落としを詰めたもののようで、量によって値段が異なりますが、隣に置いてあった正規サイズのものと比べると圧倒的にお買い得な価格でした。
鮭の旨味と染み込んだ醤油の深みが口の中に広がり、とても美味しかったです。
これでご飯もお酒も何杯もいったくらい美味しかったのですが、酒びたしも買っておけばよかったと後悔したのは言うまでもありません(笑)。
 ちなみに、去年のくらはたの取材記事によると、取材をした髙橋さんがきっかわで働いていたそうです。ぜひ、髙橋さんを取材した記事もご覧ください!

武士の文化は鮭の加工の仕方にも?

 この記事を書くにあたって、改めて鮭について調べて分かったことがあるのでいくつか紹介します。
まずは、鮭の干し方について。干されている鮭をよく見てみると、腹の切れ込みが途中で止まっていて、2箇所に分かれています。そして、吊るし方もよくある頭を上にしたものではなく、尾びれに縄が掛かっています。今までなにも気にすることが無かったのですが、このような特徴を持っているのは、それぞれ理由があるそうです。腹の切れ込みが途中で止まっているのは、切腹を連想させるため忌み嫌われているからであり、尾びれから吊るされているのは、天からの授かりものである鮭の首を吊るのは忍びないと考えたからであるそうです。武士のこだわりが現れるのは城下町ならではだと感じました。
 また、村上市には鮭についての博物館「イヨボヤ会館」もあり、鮭についての展示を行っているそうです。今回の取材では時間の都合で訪れられなかったので、今度、自分で行ってみたいと思います。

村上は鮭以外にも海の幸が豊富!「岩船港鮮魚センター」

 村上市中心部から車で10分ほどの場所に、岩船港で水揚げされた魚を始めとして多くの海鮮を取り扱う「岩船港鮮魚センター」があります。

入り口前にも屋台が並んでおり、入る前からワクワクしますね

この施設は岩船港の仲買人が集まった直売所ということもあり、普段スーパーでは見かけないような魚も多く並べられていました.

初めてみるような魚がいっぱい

岩船港鮮魚センターは瀬波温泉からすぐの場所にあるので、温泉の帰りや、宿泊の際に訪れてみてはいかがでしょうか?

村上は北限の茶処!栽培から販売まで一貫して行う、安心の村上茶

 村上はお茶も有名であることはご存知でしたか?お茶の産地と聞くと、静岡や鹿児島、京都などを思い浮かべる人が多いと思います。今でこそ、温暖な地域で茶の生産が盛んですが、昭和のはじめ頃までは新潟や東北でもお茶の生産が盛んでした。しかしながら、チャノキはもともと温暖な地域の植物なので、商業的な規模で生産を行える地域には限りがあります。村上市は、日本海側で商業的生産を行う最北の地であるため、北限の茶処と呼ばれています。(ちなみに、太平洋側の北限は岩手県陸前高田市と言われています。)
 村上茶の特徴は茶業者がそれぞれ茶の栽培から製茶、そして販売までを一貫して行っていることです。このため、お店毎にこだわりが詰まっています。今回は、村上を代表するお茶屋の一つ、「冨士美園」を訪れました。

冨士美園には様々なお茶が並んでいますが、おすすめはなんといっても「雪国紅茶」です。日本の紅茶に馴染みのない人もいるかもしれませんが、明治時代には紅茶を海外に輸出していたのです。その後、明治の終わり頃には輸出が途絶え、紅茶の生産も途絶えてしまったのですが、冨士美園では2004年に「雪国紅茶」として復活させました。また、パッケージは当時のラベルをリメイクしたものを用いて、明治の雰囲気を現代に伝えています。

おしゃれなパッケージ

雪国紅茶は海外の紅茶と茶葉の品種が異なり、まろやかな味が特徴です。アッサムやダージリンなどの海外の紅茶が苦手な方にもおすすめです。

お茶好きの僕のもう一つのおすすめは、「パウダー茶」です。これは、煎茶を抹茶並みの細かさまで挽いて粉末状にしたお茶です。急須が必要なく手軽に飲めるのが特徴とされていますが、僕が好きなポイントは、抹茶とは異なった味わいを楽しめることです。抹茶との大きな違いは、「かぶせ」の有無です。抹茶の元となる茶葉は収穫前にかぶせを行いますが、煎茶になる茶葉はかぶせをしないため、抹茶と比べてコクがあります。パウダー茶は煎茶のコクが味わえるため、抹茶の時と異なるお菓子と組み合わせて楽しむことができます。お茶に慣れていない人も、お茶好きも、冨士美園のパウダー茶をぜひお試しください!
(余談)このパウダー茶、昔は「挽茶」という名前で売っていました。挽茶と抹茶を同一のものとして扱っている業者も多いため、抹茶と挽茶の味の違いがどこから来るのか理解するのに当時苦労しました(笑)

ソフトクリームを幸せに食べるうめごんと、編集室アドバイザーの西田さん

取材に行った日は8月の終盤でしたが、村上でさえ猛暑日という過酷な日でした。そのため、編集に行った三人でアイスを食べることにしました。僕は雪国紅茶のジェラートを、うめごんと西田さんは抹茶のソフトクリームを選びました。雪国紅茶のジェラートはほどよい甘さのため、紅茶の香りが豊かに感じられました。お茶屋さんのアイスはお茶味のスイーツが苦手な人にも楽しめる美味しさなので、ぜひお試しください!

電気機器メーカーが手掛けるウイスキー!?吉田電材蒸留所

 国道7号線を走っていると平林駅の近くで異質な真っ黒の建物が見えてきます。外壁に書いてあるのは「吉田電材蒸溜所」の文字。電材と蒸溜所、どう繋がっているのでしょうか?ここはコイルや変圧器などの電気機器や医療機器を製造する「吉田電材工業」が手掛けるウイスキーの蒸留所なのです。蒸留所のHPによると、ここではクラフト蒸溜所に供給する原酒の製造を行っているそうです。
 取材時は出荷開始前の時期で、アポ無しの訪問であったためお話を伺うことはできませんでしたが、外観の掲載は許可をいただいたので、ご紹介したいと思います。

ロゴがウイスキーの樽と巻線がモチーフになっている感じがします

出荷開始がこの秋で、イベント等で少数の小売も行うみたいなので、お酒好きな方はぜひ情報をチェックしてみてください!

おわりに

 村上市はとても広いので、今回訪れた場所はごく一部にしか過ぎませんが、他にも良いところがたくさんあります!また、今回は車で移動して巡って行きましたが、うめごんは「電車で訪れる旅行もやってみたい」と話していました。
みなさんもぜひ、豊かな自然や歴史、素晴らしい食がある村上市を訪れてみてください!そして、帰りには僕が取材に訪れた「酒のかどや」で美味しいお酒(二十歳未満の方は美味しいノンアルコール)を買うのもお忘れなく!
酒のかどや 岩田さんへの取材記事はこちら

参考文献

  • 「新巻鮭」と「塩引き鮭」って何が違うの? イヨボヤ会館

https://www.iyoboya.jp/aramakizaketoshiobikizake/

  • 鮭の酒びたしとは イヨボヤ会館

https://www.iyoboya.jp/sakabitashi/

  • 北限の村上茶 村上市観光協会

https://www.sake3.com/murakamicha/

  • 吉田電材蒸溜所HP

https://yoshidadenzai-distillery.com/