今ここから未来の人へ。 【コーネリアス Mellow Waves Tour 2018 ライヴレポート】 (文:こたにな々)

※全座席には椅子の背もたれに型を合わせたフライヤーがかかっていた※

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------------------------------2018.10.08 東京国際フォーラム ホールA

昨年に引き続きまたスクリーンに映る光の輪をジッと、粒子を見つめられる事に喜びを感じ、会場SEはミニマルなエレクトロダンスミュージックが鳴っていた(Cavern Of Anti-Matter『Void Beat』)。今日は波の音はしないのかなと思っていると、どこからともなく知っているあの波の音がした。スクリーンの粒子がどんどん瞬いては散っていく。開演と共に波がどんどん近づいてくる。スクリーンの向こうで2、3発、率先して力強くドラムを打つあらきさんの音が聴こえ鳥肌が立つ。

コーネリアスグループが音を出し始め、波と共に心が揺れる。

※終戦後、様子より※

幕が落ちて『いつか/どこか』が始まった時、

そこは銀河だった。

ライヴハウスツアーよりさらに進化したと感じる照明の使い方が素晴らしかった。前回と同様にステージ上にはグループ自前のスタンド型の正方形ボーダーライトと共に、今回はスタンド型の丸い小さなライトが何本も立てられていて、それが光った時、星々のようだった。映像と音のリンクが目に見えてより強力になりシアターのような物語性を強めていた。

開演直前にアナウンスがあったように、会場は今回の為に特別に非常用のライトも消され、私達はステージの世界だけを見つめる事に集中する。
グループが持ち込んだ照明は自分達を照らすものではなく、全て観客に向かった光で、星々のようかと思えば、目を焼き切る光線のようでもあったけれど、それでも私達はステージの世界だけを見つめる事に集中した。

瞬きさえも惜しいようなステージが広がっていた。

※『AUDIO ARCHITECTURE』展での大西景太さん作品より

3曲目は先にやっている展覧会の為に作られた『Audio Architecture』。 もう展覧会会場では何度となく聴いたはずで、9組の作家の内の一人である大西景太さんの映像作品がツアーのバージョンで使用されている今回。建築物は存在しないはずの2Dのステージで、4人だけで出した音の先に立体が現れ、見えたような気がして言葉にならなかった。 

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5曲目『Drop』が終わった後、
急にスクリーンにCMが流れ出して、普段YouTubeを見てる時、間にCMが挟まったようなあの感覚になってヒヤッとした。何も知らなかった私は堀江さんがギターを鳴らすまで本気で機材トラブルで流れたのかと思っており...演出だと気付いた時にはメンバーは冷静に各々の楽器に向き合っていて、『Another View Point』の重いインストサウンドは狂ったようにバグったように、切り取られた芸人のコメントやCMでのキャッチフレーズやオリンピックや天皇陛下やワイドショーや天気予報のサンプリング映像を音に合わせてバシバシ流した。以前にも使った固定の映像なのかと思ったけれど、全て平成も終わりの最近の事で「さくらももこ先生ありがとうございました」という追悼の場面が何度も流れた所で、会場にほんの少しの熱さが流れた。そして多分私の「平成」が終わったんだと思う。

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『The Spell of a Vanishing Loveliness』で大野さんの少女のような透き通る歌声を聴いて、昨年のツアーで披露されなかった『Mellow Yellow Feel』では、スクリーンもステージも黄色くなって、あらきさんが高らかと手を上げてリズムよく手を叩いたのが見えた。

そのゆったりとした直後、最新のアルバム『Ripple Waves』より『Sonorama 1』がお披露目。不穏な音の始まりと共にメンバー一人一人がスポットライトに照らされシルエットになりながらテクニカルで激しいソロを見せていく。小山田さんのテルミンとギターの持ち替えの早さが凄かった。短いインストでありながら物凄いインパクトで、尚且つ強いストロボに目をやられ緊張感で唾を呑んだ時、曲終わりの絶妙なタイミングでお客さんの小さな男の子が「おわりー!」と叫んだ声で、皆がやっと和んだ。

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10曲目『未来の人へ』 死後の世界を描いたこの作品は聴く度に深く足がはまっていくように、心に深く食い込んでくる

小山田さんはどんな気持ちでこの曲を書いたのだろうと考えざるを得なかった。自分が居なくなった後の何十年、何百年後の人達へコーネリアスの曲が鳴っている事を祈って、願って、淡々と書いたのだろうか。それを現在書きたての彼が目の前で歌い、音を鳴らす2018年で、この座席で聴けている事実にただ、胸を打たれるしかなかった。

そんな感傷をすぐさま吹き飛ばすように『Count Five Or Six』『I Hate Hate』の激しいギターサウンドで「今を見ろ!」と言われてるような気になって、素直に2018年現在の波に溺れる。

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その後『Surfing on Mind Wave pt 2』の始まりと共に、
音がずっと鳴っていた。
昨年は静かに迫ってくるような音だった気がしたけれど、今回音がずっと鳴り響いていた。音が幾音も幾音も重なって轟あって、音がずっと鳴っていた

波の輪の向こうの太陽に行けそうだった。

波のうねりと共に物凄く大きな轟音と自分ではもう先の見えない強過ぎる白い光が会場を包んで、どうかなってしまいそうだった。誰にも止められない空間が4人だけで作り出されている事に驚く間も与えられずに、音を浴び続け、どこかに行けそうだった。これでフィナーレを迎えてもいいくらいの爆音の空間の後も静かにコーネリアスは次の『夢の中で』を淡々と歌い続けた

ライヴハウスツアーよりもスクリーンが大きくてコーネリアスがMVの街の中にいるようだ、と音にやられた頭で思った。

『Beep It』『Fit Song』『Gum』と続いていく。

今回はとにかく音が分厚かった。照明の色がMVの細かい色と合わさっていて、とにかく美しかった。ショーの要素が強くて素晴らしかった。2000年代のMVも大きなスクリーンで観ると画質がちょっときつくなってきたなとか余計な事も考えたりしながら、もう気持ちがいっぱいいっぱいだった。

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溢れそうになりながら『Star Fruits Surf Rider』を迎える

間奏の小山田さんのテルミン演奏と共にステージ上のスタンド型ミラーボールが今日初めて虹色に光を出して、例えばもしも演出を知っていたとしても何度も鳥肌が立つような、何度もその夢を待っているような迎えるべき瞬間が訪れた感じがした。銀河に飲み込まれていくように、その虹色の光の粒は会場の私達を照らし、またあの歌を連れてくる。

『あなたがいるなら』この曲で終わるのも知っている。でもあらきさんの、鼓動のようなゆっくりとしたバスドラムが鳴る時、私達は失った何かを思い出すように懐かしい気持ちになる。「彼が歌っている」それだけでいいのに、もっと優しい何かを取り戻したような気持ちになる。誰が好きだったか、何が好きだったか、自分は何を大切にすべきか。

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※ホールロビーでのスライド投影スポットより※

曲が終わった瞬間、ホールでウズウズしながらもそれまで大人しく座って居た全員が一斉に立ち上がり熱く盛大な拍手を送った。

その後、いつも「どうもありがとうございました」とだけ言ってステージを去って行くはずのコーネリアスが「今年ツアーばっかりしてて40本くらい回って、その前は10年空いてていきなり何って感じなんですけど、僕来年50才になって、今年コーネリアス25周年で、フリッパーズ30周年なんですよ。なんで、もうちょっとちょこちょこやっていきます」と宣言してくれた

小山田さんがきちんと長く話してくれた事と、コンスタントな活動を約束してくれた事、彼の中でちゃんとフリッパーズ・ギターが大切な経歴として生きている事、それが口に出された事、全部が嬉しくて、会場内の私達は静かに胸を熱くした事を共有した。コーネリアスがまた私達に「歌」を聴かせてくれるようになった事、私達は節目に限らずあなたをいつも待っています。

あなたがいるなら。

※全座席には表面にはロゴ、裏面には物販カタログの印刷されたフライヤーがかかっているというお土産付きでした※

-Mellow Waves Tour 2018 セットリスト-

2018.10.08 東京国際フォーラム ホールA 

01.いつか/どこか
02.Point Of View Point
03.Audio Architecture
04.Helix/Spiral
05.Drop
06.Another View Point
07.The Spell of a Vanishing Loveliness
08.Mellow Yellow Feel
09.Sonorama 1
10.未来の人へ
11.Count Five Or Six
12.I Hate Hate
13.Surfing on Mind Wave pt 2
14.夢の中で
15.Beep It
16.Fit Song
17.Gum

18.Star Fruits Surf Rider
19.あなたがいるなら

EN.
01.Breezin'
02.CHAPTER8~Seashore and Horizon~
03.Autobacs(Buffalo Daughter)イントロ 〜 E

-Cornelius Group :

小山田圭吾 Vocal,Guitar,Theremin
堀江博久 Keyboard,Guitar,Percussion,Chorus
あらきゆうこ Drums,Chorus
大野由美子(Buffalo Daughter) Bass,Keyboard,Chorus

↑THIS IS FANART!!!!!↑   ↓元画像はコーネリアス公式Instagramより↓

↓Mellow Waves Tour 2017ライヴレポートもよろしくお願います↓

●あとがき●

レポートでは触れなかったアンコールでは、昨年よりもBuffalo Daughterの『Autobacs』のイントロが長く演奏されており、続く『E』では観客が叫んだコール&レスポンスの数字が大勢の人によって、あまりにも盛り上がっており、聴き取れなかった小山田さんが「(声が)遠いな...」と困惑して呟いていたのが印象的でした(笑)「楽しかった」「素晴らしかった」本当はそんな言葉以外書き綴れないほど、完璧な公演でした。愛してます。

文・写真・バナー(ファンアート):こたにな々(ライター)

兵庫県出身・東京都在住 https://twitter.com/HiPlease7

◆お仕事のご依頼・お問い合わせ: kotanina.na@gmail.com 

◆HP:https://kotaninana.wixsite.com/kurashino-no-nana

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