ムッシュとムラムラ

ある大学の民俗学、郷土史の分野には因習に関わる専門家が集まっていた。

それぞれ

・奇祭の鬼才

・土着神への執着心

・カルトを狩る者

・贄に選ばれ体質

・廃村メイソン

・呪物とズブズブ

・祀り担当に祭り上げられた人


彼らは各々の担当を分野を担当し、時には同じ事象に対して協力する事で数々の事案を解決してきた。

そんな専門家集団でもどうにも手を出せない事案が時々舞い込む。因習が消えてしまうタイプの事案である。

物は壊れ、或いは盗まれ無くす事もあるだろう。過疎化や近代化で祭事や習慣も廃れて行く事は自然の流れだ。

だが、ある日から突然村中の人間が示し合わせたように改宗したり、話し合いもな無いまま行事が無くなり誰も不審に思わない等といった異常はあまりにも不自然だ。

7人の専門家にも因習が「無い」のでは文字通り手が出せない。

彼等が投げ出した事件を調査する、その為だけの8人目の専門家が居た。

無宗の村々を追う、人々から「ムッシュ」と呼ばれる人物。
これはそんな彼とゼミ生による、ムッシュとムラムラな話だ。


無宗の村々

ムッシュと呼ばれる人物の研究室には、いつものゼミのメンバーが揃っている。

「私のファンになってくれる人はいるかなぁ♡」
カラーの効いたお気に入りのアホ毛をピョンピョン揺らしながら、一人は作り物の笑みを浮かべる。
「自分の出番すか?」
ベリショの彼女はそう呟きながら刈り上げた後頭部をさする。
「ウボぇ…」
長身の彼女は、身を縮めながら二日酔いで苦しんでいる。
「大丈夫?お餅飲む?」
負けずに大きな女性は、善意100%で提案する。
「お水…どうぞ。」
黒衣の少女の袖からペットボトルが差し出される。
「「私達の出番はまだ先かな?」」
美しい双子は互いに見つめ合いながら囁きあう。
「…」
ケースに入った日本人とその前のガラケー。当然人形は何も喋らない。

各分野の7人の専門家から送られてきた7人の少女。
今回は誰と、どんな無宗に赴くのか。


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