何年か前に美少女版画展に行った時の話

note復活がてら軽ーく昔の話を記録しておきたいと思う。

福岡に住んでいる頃、よく遊んでいたオタクの友人Aに「版画展に行かない?」と誘われた。

当時は版画に対する知識が無く、小学校の授業で木の板を削って茶色いバレンと言われる道具で擦っで描いた経験しか無かった。
よくバレンとか覚えていたなと思いながら、急に美術館とか誘ってきそう感じがないオタク友達が版画を見に行くってもんだから頭にハテナを浮かび上がらせながら着いて行った。



(画像は拾ってきました。当時のものとは違います。)

なるほどね!

別に美術品とかじゃないのね!版画見に行くとか言いつつオタクショップ入っていったから訳が分からんかったが。てかオタクショップの奥がこうなってるのも訳分からんけどな。

オタクショップの奥の部屋

そんなこんなで友人Aに連れていかれ、美術品みたいに女の子の絵が飾られている部屋に入れてもらった。しかし一番に目に止まったのは値札である。
美少女版画の相場を皆さんはご存知だろうか。ほとんどの人が知らないであろう。そもそもほとんどの人にとって美少女版画なんて言葉が得体の知れないものだ。

バケモンだ!(ささぼー)

誰だ美術品じゃないとか言った奴は!こんなん立派な美術品じゃねーか!
中古で安く物が流通するメルカリでこれである。新品はサイズによるが、40万円を超えるものがほとんどだった。

可愛い絵が描いてあって下の値札を見たら¥と整数の後ろにゼロが5つちょこんと整列している。1桁多くない?と驚愕した自分は周りをすぐさま見渡した。

人が対面で座っている。

否、客が人が書類を書いている。

声が聞こえた。

その客はローンを組んでいた。

瞬間。周りの絵に恐怖が芽生えた。
人によって価値観は違う。当たり前だ。しかしそこに座っているスーツの男は美少女版画を買うために今借金をしようとしている。
自分は目の前の光景に引いていた。すると店員が友人Aに案内するため、スタンドに版画を用意しているではないか。

こういうやつ

壁に掛けている版画をひょいとスタンドに立てかけると目の前でじっくり見ることが出来た。インクの上から紙の質感が感じられる。しっかりと色ごとに何層も重ねられていることが分かるインクは、ほんのりと、だがしっかりと光っていた。

なつめえり BLUE HALLOWEEN

初めて見る美少女版画に魅入られ、自然と口が開いた。

「・・・・・・ケツが・・・ひかってる・・・」

横で友人Aは笑っていた。もう何年か前のことなのでしっかりと覚えていないが、真顔で言っていただろう。ウン十万の絵を見た感想がこれである。

だってケツが光っていたんだもん。周りの寝具の青色の美しさとケツの光り方は今でも覚えている。

ケツが光ってからはウン十万する美少女版画に対する態度は恐怖から変わっていた。将来金があったら買ってもいいなと思えるものになった。何事にも経験が必要ということだろう。

数日後、友人Aの家には彼の好きな絵師の版画があった。

[完]

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